Yoshimi Battles the Pink Robots (20th-Anniversary Box Set)

ザ・フレーミング・リップスは、あなたが人生と、このレコードをエンジョイしてくれることを願っています。
シュールでアートな摩訶不思議ワールドを展開する現代のカルト・アイコン、ザ・フレーミング・リップス。彼らが2002年に発表した金字塔的名作『YOSHIMI BATTLES THE PINK ROBOTS』の発売20周年を記念作品が堂々完成! オリジナル・アルバムに加え、Bサイド曲やデモ音源、リミックス音源やラジオ・セッション音源、そして当時のライヴ音源など、貴重な音源の数々をたっぷりCD6枚に収録した、20周年記念デラックス・エディションが今あなたの手に…!

シュールでアートな音世界で、独自のサイケデリックな摩訶不思議ワールドを極め続ける、現代のカルト・アイコン、ザ・フレーミング・リップス。鬼才ウェイン・コイン率いる彼らが2002年に発表した通算10作目となるスタジオ・アルバムにして、そのエレクトロでサイケデリックなインディ・ロック・サウンドが非常に高い評価を受け、彼らをメインストリームのバンドへと押し上げた名作『YOSHIMI BATTLES THE PINK ROBOTS』が、発売20周年を記念したスーパー・デラックス・エディションとなって登場する!

この20周年記念作品『YOSHIMI BATTLES THE PINK ROBOTS (20TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION)』は、Bサイド曲やデモ音源、リミックス音源、ラジオ・セッション、当時のライヴ音源など、50曲以上もの未発表音源や多数のレア音源をCD6枚に収録した6枚組CDボックス・エディション、そして30曲以上の未発表曲を含む40曲以上もの初アナログ化音源となる楽曲を収録した5枚組アナログ・ボックス・エディションの2形態でリリースされる。

遡ること2002年の7月に発売された 『Yoshimi Battles the Pink Robots』 は、ザ・フレーミング・リップスのワイルドな25年の旅路において、商業的に最も成功した作品だ。グラミー賞受賞を誇る彼らに、全米レコード協会認定のゴールド・レコードをもたらした。1999年の傑作 『The Soft Bulletin』 に続く作品として、シンガー/ギタリストのウェイン・コインと、マルチ・プレイヤーのスティーヴン・ドローズは、期待を裏切ることなく、さらなる傑作を生みだしたのである。

『YOSHIMI BATTLES THE PINK ROBOTS』は、ザ・フレーミング・リップスの、アンビエントなエレクトロ・サウンドと、デジタル・ビート、そしてサイケな輝きが摩訶不思議に渦巻いた、遊び心溢れつつも深遠なテーマ性を持った楽曲たちを配役した、SFをテーマにしたコンセプト・アルバムのような作品だ。本作からは、バンドの代表曲である「Do You Realize??」(2009年にバンドの故郷であるオクラホマの公式ロック・ロングに認定された、タイムレスな輝きを誇るアンセム)が生まれ、アルバムを締めくくるコズミックなインスト楽曲「Approaching Pavonis Mons by Balloon (Utopia Planitia)」は、リップスに初のグラミー賞をもたらした。(1/2)

この20周年デラックス・エディションは、当時のバンドのクリエイティヴィティを360度全方位から捉えた作品だ。今回初めて公式音源としてリリースされる未発表デモ音源からは、貴重なバンドのクリエイティヴな進化がうかがえる。さらにボックス・セットには、「Assassination of the Sun」のような、リップスの大ファンがお気に入りに挙げる楽曲から、「Thank You Jack White (For the Fiber-Optic Jesus You Gave Me)」のような、楽しくも、フォーク色の強いセレナーデまで、B面収録曲やアウトテイクが多数収録されている。さらに、ピンク・フロイドの「Lucifer Sam」や「Breathe」、レディオヘッドの「Knives Out」、カイリー・ミノーグの「Can't Get You Out of My Head」といった楽曲を特異なスタイルで再構築した、秘宝とも呼べるラジオ・セッションの数々や、結婚式や葬儀での演奏用にファンから要望のあった、「Do You Realize??」のドラマチックなインスト・バージョンも収録となる。

最後に特筆すべきは、2枚のライヴ・アルバムだ。この2枚のディスクは、ザ・フレーミング・リップスが、常に成長を止めずに、彼らたる所以の特徴的根幹を成すとも言える、大事な2つの側面を示したものだ。1つは、愛に溢れた、私的な雰囲気を携え、聴衆を魅了してやまないストーリーテラー(ラジオのキャンペーン優勝者からなる小規模な観客にむけて2002年ボストンで行われた、おふざけ満載のプライベート・ショウ音源)。そしてもう1つは、大規模で紙吹雪が吹き荒れる壮観なステージの制覇者(2003年にロンドンのザ・フォーラムで開催された、圧倒的なパフォーマンス音源)だ。『YOSHIMI BATTLES THE PINK ROBOTS (20TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION)』は、ロック界において常にクリエイティヴィティを模索するバンドが最大限のパワーを発揮した状態にある姿を捉えた、必要不可欠な作品なのである。(2/2)

After the symphonic majesty of The Soft Bulletin, the Flaming Lips returned with Yoshimi Battles the Pink Robots, a sublime fusion of Bulletins newfound emotional directness, the old-school playfulness of Transmissions From the Satellite Heart, and exciting expressions of the groups emotional and experimental style. While the album isnt as immediately impressive as The Soft Bulletin, its arguably more consistent, using a palette of rounded, surprisingly emotive basslines, squelchy analog synths, and pristine acoustic guitars on songs like "One More Robot/Sympathy 3000-21," a sleekly melancholy tale of robots developing emotions, and "In the Morning of the Magicians," an aptly named electronic art rock epic that sounds like a collaboration between the Moody Blues and Wendy Carlos. Paradoxically, the Lips use simpler arrangements to create more diverse sounds on Yoshimi, spanning the lush, psychedelic reveries of "Its Summertime"; the dubby "Are You a Hypnotist?"; and the barely organized chaos of "Yoshimi Battles the Pink Robots, Pt. 2," which defeats the evil metal ones with ferocious drums, buzzing synths, and the formidable howl of the Boredoms Yoshimi. Few bands can write life-affirming songs about potentially depressing subjects (the passage of time, fighting for what you care about, good vs. evil) like the Flaming Lips, and on Yoshimi, theyre at the top of their game. "Do You Realize??" is the standout, so immediately gorgeous that its obvious that its the single. Its also the most clearly influenced by The Soft Bulletin, but its even catchier and sadder, sweetening such unavoidable truths like "Do you realize that everyone you know someday will die?" with chimes, clouds of strings, and angelic backing vocals. Yoshimi features some of the sharpest and most complex emotional peaks and valleys of any Lips album. "Fight Test" seems whimsical on the surface but packs a bittersweet punch, while poignant songs like "All We Have Is Now" and "Ego Tripping at the Gates of Hell" are leavened by witty lyrics and production tricks. Funny, beautiful, and moving, Yoshimi Battles the Pink Robots finds the Flaming Lips continuing to grow and challenge themselves after delivering a masterpiece. ~ Heather Phares

フレイミング・リップスが贈る21世紀の寓話〈ヨシミとピンク・ロボットをめぐる闘いの物語〉──そんな装いでバンドは新世紀の扉をくぐる。〈ヨシミ〉とは彼らとの付き合いも長いボアダムスのYoshimi P-weのことで、彼女が悪のロボットをやっつける!　小学生の夢物語みたいなこのコンセプトの裏には、ヨシミと同じく日本人でリップスのファンだった女の子の死という〈現実〉が隠されていて、この作品はいわば死についての一種のファンタジーなのだ。だからここには悲しみや、苦悩、押さえようのない歪みが渦巻いていて注意していないと巻き込まれそう。でもそのすべてを胸に抱き高らかに上昇するウェイン・コフィンの歌声の素晴らしいこと!　フレイミング・リップスという驚異のサウンドシステムが地上に降り注ぐ時、ニンゲンも北極グマも新しい季節の到来に恋焦がれるだろう。ウェインが歌っている、〈It's Summertime!〉。
bounce (C)村尾泰郎