プロデューサーとしての圧倒的な手腕が発揮された<WARP>移籍作
ジャズというカテゴライズで言えばフラング・ロータス、ベーシストとしてのトム・ジェンキンソン、そしてなにより"どこか狂気を宿した不穏なサウンド"とくればこれはまがいもない<WARP>作品である。完成までに4~5年を要したという(2)、長時間の即興音楽をアブストラクト・ヒップホップ的に繋ぎ合わせた(11)はその最たるものであろう。チャンス・ザ・ラッパーとの仕事でも知られるフランシス・アンド・ザ・ライツとの(8)(12)辺りのポップ・センスも作品のエッセンスとして最良。ドラマーとしての力量は言わずもがな、この方のプロデュースセンスは圧倒的である。
タワーレコード(2023/06/16)
フライング・ロータス、スクエアプッシャーらに影響を受けジャズの未来を切り拓く革新的ドラマー/プロデューサーカッサ・オーバーオールが〈Warp〉移籍第1弾アルバムをリリース!!
シアトル在住、卓越したスキルを持ったジャズ・ドラマーとして、また先鋭的なプロデューサーとして、リズムの無限の可能性を生み出し続けるドラマー/プロデューサー/MCのカッサ・オーヴァーオール。〈Warp〉所属のスクエアプッシャーやフライング・ロータスらから多大なる影響を受けた彼が、同レーベルと契約し最新アルバム『ANIMALS』をリリース。
最新作『ANIMALS』は、各方面から高い評価を得た自主制作アルバム『Go Get Ice Cream and Listen to Jazz』(2019年)、UKの名門〈Brownswood〉からリリースされた『I Think I'm Good』(2020年)に続く作品で、カッサのプロデュース能力の高さと独自のリズム感覚が全面に出た作品である。アルバムには、ニック・ハキム、シオ・クローカーをはじめ、ダニー・ブラウン、ローラ・マヴーラ、ウィキ、リルB、シャバズ・パレスのイシュマエル・バトラー、ヴィジェイ・アイヤーや、トモキ・サンダースといった、ラッパーからジャズ界のスターに到るまで、カッサの経歴ならではの様々なフィールドのゲストが参加している。
アバンギャルドな実験精神とヒップホップ的なテクニックを融合させ、ジャズとラップの未知なる邂逅を実現させると同時に、楽曲にのせて放つメッセージは、彼自身の精神的な苦悩を表現している。
国内盤CDにはボーナストラックが追加収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。
発売・販売元 提供資料(2023/03/31)
ブラウンズウッドからワープに移籍して……というステップ自体がサウンドの変化をそのまま物語るようなサード・アルバム。気鋭のジャズ・ドラマーが実験精神を剥き出しにしてやりたいように創作を追求した結果、異形のビート・ミュージックとしてのヒップホップが出来上がった感じだ。ダニー・ブラウンやウィキ、ローラ・マヴーラなど幅広いゲストもそれぞれ機能した傑作。
bounce (C)狛犬
タワーレコード(vol.474(2023年5月25日発行号)掲載)