夏を洗い流す、我らがマエケンの"歌"、絶賛営業中!
市井の人々の日常を抱きしめる歌うたい、前野健太2年振り新作は完全1人多重録音作品。清涼感あるアンビエンスとマエケン節が同居する(1)、シンプルなリズムに異邦人的歌謡メロディが斬新な(2)、ホッとする歌声が耳心地良い(5)(9)、屈指の名曲(7)、軽快なピアノとフラットな歌が遊ぶタイトル曲(12)等、サラッとした空気感と、愛すべき"歌"が詰まった、夏の終わりにピッタリな作品。
タワーレコード(2024/08/30)
シンガーソングライター前野健太8作目のオリジナルアルバム。前作『ワイチャイ』のバンドサウンドから、今作はよりシンプルな歌をメインに構成されている。完全1人多重録音アルバムとしては、2ndアルバム『さみしいだけ』(2009) 以来15年ぶりとなる。演奏、録音、アレンジすべて1人で行っているが、昨今のDTMerのような器用さはなく、無骨な"歌"が並ぶ。ギターを軸にした歌、シンセサイザー、ピアノを軸とした歌、ほぼ語りのような歌…。しかしここに前野健太の真髄が宿る。 (C)RS
JMD(2024/07/19)
日常を抱きしめるために歌があってもいい。前野健太 2年ぶり8作目のオリジナルアルバム『営業中』マエケンの真髄がそこかしこに滴る、珠玉の作品の完成!
シンガーソングライター前野健太8作目のオリジナルアルバム。
前作『ワイチャイ』のバンドサウンドから、今作はよりシンプルな歌をメインに構成されている。
完全1人多重録音アルバムとしては、2ndアルバム『さみしいだけ』(2009)以来15年ぶりとなる。
演奏、録音、アレンジすべて1人で行っているが、昨今のDTMerのような器用さはなく、無骨な"歌"が並ぶ。ギターを軸にした歌、シンセサイザー、ピアノを軸とした歌、ほぼ語りのような歌…。
しかしここに前野健太の真髄が宿る。
街を歩いて歌を拾ってきた前野が、その軌跡を辿るように、音と言葉を紡いで風景を甦らせようとする旅のようなアルバムでもある。
心が動いた風景、情景を、スケッチ、あるいは写真を撮るように、淡々と記録していく。
花、人間、蝉、祭り。喫茶店でうたた寝する店のママ、居酒屋の大将。レース後の競輪場の夕焼け、ぬるくなったビール。肯定するでも否定するでもなく、ただ風景に身を委ねるように綴られた歌詞。
今までにもあった作詞スタイルではあるが、今作ではそれがよりくっきりと明瞭になった。
それは本人がインタビューや旅エッセイでも繰り返し発言していた、「喋り声にすでにその人の歌がある」という考えが録音に影響を及ぼしたからだろうか。削ぎ落とされ、フラットになった歌声が歌詞の世界を余すことなく伝えてくれる。
カバージャケットに使われている真っ赤な営業中の旗は、前野撮影による1枚の写真だ。
「営業中」という言葉に込めた思いはいかに。小さな小さな歌が13曲。耳を澄ますと街が広がる。
帯には「日常を抱きしめるために歌があってもいい」という一文が記されている。
発売・販売元 提供資料(2024/07/11)
2年ぶりとなる8作目。前作同様にセルフ・プロデュース、かつ今回はすべての演奏と録音、ミックスもみずから担当。ドリーミーな"マイ・フォーション"、ムード歌謡"ながた屋の大将"といった1~2分台の楽曲が大半を占め、それらの小品に、華々しさとは無縁ながらも喜怒哀楽に添い堂々と暮らす人々の輪郭を、前野は活き活きと描く。シンセウェイヴから弾き語りへと移行する"さよならは言わない"、ゴスペル調の表題曲など音楽的にも聴きどころは多いが、物語や情感に即した音を探っていくと、おのずとユニークかつ幅広いサウンドになったのだろう。作品全体に漂う夏の匂いもたまらない。
bounce (C)田中亮太
タワーレコード(vol.488(2024年7月25日発行号)掲載)