それは、アナタが忘れていた小さな歌。
ジュリアン・ベイカー待望の最新アルバム完成。
その歌声と佇まいで、一聴したリスナーの心を掴んで離さないUSインディーを代表する人気SSWジュリアン・ベイカーが4年ぶりとなる待望のサード・アルバム『Little Oblivions』をリリース!
2019年12月から2020年1月にかけてベイカーの地元であるテネシー州メンフィスでレコーディングされた本作はベイカーの唄声、心地よいギターとピアノの演奏はそのままに、ベース、ドラム、シンセサイザー、バンジョー、マンドリンなどほぼ全て本人の演奏による新たな楽器が加わることで新境地を開拓。
新章の幕開けを高らかに告げるオープナー「Hardline」や高揚感に満ち溢れた先行シングル「Faithhealer」、淡いノイズを纏ったパワー・コードに胸が詰まる「Ringside」、そしてボーイジーニアスでも活動を共にする盟友フィービー・ブリジャーズとルーシー・ダッカス参加曲「Favor」、滋味深いピアノ弾き語り「Song in E」などこれまでのジュリアン節ともいえる内省的な慰みや救いに合流した新たな表情に耳を奪われる全12曲を収録。
前作に続き、エンジニアをカルヴィン・ラウバー、ミックスをクレイグ・シルヴェイ(ザ・ナショナル、フローレンス・アンド・ザ・マシーン、アーケード・ファイアー)が担当している。
なお、本作の日本盤CDにはボーナス・トラック「Guthrie」が追加収録され、歌詞対訳および解説書が封入。
発売・販売元 提供資料(2020/10/22)
ここ日本でも10年代のUSインディーシーンを代表するSSWの一人となったJulien Bakerの最新作は、彼女のキャリアにおいて、最も毅然として壮大な一枚となっている。サウンド面での特徴としてはほぼ全ての楽器を自身が演奏するなど新境地への開拓が伺え、前作よりもポップな印象を感じるだろう。だがそれとは対照的に彼女の絶えず湧き上がる悩み、依存症への更生や過去のトラウマを赤裸々に歌っている。その「傷痕」は今後も刻まれたままであるが、それでも彼女は歌い続ける。過去の憂いを嘆くのではなく、享受し共存してゆく道を選んだ彼女の強さに胸を打たれるばかりである。
intoxicate (C)石田真生
タワーレコード(vol.151(2021年4月20日発行号)掲載)
きっとそうだろうとは予測していたけど、メンフィス出身の才女による4年ぶりの3作目は、彼女が着実に進歩を遂げた事実を雄弁に語ってくれる。ほぼすべての楽器をみずから演奏したことも注目点だが、物悲しさと穏やかさがないまぜになったメロディーの持ち味はそのままにポップなエッセンスを巧みに織り交ぜている部分に加え、格別な昂揚感を湛えた"Faithhealer"などで一段と表情豊かな歌声が現れるところも聴き逃せない。
bounce (C)桑原シロー
タワーレコード(vol.448(2021年3月25日発行号)掲載)