90s~現行オルタナと共振し、己のハードコア街道を爆走する衝撃作。
USパンクの名門〈EPITAPH〉に身を置き絶大な支持を集めるフィラデルフィアの女3男1の4人組。オルタナに完全接近し、高い評価を受けた前作から実に5年振りの4作目。ポップパンク、ハードコアの香りは残しつつ、その空気は90sオルタナ、グランジ。ソニックユースさながらのクールネス、ピクシーズ、ブリーダーズばりのスプラッシュ、サウンド・ガーデン、アリス・イン・チェインズのヘヴィネスもあり。でもって後半はクッソハードコアに何かが吹っ切れ、大爆発。天にまで登る正統な90sオルタナ(1)溢れ出るロマンス(2)現行USオルタナガールズと共振しシューゲイザーも飲み込んだ(4)忘れかけていた何かを奮い立たせる(5)の前半。そして後半は(6)(8)(9)を筆頭に完全ハードコア化からのスウィート(10)ととにかくヤバいことに。現行のオルタナバンドたちと肩を並べ、それ以上の爆発をみせる大本命盤。最高。
タワーレコード(2024/04/12)
収録時間が初めて30分を超えたことも話題の、エピタフからの2枚目となる通算4作目。女性ヴォーカル/ギターがフロントに立つフィラデルフィアの4人組は〈新世代のハードコア〉と謳われて頭角を現してきたそうだが、ジャンルとしてのハードコアが当てはまるのは中盤および終盤の3曲のみ。それ以外はポップスも含め、曲ごとにさまざまな曲調を轟音のロック・サウンドに落とし込んでみせる。その振り幅の中でシャウトとウィスパーを使い分けながら、リスナーにアプローチするヴォーカルの魅力もぐっと増してきた。今後、バンドのターニングポイントになった作品として記憶されることは間違いないだろう。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.484(2024年3月25日発行号)掲載)