2023年3月に89歳でこの世を去った伝説のサックス奏者/作曲家、ウェイン・ショーター。その彼の没後初となる公式作品『セレブレーション Vol. 1』がリリース。
本作は、ウェインが生前からブルーノートとリリースの計画を進めていた、本人監修によるアーカイヴ・シリーズ四部作の第1弾に位置付けられるアルバム。2014年10月18日にスウェーデンのストックホルム・ジャズ・フェスティヴァルで行われたライヴを収録している。ダニーロ・ペレス (p)、ジョン・パティトゥッチ (b)、ブライアン・ブレイド (ds)を率いた後年のレギュラー・カルテット編成で、「ゼロ・グラヴィティ」、「スマイリン・スルー」、「オービッツ」、「ロータス」、「シー・ムーヴス・スルー・ザ・フェア」といった楽曲をスリリングに披露。崇高さすら感じられる白熱の演奏が捉えられており、彼のキャリアの中でも全盛期の一つと言える至高のサウンドを堪能出来る。
本作について、ウェインの妻であるカロリーナは、「2022年の秋、ウェインに音源を整理してもらうために、エンジニアのロブ・グリフィンが彼に未発表音源をたくさん送り始めたの。ウェインは四六時中その音源を聴き始めた。私が家で何かをしているとき、電話で話しているとき、仕事をしているとき、彼は『カロライナ!この曲を聴きに来て!このバンドがどんなプレイをしているか聴いてくれよ!』と叫んでいたわ。ウェインは細かいメモも残した。そのうちのいくつかはこのアルバムにも収録しているの。彼は(本作収録の)ストックホルムのコンサートを聴いて、『これをアルバムにしよう!』と言ったわ。それから彼はもっといろいろなものを聴き始めて、時間が経つにつれて、アルバムは1枚だけでは足りないことに気づいた。ウェインは当初、このコレクションを『未確認飛行物体』(Unidentified Flying Objects)と名付けたがっていたわ。バンドが演奏する音がUFOだと思っていたみたい!2023年1月、最後に入院したときも彼はトラックを選び、アルバムのレイアウトを続けたの。彼の使命の根底にある『決して諦めない』というスピリットはかつてないほど強くなって、多くの音楽をリリースすることに興奮していたわ。そのリリースが実現する頃には自分はもうこの世にはいないだろうと彼が気づいたのは、人生最後の10日間になってからだった。彼は残された時間で人生を祝う必要性を感じて、このシリーズのタイトルをセレブレーションにすることを決めたの。私は『そうよ、ウェイン!人生をお祝いしましょう!完璧なタイトルだわ!』と言ったわ」と語っている。
〈パーソネル〉Wayne Shorter(ts, ss) Danilo Perez(p) John Patitucci (b) Brian Blade(ds)
発売・販売元 提供資料(2024/07/04)
惜しくも昨年他界したサックス・レジェンド、ウェイン・ショーターが生前にブルーノート・レーベルでリリースを計画していた未発表アーカイヴ音源が登場。本作は本人監修による四部作の第一弾であり、2014年10月18日、スウェーデンのストックホルム・ジャズ・フェスティヴァルで行われたライヴ・パフォーマンスを収録。メンバーはピアノにダニーロ・ペレス、ベースにジョン・パティトゥッチ、ドラムスにブライアン・ブレイドという、2000年以降に行動を共にした強力なカルテット。各人のプレイは楽曲のメロディやコード進行を超越してゆき、即興性の高い演奏は終始緊張感にあふれている。
intoxicate (C)馬場雅之
タワーレコード(vol.171(2024年8月20日発行号)掲載)