イギリスを代表するロック・バンド=マニック・ストリート・プリーチャーズ
約3年ぶり通算15枚目となる最新アルバム『Critical Thinking』
イギリスを代表するロック・バンド=マニック・ストリート・プリーチャーズのUKアルバムチャートで1位を獲得した前作『ジ・ウルトラ・ヴィヴィッド・ラメント』から、約3年ぶり通算15枚目となる最新アルバム『Critical Thinking』(クリティカル・シンキング)。
先行楽曲「Hiding in Plain Sight」はベーシストで作詞も手掛けるメンバーのニッキー・ワイアーが、リード・ヴォーカルとしてフィーチャーされ、さらにロンドン出身のシンガー、ラナ・マクドナーもヴォーカルを加えている。プロデュースは定番のコラボレート相手であるデイヴ・エリンガとロズ・ウィリアムスとともにバンドが自ら手掛け、70年代のロックンロールの名曲や、ダイナソーJr.の「フリーク・シーン」の緩やかな流れにヒントを得た、華やかで高揚感のあるメロディとを対比させている。ニッキー・ワイアーは、最新アルバムについてこう語る。「これは弁証法が解決への道を見い出す、相反するものがぶつかり合うアルバムなんだ。曲ははつらつさや哀愁を帯びた高揚感があるけれど、歌詞の大半は自己の客観的な分析を取り上げているんだ。曲はエネルギーに満ち、時には陶酔感もある。レコーディングは散発的かつ隔離された状態で行ったこともあれば、バンドの生演奏でやったこともあった。これもまた、相反するものが意味をなしているんだ。これらの曲の核心にはクライシス(危機)がある。それらは懐疑や疑念の縮図だから、内面に引っ張られるのは必然的に思えるね。――自分自身から始めれば、他は後からついて来るかもしれない」
また、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールドはモジョ誌のインタビューに「ベストな曲を書けばそれで十分な時もあるんだ。脈絡があったとしても、ただアルバムを出して、全体の壮大なコンセプトを説明しようとしなくてもね」と語っている。
相反するアイデアがぶつかり合い、自己を見つめた歌詞と、バンド史上最もストレートで、中毒性のあるメロディが相まった至極の作品。
◆ハードカバー・ブック 仕様 CD2枚組
・CD1:アルバム12曲
・CD2:アルバム収録曲のデモ・トラック12曲+Decline & Fall (Steven Wilson Remix)
・ニッキー・ワイヤー 直筆の歌詞を掲載した12ページのブックレット付き
発売・販売元 提供資料(2024/11/01)
23年ぶりに全英1位を獲得した『The Ultra Vivid Lament』(2021年)以来となる通算15枚目のアルバムは、〈UKの国民的バンド〉という称号を体現するかのような素晴らしい仕上がり。前作のノスタルジックな雰囲気を残しつつ、ダイナミックなバンド・サウンドとピュアなメロディーを中心とした男気溢れるストレートな作品で、通常だとキャリアを重ねるにつれて失われていきがちな蒼い感覚が、彼らの場合は失われるどころか逆に増しているのが本当に凄い。プロデュースはバンド自身に加えてお馴染みのデイヴ・エリンガとロズ・ウィリアムスも参加。久しぶりに数曲で聴けるニッキーのヴォーカルにも大注目だ。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.494(2025年1月25日発行号)掲載)