文化庁芸術祭優秀賞受賞。記念すべきスプラフォン初のデジタル録音。スメターチェクによる流麗にして完璧な名演。ORTマスタリングにより初SACD化!最新マスタリングを施した名録音・名演奏が最新で蘇る!
デジタル録音初期に録音され今日に至るまで聴き継がれてきた、知る人ぞ知る名指揮者スメターチェクの代表的な演奏。レコード芸術特選、朝日視聴室推薦、そして芸術祭優秀賞受賞に輝く名盤です。日本コロムビアが独自に開発したORTマスタリング技術によりハイレゾ化を行い初SACD化。音場・音質が鮮やかに向上しました。CD層も今回のマスタリング音源を使用しています。
ヴァーツラフ・スメターチェク(1906-86)は日本にも2度来日し、「新世界」等の名演で聴衆に大きな感銘を与えた、日本でも人気の高い指揮者でした。また、宇野功芳氏がスメターチェクを絶賛したことでも知られており、録音自体はそれほど多くないにも関わらず、最近でもライヴ音源含め残された録音には関心が多く集まっています。それらのなかでも別格なのがこのチェコ・フィルとの「わが祖国」でしょう。
日本コロムビアは1972年からデジタル録音をスタートさせており、スプラフォンとは'70年代終わりまでにチェコ・フィルとの録音もスタートしていました。それまで日本コロムビアのスタッフと機材を使用してデジタル録音が行われてきましたが、スプラフォンも自社でデジタル録音機材を揃え、レーベル単独として初めて録音したのが、この音源です。しかし編集作業のノウハウがなく、実際に編集は日本コロムビアが行ったようです。いずれにせよスプラフォン・レーベル初のデジタル録音となったこの記念すべき演奏は、芸術祭優秀賞受賞など日本でも高く評価されました。
チェコ・フィルとの「わが祖国」には多くの指揮者との名盤があるなか、このスメターチェクの演奏はそのどの演奏とも異なります。一聴して淡々と進んでいるかのようで感情が抑えられた表現に見受けられますが、強い想い入れが内包された意志の強い演奏です。また、細部にわたる丁寧なコントロールは感動もので、全体の音楽性含めチェコ・フィルのメンバーからの信頼も厚いことがわかります。ここまで内容が豊かな「わが祖国」は稀であり、どのような経緯でこの録音が実現したかは不明ながらも、スプラフォンの確かな見識の元、特別な曲に歴史的な1枚が加わったことは確かでしょう。尚、スメターチェクは後のビロード革命を見ることなく、79歳で亡くなりました。1990年のクーベリックの帰国ライヴを聴いていたら、どのように感じたでしょうか。
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タワーレコード(2023/04/13)
スプラフォンは1980年代前半からデジタル録音を開始しており、当初アナログ録音との音質差を感じられたものの、比較的早く従来のレーベルのトーンを確立していました。元々ORTマスタリングの企画は、2020年に「ノイマン/マーラー:交響曲全集(TWSA-1070-9)」のデジタル録音3曲のSACD化を行うにあたり試験的に導入したのがきっかけでしたので、スプラフォンのデジタル音源も当企画で本格導入した次第です。今回のORTマスタリングではデジタル録音でも従来からあった基本的なニュアンスは継承された上で、さらに柔和な響きと基音との微妙なバランスや倍音成分の増加が認められます。全帯域で解像度が上がったことで分離がより明瞭になり、さらに近接したポジションで音楽を鑑賞できます。ORTによる効果は顕著で、ダイナミックレンジが広く感じられ、音数の多さも含めSACD化の恩恵をより得られる録音と言えるでしょう。今回は、より鮮やかに、奥行きもあるクリアな音質を堪能できます。これらの最新復刻で、蘇った名盤の評価が一層高まることを期待します。尚、今回のORT第8回発売は、2タイトルを発売いたします。
<ORTマスタリングとは>
CDスペックにて録音されたDENONレーベルの数々の名盤、そのデジタル変換時に失われてしまった楽音の高域成分を、低域部分の倍音を利用して予測、 再構築する技術「Overtone Reconstruction Technology(ORT)」を開発しました。この倍音再構築技術と、従来から導入されている“Master Sonic 64bit Processing"による高品質なマスタリング技術が組み合わさったものが、“ORT Mastering"です。ORTによって得られた広い周波数帯域とダイナミックレンジを最大限に活かし、原音に忠実に、名演奏、名録音の魅力をお届けします。
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タワーレコード(2023/04/13)