オリジナル・マスターからの最新リマスタリングで、鮮やかな響きが甦る!
クリュイタンス&ベルリン・フィルの貴重な名演集。タッキーノとのレアな協奏曲も収録。
クリュイタンスとベルリン・フィルハーモニーが吹き込んだLP2枚分の録音を1枚に収めた、長時間収録盤。「未完成」と「前奏曲」は、初出時のみこの組み合わせで発売されたものの、以降「未完成」は「運命」とのカップリングが主となり、LP時代には日本では一度もこの組み合わせで発売されたことはありませんでした。「未完成」と「前奏曲」ともに遅めのテンポで始まり、じっくりと踏みしめた上で主部が展開するさまは、熟達した者のみがなし得たひとつの境地を垣間見るようで、まさに圧巻の出来です。ベートーヴェンの交響曲全曲を含む複数のプロジェクトを遂行してきた両者とレーベルにとって、歴史的な名演となったことは疑いの余地がありません。音的にも、今回の復刻によって、ピラミッド型の当時の重厚なベルリン・フィルの響きが蘇りました。各楽器の分離も向上し、これまで塊であった響きがほぐれ、各楽器の音色をより堪能することができます。
またこのアルバムのもうひとつの収録曲であるベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番は、クリュイタンス&ベルリン・フィルの最後の収録となった1962年1月の録音。この録音はLP時代でも途中から再発売がされなくなり、CD時代となって復刻はされたものの、輸入盤で発売されながらもあまり流通しなかった稀少な盤です。当時20代のタッキーノによるピアノは、それまでの大家による伝統的なピアノというよりむしろ、躍動感のあるタッチで活発なベートーヴェン像を描いており、若きタッキーノによる新しいベートーヴェン像を確立するかのような筆致が特徴です。それにも増して魅力的なのがバックをつとめるクリュイタンスとベルリン・フィルであり、その精巧な響きはこのコンビが達成したひとつの到達点といえる出来です。それだけにこの録音以降収録が無かったのは残念です。尚、この曲以前はグリューネヴァルト教会で収録されていましたが、この録音のみ以降よく使用されるイエス・キリスト教会となっています。響きの質が異なりますので、その点でも興味深い録音です。日本盤では1971年10月以来の再発売となります。
タワーレコード(2015/04/28)
<制作に関しまして>
今回の発売に関しましては、イギリス本国にあるマスター・テープから96kHz/24bitに変換されたWAVデータを、伝送ではなく直接光学ディスクに保存し、空輸してもらいました。その元データを基本にSACD層用としてDSDに変換した後、マスタリングを行い、それとは別にCD層用としてもPCMでマスタリングを行いましたので、SACD層、CD層、それぞれ独立したマスタリングを行っているのが特徴です。例えば、PCMで編集した後にDSDにも変換を行う、もしくはDSDで編集した後にPCMにも変換を行うといった、1回のマスタリング作業ではなく、SACD、CD、それぞれの特徴や音質を重視し、あえて個別にマスタリングを行いました。マスタリング・エンジニアは、他の高音質レーベルや、これまでにも様々な優秀録音を手掛けてきた杉本一家氏です。
クリュイタンスとベルリン・フィルのこれらの音源は、CD時代になってからは意外と再発売の機会は少なかったと言えます。日本人に絶大な人気が
未だにありながら、なぜか国内盤での再発売はそれほど多くなく、輸入盤でも廉価盤が主でしたので、必ずしも恵まれた状況ではありませんでした。ステレオ初期の名盤にしては不遇な時代が続いたのです。
昨今のデジタル化の技術の進歩は凄まじく、アナログ・マスターに残された音を、現代では高品位でデジタル変換することができます。当社がここ数年、別レーベルのCDで恒常的に発売しております過去の名盤も、従来の音質とは一線を画した素晴らしい音が蘇っています。
今回はタワーレコードが新たに立ち上げた新規レーベル「DEFINITION SERIES」の第1弾として、名盤として名高いこれらの音源を取り上げました。マスター・テープに残されていた素晴らしい音楽は、今の時代だからこそより緻密に堪能できるとも言えます。SACDハイブリッド盤として、高品位な音質で歴史的な名盤をお楽しみいただけます。
タワーレコード(2015/04/28)