南アフリカが生んだネクスト・ポップ・アイコン=Tyla(タイラ)
デビューアルバムに新曲3曲を追加収録したデラックス盤『TYLA +』(コーク・ボトル・クリア・ヴァイナル)
南アフリカ、ヨハネスブルグ出身。2023年7月にリリースした「Water」が全世界のチャートを席巻し全世界総正解数が10億回を超え。2024年にはグラミー賞、BETアワード、Billboardアワード、MTVアワードを総なめにし、サマーソニック2024にて初来日し圧巻のパフォーマンスを魅せたアマピアノの新星歌姫=タイラのデビュー・アルバム『TYLA』に、新曲を追加収録したデラックス盤『TYLA +』。
本作には、南アフリカ出身のDJ/プロデューサーのトニー・ドゥアルドと、シンガーのオプティミスト、マエストロをフィーチャーし、現地の音楽やダンス文化を感じさせられる「SHAKE AH (feat. Tony Duardo, Optimist Music ZA & Ez Maestro)」や、タイラの透き通った歌声がR&Bとアマピアノにうまく融合した「PUSH 2 START」と「BACK to YOU」の3曲が追加収録されている。
今作に関してタイラから以下のコメントが届いている。
「アマピアノが流れると、みんなの気分が一変するのがわかるの。だからこそ、R&Bやポップなど自分の好きなジャンルとアマピアノを混ぜて、自分のものにしたいと思ったの。この3曲は深く考えず、ただ楽しんでほしい!Shake AHHHH!」
サマーソニック2024年にて初来日を果たし、ここ日本でも彼女の人気が爆発。『TYLA+』を聴いて南アフリカの音楽シーンを感じてもらいたい。
発売・販売元 提供資料(2024/11/29)
The eponymous 2024 debut album from South African singer Tyla showcases her vibrant pop, R&B, Afrobeat, and rhythmic amapiano dance style. Included on the album is her breakthrough single "Water," which cracked the Top Ten of the Billboard Hot 100 and took home the Grammy Award for Best African Music Performance. Also included are other hypnotic and sultry tracks, including "Truth or Dare" and "Art." The album also features several guest performers, including Tems on "No. 1," Gunna and Skillibeng on "Jump," Becky G on "On My Body," and Travis Scott, who jumped on board for a remix of "Water." ~ Matt Collar
Rovi
TRUTH OR DARE
南アフリカのキュートな新星、タイラが待望のファースト・アルバム『Tyla』をリリース! すでに絶大な人気を集める新世代のポップスターが、届けたその気になる中身とは……?
シンプルに越境型ポップ作品として楽しめる
トラヴィス・スコットの客演版も出た"Water"のヒットで、母国の南アフリカを発祥とするアマピアノやナイジェリアを中心とするアフロビーツを世界に浸透させた功績の大きさは計り知れない。このファースト・アルバム『Tyla』も南アのDJ、ケルヴィン・モモを迎えた序曲から始まるが、アリアナ・グランデにも通じるウィスパー系の声に軽く巻き舌を交えるなどして歌うタイラの曲は、テムズ客演の"No.1"でアフリカ新世代による連帯を感じさせつつも殊更にアフリカ性が強調されることはない。サー・ノーランが手掛けた"Butterflies"はSZAやジェネイ・アイコに通じるオーガニックなR&Bだし、ガンナとスキリベンを迎えた"Jump"はダンスホール、P2Jが手掛けたベッキーGとの"On My Body"はラテンのフレイヴァーがあり、シンプルに同時代の越境型ポップスとして楽しめる。とりわけ、トリッキー・スチュワートの名がソングライターとして刻まれた"Safer"から"Water"を挟んで"Truth Or Dare"へと続く流れの心地良さは格別。パーカッシヴでスムーズな楽曲群はセクシャルな歌詞であることも忘れさせる爽やかな中毒性があり、ダンサブルでありながら抑制も効いている。このサマーなソニック感には降参するしかない。
bounce (C)林剛
タワーレコード(vol.485(2024年4月25日発行号)掲載)
ポップ・ミュージックの最先端
南アフリカのヨハネスブルクで育ったタイラは、2023年発表の"Water"を大ヒットさせ、音楽シーンの第一線に躍り出た。その勢いはとどまるところを知らない。第66回グラミー賞では〈最優秀アフリカン・ミュージック・パフォーマンス〉部門を受賞するなど、スターへの道程を堂々と歩んでいる。そんなタイラのファースト・アルバムが『Tyla』だ。本作は、南アフリカ発祥のダンス・ミュージックであるアマピアノを軸に、甘美かつ肉感的なポップソングを鳴らしている。多彩なグルーヴはジャンルの境界線を軽やかに飛び越え、艶やかなヴォーカルはリスナーの耳を惹きつける蠱惑が際立つ。現在22歳のアーティストが放つデビュー作としては、高い完成度を誇る。
本作は、ネットでバズったアーティストのアルバムという狭い枠に収まる作品ではない。2000年代後半のナイジェリアで始まったとされる音楽ムーヴメントの〈オルテ〉以降、アフリカの音楽は更新の速度を速め、世界中の人たちに聴かれるようになったが、そうした流れの最先端にタイラは位置づけられるからだ。『Tyla』はポップ・ミュージックの最先端を颯爽と走り抜けている。
bounce (C)近藤真弥
タワーレコード(vol.485(2024年4月25日発行号)掲載)