ザ・ブリーダーズ~元ピクシーズのキム・ディール。
スティーヴ・アルビニもレコーディング・エンジニアとして参加したキャリア初となるソロ・デビュー・アルバムを〈4AD〉からリリース!
ザ・ブリーダーズのメンバーにして、元ピクシーズ、元アンプスの活動でも知られるオルタナティブ・ミュージックの女王、キム・ディールが、ソロ・デビュー・アルバム『Nobody Loves You More』を〈4AD〉よりリリース。
2023年に30周年を迎えた大名盤『Last Splash』で知られるザ・ブリーダーズの中心メンバーであり、ピクシーズやアンプスのメンバーでもあったキム・ディール。ソロ活動はこれが初めてではなく、2013年に7インチ・レコード・シリーズをセルフ・リリースはしているが、ソロ・アルバムという形では今作が初となる。
今回のアルバムは、芸術に対する彼女の綿密なアプローチに沿って、数年にわたり洗練されてきたものだ。最も古い曲である「Are You Mine?」と「Wish I Was」は、彼女がピクシーズの 「Lost Cities」ツアーを終えてロサンゼルスに移った直後の2011年に作曲され、元々レコーディングされていたものである。『Nobody Loves You More』のための最後のレコーディングは、伝説的なエンジニアであり親友でもあるスティーヴ・アルビニと共に2022年11月に行われ、彼はシカゴにある自身のElectrical Audioスタジオでアルバムの最後を飾る曲「A Good Time Pushed」を手掛けた。また、作品制作の過程では、ブリーダーズの過去から現在にかけてのメンバーである、マンド・ロペス、双子の妹のケリー・ディール、ジム・マクファーソン、ブリット・ウォルフォードから、ティーンエイジ・ファンクラブのレイモンド・マッギンリー、ザ・ラカンターズのジャック・ローレンス、サヴェージズのフェイ・ミルトンとエイス・ハッサンまで、さまざまなコラボレーターを迎えている。『Nobody Loves You More』はマルタ・サローニ(レディー・ガガ、ビョーク、デヴィッド・バーン、ブラック・ミディ)がミックスを担当し、ヘバ・カドリー(坂本龍一、ビョーク、ビッグ・シーフ、長谷川白紙)がマスタリングを担当した。
フロリダでの両親との冬の休暇についての「Summerland」、ウェディング・バンドによる「Margaritaville」のカヴァー「Coast」、母親の認知症についての「Are You Mine?」など、どの曲にもストーリーがある自伝的な作品であると言えるだろう。全体を通して、このアルバムはディールの比類なき芸術性を讃えるものであり、オルタナティヴ界の伝説的なバンドである、ピクシーズやアンプス、ザ・ブリーダーズにおける彼女のキャリアのハイライトを物語るだけでなく、カート・コバーンからオリヴィア・ロドリゴのような世代を超えたミュージシャンにも影響を与えた、キム・ディールの音楽の歴史における確固たる重要性を示していると言えるだろう。
発売・販売元 提供資料(2024/08/29)
ピクシーズから数えて40年近いキャリアを誇るキム・ディールだが、フロントに立つブリーダーズはオリヴィア・ロドリゴのツアーで前座に招かれるなど新たな層からも注目を集めている。そんな好機に届いたのが初のソロ名義アルバムだ。収録の"Are You Mine?"と"Wish I Was"(の別ヴァージョン)が2013年に世に出ていたように、曲作りは時間をかけてゆっくり進められ、録音は生前のスティーヴ・アルビニと行われていた。ディストーションの幻惑とドラッギーな反復で迫る"Crystal Breath"からメロディアスな"A Good Time Pushed"まで、時代の生き証人としての風格と自然体な気負いのなさが眩しい。快作!
bounce (C)狛犬
タワーレコード(vol.492(2024年11月25日発行号)掲載)