2010年の2月に不慮の事故により急逝したnujabes。この「metaphorical music」は、それまでアナログのシングルを中心にリリースを重ねてきた彼が渾身の力を注ぎ込んで完成させた始めてのアルバムである。今も尚、多くの人々に愛され続ける名盤でありnujabes、hydeout productionsの核となる作品でもある。nujabesの盟友として活動を共にしてきたUyama Hirotoが初めて世に送り出したプロデュースソングでありnujabesへの想いが込められた「Letter From Yokosuka」をはじめ、「Luv (sic)」という名作を生み出したshing02とのゴールデンタッグによる「F.I.L.O」、彼のトリビュートアルバムである「modal soul classics II」でのemancipatorによるカヴァーバージョンも記憶に新しいハートウォーミングなインストルメンタルチューンの「A Day By Atmosphere Supreme」公私共に親交の扱ったシンシナティのヒップホップグループFive Deezの「Latitude」 のnujabes remix、同様に共にhydeoutの礎を築いたMC、Substantial & Pase Rockによる「Blessing it remix」やCise Starの「Lady Brown」、更には彼の幼少期の思い出や、胸に刻まれた美しい風景を音に紡ぎだした「Kumomi」、そして日本人の心象に宿る美意識を如実に現したといえる美しくも儚さを感じさせる美曲「The Final View」等、彼の存在感を決定づけたといえる名曲の数々が刻まれている歴史的な名盤。短くも激しく燃えた彼の魂のかけらが宿る奇跡の心象風景音楽第一章、遂にアナログ盤でリリース。
発売・販売元 提供資料(2024/08/21)
これまでにファンキーDLやファイヴ・ディーズらをフィーチャーした日本制作による12インチ・シングルを精力的にリリースして話題を呼び、その日本人好みともいえるメロウさ加減に優れたサウンドで熱烈なファンを増やし続けているHyde Out Productionsから、その主宰者でもあるトラックメイカー、Nujabes初のソロ・アルバムがついに登場。ペイス・ロックやサインのサイズ・スターら馴染みのMC陣を各曲にフィーチャーしつつも残りの約半分はインスト曲で挑んだ本作。得意のピアノやストリングス、生ギターなどを基調にした、温かみと哀感溢れるいわゆる〈キラー・ループ〉っぷりは、もはやインストとしての弱さなど微塵も感じさせないといってよいが、やはりMC陣と渾然一体となったサウンドは魅力的で心に響く。とにかく彼の才能が遺憾なく発揮された入魂の一枚であることには変わりナシ。必聴です。
bounce (C)卯之田 吉晴
タワーレコード(2003年09月号掲載 (P81))