リスト: ピアノ作品集～「巡礼の年」第2年(イタリア)(抜粋), ヴェネツィアとナポリからゴンドラを漕ぐ女, 2つの伝説＜タワーレコード限定＞

内面性と詩情を重んじる、ケンプならではのリスト演奏の到達点。晩年のDGへのリスト録音を集成。新マスターで復刻!

ケンプは78歳となった1974年、DGにリスト・アルバムを録音します。ケンプとリストという取り合わせは、両者の一般的なイメージからすると最も離れたところにあります。ところがカール・ハインリヒ・バルトに学んだケンプはリストの曾孫弟子にあたるのです。バルトの師、ハンス・フォン・ビューローとカール・タウジヒはともにリストの弟子にあたります。また、ケンプはベートーヴェンを得意としますが、リストはそのベートーヴェンの孫弟子にあたり、少年時代にベートーヴェンから賛辞を得ているのです。実際、ケンプはリストを若い頃からレパートリーに入れており、リストのイメージを形作っている超絶技巧曲はあまり弾かなかったようですが、このCDに収められた"巡礼の年"の諸曲や"2つの伝説"のような宗教的色彩の強い作品をしばしば演奏会や録音で取り上げました。このアルバムの選曲も、リストがイタリアで作曲した内省的で情趣豊かな作品で固められており、冒頭の"婚礼"1曲を除いて1950～51年に英デッカにモノラル録音も残している、いわばお得意の作品集なのです。ここでのケンプは全く気負うことなく、リスト作品と対峙しています。彼のロマンティックな感情はリストの作品の中で自在に羽ばたき、曲想は情感豊かに、色彩豊かに高まっては瞑想や沈思に静まることを繰り返し、ついには歓喜や法悦に達します。その間、音楽の形が決して崩れることがないのは、ケンプの確かな造形感覚があるからでしょう。深夜ひとりで鑑賞するに相応しい、深い精神性と豊かな味わいをもった音楽と演奏がここにあります。音質面でもこれまでのコンセプト通り、オリジナル・マスターからのハイビット・ハイサンプリング(192kHz,24bit)でデジタル化した音源をCDマスターに使用しました。これまでの音質と比較し、より高解像度で滑らかな音色を味わうことができます。ジャケット写真には、初出時オリジナル・ジャケット・デザインを使用し、解説書には、新規で序文解説を掲載しました。ケンプの生誕120年を記念するに相応しい、保存盤です。今回発売のVol.3は、同時に全5点を発売いたします。