現在のジャズ・シーンを牽引するイスラエル出身の天才ベーシストのトリオによる渾身の2015年ニュー・アルバム。原点に還ったことによって新たに見出すことが出来たアヴィシャイ・コーエン・トリオ、三位一体の最新進化型がここにある!本作でアヴィシャイは、自身の音楽的表現形式と活動の原点に還ったという。ただアヴィシャイの場合、原点に戻ることは常に新たな一頁の始まりへと繋がるのである。本作でも彼は、創造と表現の新たな扉を開いたのであった。その制作過程について、アヴィシャイは「新しく、また新鮮で、信じられないほどしっかりとした形をトリオで成し遂げられる感触があった」そしてトリオ間でのケミストリーについて「こうして、3人が1つになった」と表現するのであった。絶対的なもの、純粋なものを追い求めるアヴィシャイの2015年ニュー・アルバムである本作には、豊かで密なサウンド、そして新たなアイディアが次々と溢れ出ている。ラテン風な要素を感じさせる"Abie"、メロディックな祈りである"Halelyah"、そしてスムースな"Almah"、ハーモニーやリズミックの複雑な"From Darkness"、さらにはチャーリー・チャップリンのスタンダード・ナンバー"Smile"まで、もうろうとした暗さから光り輝く明るさまで、その道筋を辿るような、強くて一貫性のある美しさがここにはある。アヴィシャイ・コーエン・トリオは本作において、怒りや負の感情の爆発でさえも、ひとつの高揚するような音楽的体験に変えてしまっている。それについてアヴィシャイは「このアルバムが聴く者を高揚させると言えることができて満足している。演奏している時にどんなことを感じたいと問われれば、高揚だと答えるだろう。私にとって、これこそが、音楽の根本的要素だであり、一生懸命成し遂げようとする目標だ…誰にとって人生はタフなものだと私は思っている。エキサイティングだが、手強いし、時には憂鬱でもあり、また時には耐え難いものでもある…そんな人生の道すがらで音楽は一つの救済になる得るんだ。少なくとも、私にとっては常にそうだったがね」と語る。原点に還ったことによって新たに見出すことが出来たアヴィシャイ・コーエン・トリオ、三位一体の最新進化型がここにある!
発売・販売元 提供資料(2014/12/22)
イスラエル出身の天才ベーシスト、アヴィシャイ・コーエンの新作は、シャイ・マエストロ(p)、マーク・ジュリアナ(ds)と共に残した『覚醒』以来となる久しぶりのピアノ・トリオ作。今回のメンバーは、ニタイ・ハーシュコヴィッツ(p)とダニエル・ドール(ds)。練り上げられた緻密なアンサンブルと、多彩に繰り出されるソロ演奏を聴くと、アヴィシャイ・コーエンが久しぶりにピアノ・トリオ作を発表しようと思ったのも納得。オーソドックスな編成でアヴィシャイ・コーエンの"今"を聴きたいと思っていたファンにとっては、今作はまさにマストな一枚となること間違いなし。
intoxicate (C)千葉広克
タワーレコード(vol.114(2015年2月10日発行号)掲載)