独自のセレクトで毎年話題となる老舗レコードショップ〈Rough Trade Shop〉が選ぶ年間ベストアルバムにおいて、2017年に発表したアルバム『Party』がビョーク『Utopia』、サンダーキャット『Drunk』、サンファ『Process』、ケレラ『Take Me Apart』といった傑作を抑え、見事第1位を獲得した新世代のシンガー・ソングライター、オルダス・ハーディング。100公演以上行われた2018年夏のリリース・ツアー道中で制作された楽曲を中心に構成された本作は、前作同様にPJ・ハーヴェイのコラボレーターとしても知られ、トレイシー・チャップマンやスパークルホースの作品などのプロデュースも手掛けてきた異彩ジョン・パリッシュを再び迎え、ウェールズのロックフィールド・スタジオでレコーディングとミキシングが行われた。大胆なオープニング・トラック「Fixture Picture」をはじめ、彼女自身の作品への自信がひしひしと感じられ、表現力豊かで時代を越えたソングライティングとメランコリックなその歌声はより進化を深め、驚くべき存在感を放っている。
発売・販売元 提供資料(2019/02/25)
4ADから発表された2作目で大きな話題を集めたニュージーランド出身のシンガー・ソングライターが早くも新作を上梓。パフューム・ジーニアスも参加した前作と同じく、プロデュースはPJハーヴェイやスパークルホース諸作も手掛けるジョン・パリッシュが担当。〈ゴシック・フォーク〉とも称される、その幻想的/神秘的な世界観にはより鮮やかな彩色が施され、滋味深い低音からキッチュな歌声まで、多彩な音域と表情を使い分けるヴォーカルには円熟味すらも感じる。派手さこそないが、作品の隅々に迸る才気には、ジョニ・ミッチェルからケイト・ブッシュ、そしてパティ・スミスやセイント・ヴィンセントまで、数多くの御大たちの名を引き合いに出したくなるのも納得。次こそ初来日実現を願う。
bounce (C)保坂隆純
タワーレコード(vol.427(2019年5月25日発行号)掲載)