ベッドルームから世界へ飛び出した天才肌のボップ・プリンセス、GRIFF(グリフ)。
自身の成長がそのままアーティストとしての成長に繋がっているUKのシンガーソングライターが目が眩むような創造性の高みへ恐れることなく駆け上がる。待望のフル・アルバム『VERTIGO』完成。
自身の成長がそのままアーティストとしての成長に繋がっているUKのシンガーソングライター、Griff(グリフ)。ベッドルームから世界へ飛び出した天才肌のボップ・プリンセスが待望のフル・デビュー・アルバムをリリースする。2019年のデビューEP『ザ・ミラー・トーク』発表以来、いくつかのEPと数多くのシングルをリリースしてきた彼女の最新作『VERTIGO(ヴァーティゴ)』は、サウンドプロダクションとファッション、そしてデザインからなる360度のアプローチで表現した作品である。その象徴と言えるのが、アルバム・アートワークにフィーチャーされているCSM(セントラル・セント・マーチンズ)出身のデザイナー、エデン・タンによる大きな渦巻を描いたドレスと、グリフの特徴的なスタイルでもある長い髪が創り出す"スパイラル"である。
グリフのデビュー・アルバム『ヴァーティゴ』。本作にタイトルが付く前、さらにファースト・シングルが決まる前から、彼女にはある感覚があったという――"眩暈"だ。自分が追い付けないほど世界が早く回っている時に感じる、みぞおち当たりがむかむかとする落ち着かない気持ちや、天と地がひっくり返ったような感覚、そしてこれまでになく自分の居場所が不安定に思えような感じ。その中でグリフは、これまでリリースしてきたEPやミックステープを通し、メランコリーや心の痛みを癒しや喜びへと変えていく曲をリアルタイムで紡ぎ、自己探求の冒険を続けながらファンの共感を集めていった。この複雑な時代に成長し大人になっていく姿を捉えた『VERTIGO』は、彼女をブリティッシュ・ポップで最もモダンでエキサイティングな声として定義づけたお手製のホーム・メイドの魔法を妥協せずに繰り出し、新たな創造性の高みを目指した作品である。グリフは本作で多感なヤング・アダルトの動揺をパワーの源へと変えているのだ。(1/2)
発売・販売元 提供資料(2024/04/26)
最新シングル「Miss Me To」は成長するにつれ賢くなると思っていたはずが、どんどん自信を無くしていくという、あまり語られることのない皮肉な現実をダイナミックなビートと高鳴るシネマティックなシンセが響く多幸感のあるポップ・チューンへと昇華させた1曲だ。曲で描かれた心模様を流れるような振り付けが印象的なミュージック・ビデオもまた印象的である。その他、EP『vert1go vol.1』にも収録されている思春期の純真さを懐かしむ「Into The Walls」やコミュニケーションの破綻を描いた「19th Hour」、UK 出身の音楽プロデューサーMURA MASA(ムラ・マサ)との共同プロデュースによる「Cycles」など、全14曲がアルバムに収録されている。サウンドだけでなくヴィジュアルも自身でキュレートするGRIFF。アルバムの世界観を伝えるアートワークをフィーチャーしたブックレットも必見だ。
アルバムについてGriff自身は次のように語っている。「このアルバムは、感情としての"眩暈(ヴァーティゴ)"と心の痛みに伴うクラクラとする、天地がひっくり返ったような気持ちを表現したもの。このプロジェクトを内なる落ち込んだ気持ち(『vert1go vol.1』)から絶望的な多幸感(『vert1go vol.2』)へ、そして最終章(本作)では、その全貌を語るという形でリリースしていきたかった」
初恋から失恋、悲劇や栄光まで繊細に捉えた本作『VERTIGO』は、グリフの内なる渦巻が彼女の次なる急成長へと繋がっていく自己肯定感に満ちたポップ・アルバムと呼べるだろう。(2/2)
発売・販売元 提供資料(2024/04/26)
2021年のブリット・アワードで〈ライジングスター〉部門を最年少の20歳で受賞し、ベッドルームから世界へ飛び出した英国生まれのシンガー/ソングライターが待望のフル・アルバムを完成。EPで披露されていた曲も含めて核となる相棒のサム・ツァンやロストボーイとのトラックを中心に、ムラ・マサとは"Cycles"を、サーカットとは"Anything"(コールドプレイのクリス・マーティンがピアノで参加!)をそれぞれ共同プロデュースし、シンセ・ポップ主体の作風に彼女ならではのヒネリを加えて短期間での創造的な成長を作中で垣間見せてくれる。内面に渦巻く喜怒哀楽を音に昇華した上々の一枚だ。
bounce (C)轟ひろみ
タワーレコード(vol.489(2024年8月25日発行号)掲載)