トラヴィス・スコットやフランク・オーシャンとの仕事も納得の音の質感!
トラヴィス・スコットやフランク・オーシャンといった世界的アーティスト作品とのコラボもこなすロンドンのプロデューサー/ヴィーガンの2ndアルバム。トラヴィス・スコットに通ずるような音像の世界観や質感に、ロンドン印の多彩なBPMで創りあげたフリーなビートミュージックを展開し、花を添えるノスタルジックな歌声のフューチャリング陣もGOOD。
タワーレコード(2024/04/12)
新時代を到来を告げる先駆的プロデューサー、ヴィーガン!
これまでのキャリアの集大成といえる待望の最新アルバムをリリース!!
ジョン・グレイシア、マット・マルチーズ、ローレン・オーダー、レア・セン、イーサン・P・フリンら気鋭アーティストが多数参加!
プロデューサー、DJ、デザイナー、レーベルオーナーと様々な顔を持つヴィーガンことジョー・ソーナリー。2022年には70曲以上を収録したミックステープ『Don't Follow Me Because I'm Lost Too!!』を発表し、2023年にはフジロック出演も果たすなど、多岐にわたる音楽活動を続けている彼は、本作に取り組むにあたって、本人が言うところの「いくつかの標準以下の作品」、つまり日の目を見ることのないレコードを何枚か作ったことで、古いパターンから脱却する必要を感じたという。洗練されたサウンドや、広大でオープンエンドなアイデアの代わりに、不完全さを許容したことで、一つ一つの楽曲が高揚感と不気味なメランコリアの間で綱渡りするような、 非常に精巧に作り上げられた作品が誕生した。
本作『The Road To Hell Is Paved With Good Intentions』は、自由奔放な実験空間から生まれた。プロデューサー、レーベルオーナーとして、世界を飛び回っているヴィーガンは、世界各地のスタジオ、リビングルーム、ホテルの部屋などで新曲を書き上げた。 これまでで最も完成度の高い本作には、ジョン・グレイシア、マット・マルチーズ、レア・セン、ローレン・オーダー、イーサン・P・フリンら多くの気鋭アーティストが参加している。
他の作品と同様、本作のタイトルも曖昧さに満ちている。直訳すると「地獄への道は善意で舗装されている」となるこの言葉が、実際に何を意味するのかを考えたとき「正しいことをすることで、かえって問題を増やしてしまう」といったことや「良いことをしようという頭の中の考えは何の役にも立たない」といった考えがジョーの頭に浮かんだ。いずれにしても、意図と行動の間にある分裂を捉えた言葉だと彼は説明している。
今作では、トレードマークでもある独特の華やかさやBPMの変化よりも、メロディーや曲構成に重点が置かれており、それが完成度の高さにつながっているのは間違いないが、それでもヴィーガンらしい皮肉の効いたユーモアやノスタルジックな瞬間は作品全体に散りばめられ、それがヴィーガンのすべての作品に共通する多幸感とメランコリーの絶妙なバランス、そして慰めと安らぎをもたらしている。このアルバムは、長年の経験と洗練の集大成であり、まさにシーンの先頭で時代を作るアーティストのサウンドだ。
国内盤CDには解説書が封入され、ボーナストラック「Goodbye!」が追加収録される。
実験し続けることで、自分が求めているものを表現する方法を自分なりに作り上げてきた。僕はただ、エモーショナルな共鳴を見つけようとしているだけなんだよ。
- Vegyn
発売・販売元 提供資料(2024/01/18)
フランク・オーシャンやトラヴィス・スコットらとコラボしてきたロンドンのプロデューサー、ヴィーガンが自身の主宰レーベルからニュー・アルバムを発表。ロレイン・ジェイムズやマット・マルチーズといった多くのゲストを迎えて作られたサウンドは、過去作と比べてメロディアスな側面が目立っている。魅力のひとつである突飛な曲展開は抑えめで、より丁寧に音作りをしている印象だ。穏やかな音像が心地良い"The Path Less Travelled"ではIDM的表情を見せながら、"Makeshift Tourniquet"はユーフォリックなハウス・トラックに仕上げるなど、アレンジの豊かさも耳に残る。
bounce (C)近藤真弥
タワーレコード(vol.484(2024年3月25日発行号)掲載)