昨年、アップル・ミュージック独占でデジタル・リリースされたグラスパーのホリデイ・アルバムがCD・LPでリリース。
「みんながよく知っている曲をカバーするのが好きなんだ。私のキャリアを通してずっとそうしてきた」と話すグラスパーはこれまでもジャズ・ピアニストとして、モンゴ・サンタマリアやカート・コバーンが書いたクラシックを自分のものにしてきたが、「ホリデー・アルバムを作る上での最大の挑戦は、祝祭感を感じさせると同時に、現実的で陳腐にならないようにすることだった」と本作についてコメント。
Spatial Audioでレコーディングされた、クラシック・キャロルとオリジナルをミックスした本作では、その両方の面で成功している。グラスパーのヒップホップ/R&B/ジャズ・フュージョンが、単なる外見的なものではなく作曲的なレベルで行われていることも、このアルバムの信頼性を保っている一因だ(サンプリングされたサックス・ソロやドラム・ループのコラージュはここにはない)。ジャケットを見れば、彼の音楽的世界観がよくわかる: トニー賞受賞者のシンシア・エリヴォ(『カラーパープル』)が歌う「God Rest Ye Merry Gentlemen」はダークでエアリーなネオ・ソウルに変身し、アレックス・アイズレーが歌う「Joy to the World」はスティーヴィー・ワンダーのバラードのように感じられる。
【パーソネル】 Robert Glasper(p,key) Ben Williams,Burniss Travis II(b) Justin Tyson, Brian Collier, Marcus Baylor(ds)
発売・販売元 提供資料(2024/09/12)
昨年デジタルのみで世に出ていた初のホリデイ・アルバムがフィジカルで登場。PJモートンとセヴン・ストリーターを迎えた"Make It Home"やタリオナ"タンク"ボールとの"Memories With Mama"、アンドラ・デイとの"December"などのオリジナル曲を中心に、温かみのあるネオ・ソウルの作法で全編を聴かせる。ミュージカル版「カラーパープル」で名高いシンシア・エリヴォが熱唱する"God Rest Ye Merry Gentlemen"、アレックス・アイズレーとのソウルフルな"Joy To The World"がハイライト。
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タワーレコード(vol.492(2024年11月25日発行号)掲載)