2000年代を代表する世界的ロック・バンド フランツ・フェルディナンドが、6年半ぶりの待望のニュー・アルバム『The Human Fear』をリリース!
2000年代を代表する世界的ロック・バンド、フランツ・フェルディナンドが、前作から6年半ぶりのニュー・アルバム『The Human Fear』を〈Domino〉からリリース!
2013年のアルバム『Right Thoughts, Right Words, Right Action』でもタッグを組んだマーク・ラルフを再びプロデューサーに迎えた本作は、リスナーの心を一瞬で掴み、人生を前向きにしてくれるようなアップビートな傑作であり、臆することなく独自のスタイルを突き進み、フランツらしさを炸裂させている。
スコットランドのAYRスタジオでレコーディングされた『The Human Fear』収録の全11曲は、人間の奥底に潜む恐怖と、どのようにその恐怖を克服し受け入れることが、私たちの人生を動かし、定義づけるかを暗示している。
フランツ・フェルディナンドは、グラスゴーの廃墟でアンダーグラウンドなパーティーを開いていた結成当初から、新鮮で、色褪せず、前向きで、アート・スクール的でありながらビッグ・ソングを愛するという、超越的な視点によって独自のスタイルを築き上げてきた。『The Human Fear 』は間違いなくこの伝統を受け継いだ作品である。個性的でありながら新しく、音楽的にも創造的にも、このレコードは前へ前へと突き進もうするバンドの姿を描いている。
スタジオに入る前に、彼らは曲のほとんどすべてを書き上げていた。アイデアとしては、レコーディングに入る前にソングブックを準備し、一旦スタジオに入ったらすぐに実行に移すというものだった。曲の多くはバンドが部屋にいる状態でライブ録音され、アルバムに収録されているボーカルの多くはオリジナル・テイクである。
今作は、オードリー・テイトとディーノ・バルドーをメンバーに迎えた初のスタジオ・アルバムであると同時に、2017年に加入したジュリアン・コリーがアレックス・カプラノス、ボブ・ハーディと共に作曲や創作活動に参加したアルバムとなった。
美学とスタイルをサウンドと同じくらい重要視するバンドとして、ハンガリーのアーティスト、ドーラ・マウラーの自画像「7 Twists」にインスパイアされたジャケット・アートワークにも、その重要性が反映されている。マウラーの作品が魅力的だったのは、彼らが自分たちの音楽に求めていること、つまり無視することのできない鮮烈な即興性と、何度聴いても飽きない繰り返しに耐える深みと脆さをあわせ持っていることにある。
もしかすると本作は恐怖についての楽曲集かもしれないし、もしかすると時代を象徴するバンドが、疑う余地のない生きたレガシーを継続していることを証明する楽曲集なのかもしれない。それは恐れるべきことなのだろうか?
発売・販売元 提供資料(2024/09/11)
オリジナル作品としては前作から約7年ぶりとなるニュー・アルバムをフランツ・フェルディナンドがリリース。本作ではフランツ節といえる音が鳴り響いている。ハッピーな雰囲気とダークな情動を行き来する歌詞に、思わず身体を揺らしたくなるグルーヴ。多面的な感情を歌いながら、聴く人を踊らせるというそのスタイルは職人芸の域に達している。そうした確固たる美学がありつつ、"Hooked"ではインダストリアル風味のビートを取り入れるなど、挑戦も忘れない。そんな姿勢を20年以上も貫いて辿りついたサウンドは、フランツ・ロックと形容する他ない独自性を獲得している。
bounce (C)近藤真弥
タワーレコード(vol.493(2024年12月25日発行号)掲載)