隠れた名盤。ベルグルンド&シュターツカペレ・ドレスデンによる極めて情熱的な「わが祖国」が世界初SACD化で蘇る!端正でありながらも輝かしい独特な響きは必聴。新規で本国アナログ・マスターテープより最新復刻。新規解説付
東欧圏の録音は珍しい、ベルグルンドによる隠れた名盤。1978年にSKDと収録されたこの盤は、シベリウスで見せる一種冷徹なまでの完璧さとは異なる、極めて情熱的な「わが祖国」。オケの最盛期とも重なり、当時の演奏芸術の粋を集めたこの録音は聴きどころが満載。埋もれるにはもったいないほどのこの高度な演奏は、"レコード芸術"の到達点のひとつでしょう。尚、ジャケットは初出時にものを採用しているため、収録曲以外の曲も表示されていますがご了承ください。今回の発売のために本国のオリジナル・アナログ・マスターテープから192kHz/24bitでデジタル化したマスターを用い、SACD層、CD層別々にマスタリング。新規解説付。永久保存盤です。
本来このベルグルンドの音源は没後10年である2022年に企画していたアルバムでした。シベリウスのスペシャリストでもあるベルグルンドによる東欧圏の録音は珍しく、この「わが祖国」と本来初出時にカップリングされていた数曲くらいと思われます。また、この1978年の録音当時はボーンマス交響楽団の音楽監督(1972-79)を務めており、またヘルシンキ・フィルの首席指揮者(1975-79)にも就任していたこともあってこの時期に他のオケとの録音は珍しく、シュターツカペレ・ドレスデンとのセッション録音もこれらのみです。しかし、名盤が多くある録音のなかにあって、この演奏が大きく取り上げられる機会はこれまであまりありませんでした。ベルグルンドが旧EMIに入れた録音は実は多彩で、英国音楽もあればロシアものも多くあります。シベリウスで見せる冷徹なまでに完璧な演奏という訳では必ずしもなく、実は人間性の深みを感じさせる、ある意味"渋み"がベルグルンドの持ち味ではないでしょうか。その意味ではショスタコーヴィチが良い例です。内面を俯瞰した上で楽曲の本質を鋭く突く演奏は実はそれほど多くなく、一連のボーンマス響との録音や、TESTAMENTへのリクエストによりタワー企画盤でリリースされた2001年共演時のベルリン・フィルとの交響曲第8番(SBT21500)などが当てはまります。この「わが祖国」ではそれらに加えて熱い演奏となっている点が特徴で、オーケストラの自発性にただ任せるのではなく、互いにレールに乗った上でさらに上を目指して行く、演奏芸術の粋を集めた録音と言えるのではないでしょうか。もちろん、シュターツカペレ・ドレスデンが大きく作用しているのは言うまでもありません。またドレスデンは地理的にもチェコに非常に近く(ドレスデンとプラハの距離は150kmほどで所用時間は約1時間半。東京から軽井沢の距離にほぼ匹敵)、旧東欧圏の響きや文化圏との共通性が感じられる点もプラスに働いています。
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タワーレコード(2023/05/02)
このシリーズでは、SACD層では伸びのある高域と柔らかなニュアンスと共に高い解像度と豊かな音場を、CD層はまとまったしっかりとした音と共に押し出される実在感ある音色を目指しています。CD自体のポテンシャルも高く、むしろ両方の良さを堪能できるSACDハイブリッド盤としてもお楽しみください。尚、解説書には西村祐氏による新規文章を掲載しました。今回のDefinition Series第55弾は、2タイトルを発売いたします。
<音源復刻コンセプト>
当企画では、本国より取り寄せた192kHz/24bitのWAVデータを基本に、SACD層用としてDSDに変換後にマスタリングを行い、別途CD層用としてPCMでもマスタリングを施していますので、SACD層、CD層、それぞれ独立したマスタリングとなっています。PCMで編集した後にDSDにも変換を行う、もしくはDSDで編集した後にPCMにも変換を行うといった1回のマスタリング作業で兼ねるのではなく、SACD、CD、それぞれの特徴や音質を重視した上で、個別にマスタリングを行いました。その際、過去に発売された音源と極力比較する検証も行なった上で、音楽を最大限に生かすべく、オリジナルのアナログ・マスターテープを尊重した上での最適なマスタリングを心がけています。
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タワーレコード(2023/05/02)