ジャミロクワイ『Dynamite』20周年記念盤(ダイナマイト・スモーク・ヴァイナル)
未発表曲をまとめたボーナスCD 付き!
『Dynamite』(ダイナマイト)は、ジャミロクワイにとって6作目のアルバムで、2001年にリリースされた『A Funk Odyssey』に続く作品。2005年6月20日に英国でリリースされ、前作に続きチャートでも好成績を記録し、全英アルバム・チャートで3位に初登場。先行シングル「Feels Just Like It Should」は、全米ダンス・チャートで1位を獲得したほか、全英シングル・チャートでもトップ10入り。また、リード・ヴォーカルのジェイ・ケイが、怪しげな男"キャンディマン"との一人二役に扮するビデオも話題となり、グラミー賞Best Short Form Music Videoにノミネートされました。続く2ndシングル「Seven Days in Sunny June」もトップ15入りし、2006年にはメリル・ストリープ、アン・ハサウェイ主演で大ヒットした映画『プラダを着た悪魔』でも使用された。
今作は、20周年を記念し、2枚組カラー・ヴァイナル (ダイナマイト・スモーク仕様)で登場。更に、オリジナル収録曲に加え、リリース当時に録音されていた別バージョン未発表楽曲をまとめたボーナスCD付き。ジャケットは、エンボス加工のアートワークが施されたゲートフォールド・スリーヴ仕様。
今回のレコード再発は、ジャミロクワイの名作を再評価する流れのひとつであり、これまでに『Emergency On Planet Earth』『The Return Of The Space Cowboy』『Travelling Without Moving』『A Funk Odyssey』、ベスト・アルバムである『High Times: The Singles 1992-2006』が、ボーナス・トラック付きのアナログ盤としてリイシューされている。
発売・販売元 提供資料(2025/05/16)
Not unlike one of its lead singer Jay Kay's much publicized Lamborghinis, the U.K. funk band Jamiroquai is primarily a vehicle for its frontman's various fetishes. Which is another way of saying that Kay loves disco and fancy retro sneakers and he wears both well. He has done so ever since he hippie-danced his way out of the acid jazz ghetto of the early '90s with Jamiroquai's revelatory debut album, Emergency on Planet Earth. That album featured Kay's bright and soulful vocals against '70s-style funk and drew obvious comparisons to Stevie Wonder, Earth, Wind & Fire, and sundry other icons of vintage R&B. Not too much has changed in the years since and 2005's Dynamite finds Kay and Co. delving once again into various '70s- and '80s-inspired dance sounds. Similar to 2001's dazzlingly slick Funk Odyssey, Dynamite reveals Kay as a dancefloor eclectic, inclined to grab as much from Chic and Parliament as Kajagoogoo, the Police, and Terry Callier. Keeping to this grab bag aesthetic, Kay makes the most of his experimentation with some "vocal bass synthetics" on the hard funk title track. Also engaging is the melancholy soul-folk of "Seven Days in Sunny June" and the similarly quiet storm-ready ballad "Talullah." On the funky side of things, "Starchild" finds Kay proclaiming the coming of a disco superman while "Time Won't Wait" is an infectious Off the Wall-era Michael Jackson boogie fest with Kay urging people to make their dreams come true over a bed of pulsating disco beats. The Jamiroquai faithful would accept nothing less. ~ Matt Collar
Rovi
スペース・カウボーイが帰ってきた。そうそう、あのファットボーイ・スリムが主宰するサザン・フライドの若頭がね、ついに新作をリリ……ってのはスペース・カウボーイ違い。往年のリスナーの頭には、ジャミロクワイの『The Return Of Space Cowboy』が浮かぶだろうし、同作がスライ&ザ・ファミリー・ストーン“Spaced Cowboy”にインスパイアされたブツだったと思い出す人もいるかも知れんな。そのように、アシッド・ジャズからデビューして数年はそのスライやスティーヴィー・ワンダーらの影響を無邪気にアピールしていた彼らも、ここ最近はフィリー~サルソウルを換骨奪胎したディスコ・チューンに比重を傾けていた。でも、アズーリの人気コンピ〈Late Night Tales〉でソウル~ファンク馬鹿な選曲を披露していたジェイ・ケイだけに、今回はやってくれてるよ。先行シングル“Feels Just Like It Should”は、ジェイのヒューマン・ビートボックスを敷いた不穏なビートとワウワウ轟くギターがシノギを削り合う……強引に言えばスライ的なファンクだ。まあ、強引に言わなければレニー・クラヴィッツだったりするのだが、それを一発目のシングルに選ぶあたりにも不敵な自信を感じるし、近年路線の表題曲やワンダーな筆捌きで描いたメロディーが美しい“Seven Days In Sunny June”といった手クセ(悪い意味じゃない)を無造作に並べつつ、ワイルド・チェリー丸出しのファンクからガレージ・ロックまでを随所で聴かせる作りは、改めてバンド感を優先したことの証左だろう。そういう意味では仕切り直しの力作と呼んでも差し支えないです。
bounce (C)出嶌 孝次
タワーレコード(2005年07月号掲載 (P72))
ウワサによると、夏のツアーに向けてボクシングで体力作りをしているというジェイ・ケイ。彼のヒューマン・ビートボックスもフル回転する冒頭のロッキン・ファンクな先行シングル“Feels Just Like It Should”でのあけっぴろげな肉感性然り、アルバム・ジャケットのこれまでには考えられなかった生身っぷり然り、2005年型ジャミロクワイはシンボルとしてのメディシンマンをあまり必要としていないのかもしれない。前作『A Funk Odyssey』のUSでのリリース日が奇しくもあの年の〈9.11〉で、その時にちょうどプロモーションでマンハッタンを訪れていたメンバーたち。その後、各人が複雑な思いを抱えて活動していたのは容易に想像がつくし、ジェイ・ケイはしばらくの間、たっぷり休養を取りながらのマイペースな創作を続けていたようだ。そして導き出された彼らのひとつの答えが、本作での〈とことん陽性〉とでもいうべき明快さ。歌謡ソウル(?)、ガレージ、エレクトロ・ポップ……と、これまで以上に多彩(で、ヴォリューム満点!)なコース料理を出されたワケだが、アルバムを通して聴いてまったくダレない味付けがされている。音の外的形状は寸分の狂いもなく整っていて、かつ中身はアツアツのトロトロ。彼らが生来持ち合わせていたラテン性=悦楽への飽くなき欲求と、時に頑固なまでの職人気質との双方がせめぎ合った結果、至極アバウトでフリーキーな筆致で描かれているように見えるが、実は緻密に計算され尽くした〈ナスカの地上絵〉みたいなスケール感を備えた作品に――なんて言ったら誉めすぎなんでしょうか。
bounce (C)佐々木 俊広
タワーレコード(2005年07月号掲載 (P72))