ロバート・プラントやブライアン・イーノ、トム・ヨーク、ジャック・ホワイトが絶賛する"砂漠のブルース"と称される唯一無二のスタイルで世界を魅了するティナリウェン!
絶望的な現実を背景に団結と自由を呼びかける最新作
ロバート・プラントやブライアン・イーノ、トム・ヨーク、ジャック・ホワイトといったアーティストが絶賛し、グラミー賞も受賞、サハラ砂漠西部のトゥアレグ族によって結成され、"砂漠のブルース"と称される唯一無二のスタイルで世界を魅了するティナリウェンが待望の最新アルバム『Amatssou』を発表。
本作は伝説的なキャリアを築き上げている彼らのトレードマークである砂漠のブルースと、古き良きアメリカのカントリーミュージックの間に共通する感覚を追求。タイトルの『Amatssou』はタマシェク語で「恐怖を越えて (Beyond The Fear)」を意味するが、本作のサウンドはまさにそれを体現したものとなる。
U2やボブ・ディランら大御所を手掛けるダニエル・ラノワがプロデュースを担当。また長年のファンを公言しているジャック・ホワイトが、ナッシュヴィルにあるプライベートスタジオでレコーディングしないかと声をかけたことからスタート。バンドは当初、ジャック・ホワイトのコラボレーターであるウェス・コーベットやファッツ・カプリンとレコーディングする予定だったが、コロナの影響でマリからアメリカへの入国が困難になり、リモートでの制作を強いられた。またその状況下でユネスコ世界遺産のタッシリ・ナジェール国立公園内にあるジャネットでアルバムを作ることを決め即席のスタジオを構えた。
コルベットとカプリンはナッシュビルでレコーディングを行い、そしてカビル族のパーカッショニスト、アマール・シャウイはパリでレコーディングを行う形で参加し、ラノワはロサンゼルスのスタジオから巧みなタッチを加えた。ラノワによるペダルスティールギターとプロダクション・テクニックが、ティナリウェンのトランシーなサウンドに草原な荘厳な雰囲気を与え、カプリンはペダルスティールギターとバイオリン、バンジョーで6曲に参加している。
ティナリウェンは何十年もの間、自分たちの民族のアンバサダー的な存在をまっとうしてきた。自然とも調和した彼らの生活様式は、かつてないほどの脅威にさらされているという。トゥアレグ文化は古代ギリシャやローマと同じくらいの歴史を持つが、『Amatssou』の収録曲はトゥアレグの現在の生活、厳しい現実を物語っている。本作を通してティナリウェンは、マリの政治的、社会的な混乱を訴え、詩的な寓話に満ちた歌詞は団結と自由を呼びかける。現在のマリの絶望的な政変とサラフィストの勢力拡大に対する苦悩と抵抗を歌っているのだ。
発売・販売元 提供資料(2023/03/24)
日本でも〈砂漠のブルース〉と形容されるようになってからかなりの時が経ってはいるが、そもそも強靭なグルーヴを引っ提げての活動期間はすでに40年を超えているわけで、いまや普遍的なものとして彼らの存在や音楽性も認められていいだろう。このニュー・アルバムも深い音色とグイグイ迫る唯一無二のサウンドに圧倒されまくりで、ややノスタルジックな味わいもいい。
bounce (C)轟ひろみ
タワーレコード(vol.474(2023年5月25日発行号)掲載)