テキサスのトリオ、クルアンビン、4年ぶりとなる新作が完成。巨大化した自らを顧み、家族としての3人に戻り、バンドのみで作り上げた4枚目のアルバム『ア・ラ・サラ』、リリース。
『A La Sala』は、バンドがレコーディングをする場所に戻ることをテーマとしている。アルバムはSteve Christensen(エンジニア)の倉庫(Terminal C)でレコーディングされ、リヴィング・ルームのようなフィーリングを持つ。感情的にスタート地点に完全に戻ることはできないとしても、コロナやコラボレーション・アルバムの後、バンドは帰郷することが本当に必要だと感じた。また、家族というテーマも存在した。ライヴやプロモーション等、物事はすべてが巨大化してしまったため、家族としての3人に戻り、感情的なレコーディング・プロセスを採るのは正しいことだと感じていた。『A La Sala』は以前のダブ・アルバムに収録されていた曲の曲名だが、Lauraはいつもリヴィング・ルームに人を集めるときにそう叫んでいた。これは一体感の象徴だ。バンドがこうして一緒にプロジェクトに取り組むのは2019年以来となる。そして、これは、Will van Horn(ペダル・スティール)抜きでの初めてのアルバムで、Khruangbin史上初のゲストなしの作品となる。振り子と同じように、遅かれ早かれ、反対側に振られなければならなかったのだ。音楽的/テーマ的には、リヴィング・ルームにいるような暖かさを音で表現しようとした。また、曲名はどれも極めて具体的だが、リスナーの解釈次第でもある。視覚的には、窓がリヴィング・ルームの焦点だった。そこは、空想にふけることのできる空間で、アルバム全体を通して視覚的なつながりとなる(ジャケット等)。
発売・販売元 提供資料(2024/01/25)
東洋のエクスペリエンス。サイケ・チル・トリオ:クルアンビンの4年振りとなる完全新作な2024年作。活動域やコラボ作や参加作など評価と共に巨大化した自身達を俯瞰し"帰郷"を必要とし、家族としての3人、バンドのみで制作した4枚目。家族というテーマも存在する極めてパーソナルで四畳半な録音物。実に良い。以外にもバンド史上初のゲスト無し作品。ジャケットの視覚的には窓が家族の集うリヴィング・ルームの焦点となり開閉による世界をなす。裸のクルアンビンによる最新ルックで普段の緩急アプローチも堪能できる名盤。ええやんええやん。
intoxicate (C)黒田"ハイプ"朋規
タワーレコード(vol.169(2024年4月20日発行号)掲載)
4年ぶりのニュー・アルバム!と言われてもそんな気がしないのは当然で、ここ数年はリオン・ブリッジズやヴィユー・ファルカトゥーレとのコラボ作が出たり、昨年は年間を通じて5枚のライヴ連作を発表したりしていたクルアンビン。ただ、そのように世界を跨いで人気者となり、バンドが巨大化していくことへの危機感自体が新作へ向かうモチベーションとなったようで、このたび完成した通算4作目のオリジナル・アルバム『A La Sala』は、改めて〈家族〉としての3人組に戻るべく、地元のテキサスにてバンドだけで録音されている。
レコーディングはエンジニアを務めたスティーヴ・クリステンセンのターミナルCで行われ、かつてバンドが始まった頃のようなフィーリングを意識して進められたそうだ。初めてウィル・ヴァン・ホーンのペダル・スティールもフィーチャーせず、ゲストの演奏もなし。部屋から窓の外を見るジャケが示唆的なように、濃密な『A La Sala』を仕上げたことで、3人はふたたび外へ向かうことができるのだろう。
bounce (C)狛犬
タワーレコード(vol.484(2024年3月25日発行号)掲載)