宇宙最高のファンク・バンド、究極の14トラック!50周年記念傑作『Soul Side of Town』と対をなす重要作。半世紀に渡る活動が生んだグルーヴとソウルが炸裂!!リズム・セクションはロッコとガリバルディ。
2018年、バンド結成50周年の年に満を持して発表された前作『Soul Side Of Town』は、正に快作であった。オリジナル楽曲を収めたアルバムとしては実に15年振りの作品であり、更にはストリングスやコーラスも配したアレンジと、見事なまでのサウンド・プロダクションは、多くのファンを喜ばせたのだった。そして、その発売前の数年間にわたって、日本公演の度にリーダーのエミリオ・カスティーヨが「オレ達が今作っているアルバムは『マイケル・ジャクソン方式』で、多くの曲をレコーディングし、その中から最高な曲を最高の順番で並べたモノになる」と言っていたが、2018年、遂に発売されたのが『Soul Side Of Town』だったのである。
で、今回発表になる新作『Step Up』。これが、「前作の残り曲」を集めたモノなのかと言えば、違う。断じて、違う!こちらも、もう見事な出来上がりの曲とプレイとが並んでいるのである。前作と同時期に録音されている訳で、同じくストリングスやコーラスも配され、サウンドは高いクォリティが保たれ、非常に満足度の高い作品となっている。アルバムの冒頭とエンディングには、前作と同じようなタイトルの曲が収められているが、全くの別テイク。そして他の12曲も、堂々たる出来上がりのナンバーが並ぶ。そう、これは大傑作であった『Soul Side・・』と並ぶ、いわば「ツイン・アルバム」なのだ。
アルバムを聴いて最初に頭に浮かぶ言葉は、間違い無く、「自信」である。「オレ達は半世紀もやり続けてきた。その結果が、この音だ」とでも言うべき自信に満ち溢れた音が聴こえてくるのである。オリジナルである4人、エミリオとスティーヴン"ドク"クプカ、デヴィッド・ガリバルディにフランシス"ロッコ"プレスティアもここで健在だ。そして、ヴォーカル以外は結構在籍年月も長くなってきた他のメンバー達からも、自信と誇りに溢れたプレイが聴かれるのである。これは、本当に嬉しいこと。そして我々ファンにとっては、何よりの彼等からの「プレゼント」である。
彼等の「第一期黄金時代」は、確かに1970年代であった。「冬の時代」であった80年代をやり過ごし、再び「黄金時代」となったのは80年代最後期から。以来、それなりのメンバー・チェンジはあったものの、ほぼ現在のメンバーに落ち着いてからは20年程も経つ。その後で替ったメンバーは、ヴォーカルとギター、そして片方のトランペットだけ。こんな奇跡のようなバンドが満を持して放つ「第二弾」が、本作『Step Up』なのである。そして、世界中のミュージシャン達が尊敬してやまない存在である彼等が、自分達の半世紀に及ぶ歴史を誇りに、創り上げた楽曲の集大成が、この『Step Up』なのだ!
発売・販売元 提供資料(2020/02/12)
結成50周年を謳った2年前の前作と同時期に録った曲から成る姉妹編的な新作。ふたたびジョー・ヴァネリとの共同制作で、ヴォーカルは前任のレイ・グリーンと現リードのマーカス・スコットで分け合うが、古参メンバーを中心とした鉄壁のリズム&ブラスで奏でるゴキゲンなオークランド・ファンクは、AORやフィリー・ソウルなどに寄ったりしながらも老舗の味を薄めることはない。人力演奏のパワーに呑み込まれる快作だ。
bounce (C)林剛
タワーレコード(vol.438(2020年4月25日発行号)掲載)
“Please stay there, forever!”