これはオルタナティヴなゴスペル、と言えるのではないか
スタジオ・アルバムとしては18作目。シンガーとしての凄み、深みは増すばかりで、そこに複雑でありながら的確なバックがその迫力を後押ししている。ケイヴ流の愛の表現、このアルバムはオルタナティヴ的解釈のゴスペルと言ってもいいのでは。とにかくその歌に引き込まれる。
タワーレコード(2024/09/13)
ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ、18枚目のアルバム『ワイルド・ゴッド』が完成。 (C)RS
JMD(2024/04/16)
ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ、18枚目のアルバム『ワイルド・ゴッド』が完成。
Nick Cave & The Bad Seedsがニュー・アルバム『Wild God』で帰ってくる。バンドの18枚目のスタジオ・アルバムがリリースされる。「このアルバムが、私に与えたような影響をリスナーにもたらしてくれることを願っている。この作品は、スピーカーから飛び出してきて、私はそれに飲み込まれてしまう。確かに複雑なレコードだけど、深くて、喜びをもたらす感染力がある。私たちがレコードを作るとき、マスタープランは決してない。レコードはむしろ、それを演奏した作家やミュージシャンの感情の状態を反映するものだ。これを聴くと、よくわからないけど、私たちは幸せなんだと思える」とCaveは語る。10曲を通して、バンドは慣例と実験の間で踊り、左折や回り道をしながら、Caveが持つ魂を揺さぶる物語の豊かなイメージと感情を高めている。これは、再会を喜び、飛び立つグループのサウンドだ。Bad Seedsの過去を懐かしむような瞬間もあるが、それはつかの間のもので、容赦がなく、留まることを知らないバンドの前進の教唆を提供するだけだ。
『Wild God』はCaveとWarren Ellisのプロデュースで、David Fridmannがミックスを担当。Caveは2023年の元旦からこのアルバムの曲作りを開始した。プロヴァンスのMiravalとロンドンのSoundtreeでセッションが行われ、Bad Seedsは、Colin GreenwoodのベースとLuis Almauのナイロン弦ギター/アコースティック・ギターの演奏を加えて、独自の錬金術をおこなった。「『Wild God』・・・、このレコードにはふざけたところは全くない。ヒットすれば、ヒットする。あなたを元気にする。あなたを感動させる。このレコードの、そうしたとこが大好きなんだ」とCaveは言う。『Wild God』はPlay It Again Samとのパートナーシップにより、Bad Seedからリリースされる。
発売・販売元 提供資料(2024/03/19)
静かな迫力と鮮烈な輝きに満ち溢れた世界。バッド・シーズ名義での5年ぶりのアルバムの印象を端的に言うとそうなる。前作を特徴づけていたヒリヒリした要素は霧散し、ゴスペルのような響きを持つバラード"Joy"を筆頭にゆったりとしたグルーヴを持ったスケールの大きな楽曲が集結。このシンガーが備え持つ知性と肉感性を大写しにする素晴らしい作品集である。
bounce (C)桑原シロー
タワーレコード(vol.490(2024年9月25日発行号)掲載)