ムラヴィンスキー生誕120年記念企画。1978年6月、ウィーンのムジークフェライン・ザールで収録されたライヴ音源をビクター所蔵のアナログ・マスターテープから新規でSACD化!今回の企画の<特別編>。ムラヴィンスキー円熟の境地を最新マスタリングのSACDで再現!
貴重なウィーン・ライヴをビクター所蔵のアナログ・マスターテープを使用し新規でSACD化!1978年6月にORFによりウィーンのムジークフェライン・ザールで収録された一連のライヴ音源は複数あり、これまで他レーベル含め何度か発売されてきましたが、今回、ムラヴィンスキーの生誕120年の機会に、現況で唯一ビクターに所蔵されていたブラームス含む3曲分のアナログ・マスターテープを用い、FLAIR Mastering works山崎和重によりSACD化を行いました。当時の空気感をそのままに、最新のマスタリングで高音質盤をお楽しみいただけます。
尚、同時発売でゴステレラジオ音源の一連のレニングラードでのライヴを3回に分けて計4タイトルで発売を行いますが、特別編としまして、それらとは別に、ORFが収録した1978年6月にウィーンで行われた演奏のうち、ブラームスの交響曲第2番を含む3曲の最新復刻もSACDハイブリッド盤で発売することになりました。この時の演奏会は他にショスタコーヴィチの同第5番やチャイコフスキーの同第5番もあり、日本では1981年にビクターから「ウィーンのムラヴィンスキー」(VIC2324/7。4LP)として発売され広く親しまれた音源であり、その後CDでも何度か再発されてきたものです。当時はORFよりアナログのマスターテープが送付されビクターで保管されてきましたが、現況では今回の3曲のみしかマスターテープが残されていませんでした。そのため、この機会にゴステレラジオのデジタル復刻とは別に、新規でアナログのマスターテープから最新復刻を行ったのが本作です。ビクターでは初のSACD化となりますが、別レーベルからもSACDが既に発売されていますので(テープ供給は別ルート)、聴き比べるのも面白いでしょう。今回の高音質化では、長らくメロディアの日本での発売を手掛けてきたビクターらしくムラヴィンスキーの音楽性がより垣間見れる復刻になったと思われます。最新機材を用いて、「K2」テクノロジー(K2HD)での復刻を行いました。
これらの録音は、一部は唯一のステレオ音源ということもあり現在でも貴重です。特にブラームスでのしなやかな響きは絶品で、ムジークフェラインの黄金の音色が放送音源ながらも伝わってきます。人生を嚙み締めた演奏でもあり、ここにひとつのムラヴィンスキー演奏の神髄があると言っても過言ではないでしょう。多くの同曲録音盤の中でも出色であり、これを超える演奏にはなかなか巡り合えません。ムラヴィンスキーによる表現の幅の広さにも驚かされます。未完成での緊張感も格別であり、この演奏に立ち会いたかったと心底思わせる珠玉の演奏がここにあります。今回は他の曲のアナログマスターが無く残念ではありましたが、引き続き捜索に努める予定です。
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タワーレコード(2023/10/19)
今回の復刻では、ビクターが温度管理も含め厳重に保管していたオリジナルの2chのアナログ・マスターテープを用い、当時も使用していたスチューダーのA-80で再生した音源をSACD層用にはDSDでダイレクトに、CD層用には同じくDSD化された音源を基に出来るだけ工程ロスを減らしたピュアな方法で44.1kMzに変換しています。製品化にあたってはスタジオでマスターテープと比較の上、DSD2.8MHz、DSD5.6MHz、DSD11.2MHz、PCMは44.1kHzから192や384等、可能な限りのレートで試聴を行った上で、DSD2.8MHzのダイレクトを採用しました。これは、SACDのフォーマットが2.8MHzのため工程で一番ロスが少ないこと(他のレートでは最終的に2.8MHzに変換するため工程が多くなる)で、弦楽器の質感や音色が一番アナログ・マスターテープに近かったことによります。もちろん、今回のテープの状態が非常に良くアナログ領域含め一切調整する必要が無かったこと、元々のマスターのバランスが非常に良いためEQ調整等を行う必要性も全く無かったことなど、良い条件が重なった結果です。従いまして、今回のSACD層は全くの未加工のため、限りなくアナログ・マスターテープそのものの音を再現できました。CD層もバランス等の調整は行っていませんが、44.1kHz/16bitに変換する際にエンジニアにより最小限の音色の管理は行っていますので、ほぼ無調整で原音のままと言えると思います(今回、全工程は広義な意味も含め「マスタリング」という言葉を使用しています)。当時のビクターによる録音技術の粋を集めた素晴らしい音源が、今回の復刻ではまさに蔵出し的な意味合いも十分感じられる出来に仕上がっていますので、現在の技術を用いたこの素晴らしい録音を最大限お楽しみいただけます。
尚、解説書には平林直哉氏による新規の序文解説と、CD時代の解説を掲載しました。また、ジャケットはLP初出時のものではなく、CD発売時のものを今回採用しています。
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タワーレコード(2023/10/19)