フォンテインズD.C.のフロントマン、グリアン・チャッテンのソロ・デビュー・アルバムが完成。自身の中でも最も私的な作品『ケイオス・フォー・ザ・フライ』、リリース。
Grian Chattenは、Partisan Recordsからソロ・デビュー・アルバム『Chaos For The Fly』を発売する。
Fontaines D.C.のヴォーカリストは、プロデューサーのDan Careyと共にこのアルバムに取り組んだ。ダブリンから北へ30マイル、風が吹き抜ける遊歩道沿いに、くたびれたカジノがある。ここは、忘れ去られた海岸沿いの街の錆びた魅力を知る人なら、誰でも知っているような場所だ。今はシャッターが閉められ、ラウンジバーでは、ビリヤードボールやグラスの音が、スロットマシンの音と同じように響いている。ここで、『Chaos For The Fly』は誕生した。「夜、ストーニー・ビーチを歩いていたら、波打ち際で曲が浮かんできたんだ。僕はただそこに立って、波を見ていた。そしたら、その音を聞いた。コード進行からストリングスのアレンジに至るまで、あらゆる部分をね」とChattenは振り返る。出来上がった曲は、Fontaines D.C.のバンドメンバーと共に、形を変え、再構築することもできただろうが、Chattenはこれを別の方法で扱うことにした。
「僕は自分でこれをを作り上げたい、とただ思ったんだ。バンドとしての次の方向性はわかっているけど、この曲で行きたいのはそこではない。自分の魂の誇張された部分がいくつかあって、それを表現したかったんだ。他のメンバーも、それぞれクリエイティヴでソングライターだ。だからこそ、彼らのところに行って、『ちがう、こうじゃなきゃダメだ』といったことはしたくなかった。そうやって、この曲たちに妥協したくなかったんだ」と彼は説明する。
Fontaines D.C.の長年のプロデューサーでもあるDan Careyが共同プロデュースしたこのアルバムは、これまでのChattenの作品の中で最も詩的な作品へと仕上がった。「このアルバムの多くは、僕とギター1本で書かれたもので、エレメントを煮詰めていくというアイデアをとても気に入っている。手のひらの上に曲があるような感覚で、自分とギターだけでコントロールができる。その結果として、強度が増すんだ」と彼は語る。『Chaos For The Fly』には、9曲にわたって、人生のあらゆる感情やストーリーが取り込まれている。確かに辛いものもあるが、それを形にし、声を生き生きとさせることで、Chattenは独自の美しさを持つものを作り上げた。ここは、あなたが訪れたいと思うだけでなく、何度も足を運びたくなるような場所なのだ。
発売・販売元 提供資料(2023/05/24)
フォンテインズD.C.のフロントマン、グリアン・チャッテンのソロ・デビュー・アルバムが完成。自身の中でも最も私的な作品。 (C)RS
JMD(2023/05/17)
フォンテインズDCのフロントマンが初のソロ・アルバムを完成した。バンドでのアルバムも定期的に届けるなかで気になるアクションではあるが、フォンテインズ同様にここでもダン・キャリーをプロデューサーに起用。歌とギター一本で書いた曲が中心とのことで、これまで以上に自身の内面に分け入ったリリック重視の制作が進められてきたようだ。その結果として、朗々と歌われる先行カット"Last Time Every Time Forever"からもわかるように、シンプルに感情の起伏を操るヴォーカリストとしての側面にも焦点が当てられている。女性コーラスなどの意匠も印象的で、また違う魅力を発見できるのは間違いない。
bounce (C)狛犬
タワーレコード(vol.475(2023年6月25日発行号)掲載)