懐かしい家。海。愛するものたちとの別れ。はなればなれで歩き始める少年と犬のロードムービー。日本の片隅から、アフリカへ、銀河へ、あなたのもとへ。誰もの"普通じゃない"人生を照らす、珠玉のメロディたち。もっとも創造的な歌の作り手として多分野から絶大な支持を受けるシンガーソングライター、七尾旅人。デビュー20周年イヤーに届けられた、キャリア史上最もポップでテンダーな感動作。晴れた朝、雨の日々、様々な人生を照らし、寄り添う歌たち。1999年、10代の頃リリースされた1stアルバム「雨に撃たえば」は、七色の雨の中から未だ見ぬ誰かを想像し叫び囁くような、切迫したエキセントリシティに満ちていたが、今作ではふりしきる雨の中の誰かに向けて、強く柔らかく、その名を呼び続けるかのような歌が並ぶ。「20年間の感謝をこめた」という七尾。彼の本質がこれまでで最も現れたアルバムかも知れません。 (C)RS
JMD(2018/10/24)
『リトルメロディ』から6年ぶり。ある大切な人との胸を掻きむしられるような辛い別れを乗り越えて作り上げられたニュー・アルバムは、子犬のような瞳をしたリトルメロディたちが寄り添い合う、慈愛の輝きに満ちた作品となった。地球に落ちてきたロック・スターが亡くなった日に書いたという"DAVID BOWIE ON THE MOON"、ジャジーなアプローチを採り入れた"いつか"など、主軸となっているのは鎮静効果の高いミディアム~スロウ系。それは驚くほどにポップで優しく、そして切ない。"天まで飛ばそ"の無垢なる響きも静かに胸を打つだろう。この20年間、絶えず新しい挑戦に立ち向かってきた勇敢なシンガー・ソングライターのこれまででもっとも素の表情が見える一枚だ。
bounce (C)桑原シロー
タワーレコード(vol.422(2018年12月25日発行号)掲載)