永遠に語り継がれる名演。クーベリックとチェコ・フィルが42年ぶりに奏でる祖国讃歌。ORTマスタリングを用いたハイレゾ化による初SACD化。最新マスタリングを施した名録音・名演奏が最新で蘇る!
1990年、巨匠クーベリックが祖国チェコのビロード革命の結果、待望の帰国を果たし、かつての主兵チェコ・フィルと42年ぶりに共演した感動の名演。
「わが祖国」演奏史に燦然と輝く名盤です。日本コロムビアが独自に開発したORTマスタリング技術によりハイレゾ化を行い初SACD化。音場・音質が鮮やかに向上しています。CD層も今回のマスタリング音源を使用しています。
スプラフォン・レーベルの中でも特別な歴史的演奏の記録が、遂にSACD化!1990年5月12日、「プラハの春」音楽祭の初日を飾った奇跡の公演は世界中の音楽ファンが注目した、まさに歴史的な日でした。クーベリックが祖国を亡命してから42年が経過していた沈黙を破るかの如く高らかに鳴り響く「わが祖国」の演奏を聴いて、多くのチェコ市民が涙を流した感動の記録です。
クーベリックは当時75歳。バイエルン放送交響楽団の首席指揮者を辞任し、1986年には健康的な理由と作曲活動に専念するため指揮者を引退していました。ところが、1989年にチェコで民主化革命が勃発し、ハヴェル大統領の強い要請で恒例の「プラハの春」音楽祭初日の「わが祖国」を振るために、指揮者として晩年に再度復帰したきっかけともなった公演です。
クーベリックは、初日の会場に入場できない人々のために前日のゲネプロを公開し、さらに6/9には野外コンサートでも指揮をしました。翌年には「新世界」を指揮し(ライヴ音源で収録)、直後にはチェコ・フィルと共に来日。「わが祖国」を演奏したことは記憶に新しいです。
クーベリックは「わが祖国」の正式録音を6種残しました。
1971年までの3つのオケとのセッション録音(MERCURY、DECCA、DG)、1985年以降の3種のライヴ(ORFEO、SUPURAPHON、ALTUS)それぞれに一期一会的な要素がありますが、一貫して各曲の基本的な要素、テンポ感やアーティキュレーションは踏襲されています。躍動感と動的な魅力では1971年のボストン響とのDG盤が、安定感と充実度では1985年のバイエルン放送響とのORFEO盤に分がありますが、この1990年のSUPRAPHON盤は一音一音に込められた歴史的な重みや演奏時の雰囲気、そして感興が感じられる一世一代の演奏であり特別であるということに疑いの余地はありません。
今回のSACD化では、CDでは伝えきれなかった当時の空気感やより実在感を聴き取れると思います。スペック的な制約を乗り越え、歴史的な演奏に再度スポットを当てるべく、音楽的な要素を重視しORT化の後、最新マスタリングを行いました。
尚、今回の解説書には以前映像発売時に掲載されていた秋尾沙戸子氏による「クーベリックとハヴェル」の文章をCDでは初めて掲載しています。
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タワーレコード(2023/02/21)
スプラフォンは1980年代前半からデジタル録音を開始しており、当初アナログ録音との音質差を感じられたものの、比較的早く従来のレーベルのトーンを確立していました。
元々ORTマスタリングの企画は、2020年に「ノイマン/マーラー:交響曲全集(TWSA-1070-9)」のデジタル録音3曲のSACD化を行うにあたり試験的に導入したのがきっかけでしたので、スプラフォンのデジタル音源も当企画で本格導入した次第です。
今回のORTマスタリングではデジタル録音でも従来からあった基本的なニュアンスは継承された上で、さらに柔和な響きと基音との微妙なバランスや倍音成分の増加が認められます。
全帯域で解像度が上がったことで分離がより明瞭になり、さらに近接したポジションで音楽を鑑賞できます。ORTによる効果は顕著で、ダイナミックレンジが広く感じられ、音数の多さも含めSACD化の恩恵をより得られる録音と言えるでしょう。
今回は、より鮮やかに、奥行きもあるクリアな音質を堪能できます。これらの最新復刻で、蘇った名盤の評価が一層高まることを期待します。尚、今回のORT第7回発売は、2タイトルを発売いたします。
<ORTマスタリングとは>
CDスペックにて録音されたDENONレーベルの数々の名盤、そのデジタル変換時に失われてしまった楽音の高域成分を、低域部分の倍音を利用して予測、 再構築する技術「Overtone Reconstruction Technology(ORT)」を開発しました。この倍音再構築技術と、従来から導入されている"Master Sonic 64bit Processing"による高品質なマスタリング技術が組み合わさったものが、"ORT Mastering"です。ORTによって得られた広い周波数帯域とダイナミックレンジを最大限に活かし、原音に忠実に、名演奏、名録音の魅力をお届けします。
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タワーレコード(2023/02/21)