裸のラリーズ 水谷孝が構想していた「第4のアルバム」、35年の時を経て遂に具現化。
『Disque 4』と題したアルバムのリリースが決定。
1991年にリリースされたオリジナル・アルバム3タイトル(『'67-'69 STUDIO et LIVE』『MIZUTANI / Les Rallizes Denudes』『'77 LIVE』)の制作時、水谷孝は並行してもう1つのアルバムのための作業を進めていた。
ユーマチック、オープンリール、DATなど、様々な媒体で準備された素材には、いずれも『Disque 4』や『Record No.4』といった表記を含め「4」という数字が書き込まれ、それらが「4番目のアルバム」のためのものであることを示している。さらには、そういった素材をアナログ盤の形(A・B面に分けて20数分程度ずつの長さ)にまとめようとしていた痕跡も確認できた。
複数のソースからスタジオでの演奏をメインに集められた各曲は、1976年の録音で統一されているらしいことも判明。これは、かつて水谷自身が「リリースされた3枚のアルバムの他にもう1枚、『'77 LIVE』と同じメンバーで録音したスタジオ音源から成るアルバムが存在する」事実を仄めかしていた、という証言と一致する。
しかし、90年代初頭、アナログ・レコードからコンパクト・ディスクへと体制が切り換わったばかりの状況下では、アナログ盤による発売が極めて実現困難であったことは想像に難くない。そのまま「第4のアルバム」は、幻の作品となってしまった。
本作は、水谷が4番目のアルバムのために選りすぐった素材から、「イビスキュスの花 或いは 満ち足りた死」(※『拾得 Jittoku '76』に収録)を除いた楽曲を再構成。水谷の残したマスターを基に、オリジナルに近いテープも発掘して使用し、再び久保田麻琴のプロダクション作業とマスタリングによって作り上げられた。
ライヴでは音量・演奏時間ともに膨大なヴォリュームで知られる裸のラリーズの音楽だが、この作品はスタジオ・レコーディング音源を中心に1枚のアナログ・レコードというサイズにまとめられたことで、アグレッシヴなノイズの洪水というイメージを超え、その芯にある「抒情性」が鮮明に浮かび上がっている。そして、それもまた現在、世界中のファンを惹きつけているラリーズの魅力であることは、あらためて言うまでもないだろう。
[参加メンバー]
水谷孝:ヴォーカル/ギター
中村武志:サイド・ギター
楢崎裕史:ベース
三巻敏朗:ドラムス
●湯浅学によるライナーノーツ付き
発売・販売元 提供資料(2026/02/13)
1曲目「黒い悲しみのロマンセ 或いはFallin' Love With」は、1976年8月11日、渋谷・屋根裏でのライブ音源。独特の暗さはあるとはいえ、音像がクッキリしていて、水谷氏の抒情的な面も垣間見えます。
2曲目「夜の収獲者たち」は、1977年前半の録音の可能性があるとのこと。これまでのイメージとは異なるアップテンポな曲調でビックリ。リスナーを踊らせるような曲もあったとは、新鮮な喜びです。
3曲目「夜の風 そして 夜明けのロウソクの炎」と4曲目「鳥の声」は、1976年のスタジオ録音。カセット音源らしいですが、見事に修復されています。「夜の風・・」はゆったりとクールに展開していきます。水谷氏のギターサウンドはタイトル通り、夜風を連想。「鳥の声」は、深いエコーに包まれたヴォーカルが、暗い森の奥から響いてくるかのよう。バンド特有の情念が感じられ、この辺がラリーズらしいと思いました。
5曲目「白い目覚め」と6曲目「夜、暗殺者の夜」は、間章氏が企画した高田馬場BIG BOXのスタジオでの録音だそうです。「白い目覚め」は、ユラユラした音像の中から、水谷氏の切ないヴォーカルが浮かび上がってきます。「夜、暗殺者の夜」は、これまで聴いた中では最もアップテンポ。当時の水谷氏の心境によるものでしょうか? 2曲目「夜の収獲者たち」と共に、このアルバムの収穫では?
7曲目「The Last One_1976」はボーナストラック。1976年5月16日、渋谷・屋根裏でのライブ音源で、これぞラリーズという感じの轟音がズシッズシッと迫ってきます。聴く者を奈落の底に突き落とすような暗黒の世界こそラリーズそのものか・・?
全7曲、約59分。