<リヒテル生誕111年記念企画>
1970-71年ザルツブルク、1975年ウィーンで録音されたベートーヴェンとブラームス音源を再編成。K2HDマスタリングを経て新規でSACD化!伊熊よし子氏の新規序文解説付。当時リヒテルを多く手掛けたディレクター、野島友雄氏監修による原音を追求したマスタリングを実施
「リヒテルのベートーヴェンとブラームスはピアノの響きが幾重にも変容し、作品によって多彩な響きを生み出していることが理解でき、各作品と対峙する際の洞察力の深さと作曲家への敬愛の念が強く深く伝わってくる」~伊熊よし子氏による新規解説より
当時のディレクター野島友雄氏監修のもと、ビクターFLAIRマスタリングワークスにおいて、電源・ケーブル類から見直した最新のマスタリングを実施。リヒテルの表現力がより明瞭に、緻密なテクニックがより明確にわかる、精細な音作りを目指しました。リヒテルの目の覚めるような演奏は、私たちを言いしれない興奮に駆り立てます。今回のリヒテルのSACD化復刻は、日本ビクターが原盤もしくは販売権を持つ音源を取り上げます。収録場所、録音順にほぼ準拠した構成とし、各アルバムを集成しました。
(1/3)
タワーレコード(2026/05/01)
リヒテルは各レーベルにライヴを含め多くの録音を残していますが、発売に関してはかなり厳密に吟味していたようです。収録を行ったものの、本人が演奏に納得せず実際はリリースされなかった音源も多数あるようで、前出の野島友雄氏によるとビクターで収録した音源のなかでもリリースできなかった音源やテイクは多く存在するとのことでした。時にはライヴが終了した後でも再度収録のために演奏を頭から行うなど、拘りと高い意識を常に持っていたとのこと。一般的にも完璧主義者としても認識されており、類稀なる集中力と緊張感を持って、この上なく練磨された演奏で聴き手を圧倒する印象が強いのがまさにリヒテル、そのものではないでしょうか。納得するまで追求する姿勢もまた、リヒテルを語る上では欠かせない要素のひとつと言えます。残された音源はいずれもリヒテルしか成し得ないピアニズムが活きており、聴き手も納得させられるものばかりです。
リヒテルはベートーヴェンもレパートリーの主軸に据え、多数の曲を取り上げてきました。とりわけ、当時鉄のカーテンから西側にデビューした1960年のアメリカ演奏旅行の際にRCAが収録した「熱情」ソナタは、同じく収録された「ブラームス:ピアノ協奏曲第2番」と共に圧倒的なインパクトを与えました。今回のアルバムには1970年7月と翌年9月のザルツブルクでの録音と、1975年4月のウィーンでの録音が収録されています(1970年はリヒテルが初来日(大阪万博)した年であり以降日本へは頻繁に訪れるようになります)。レパートリーが広大なリヒテルにおいてもベートーヴェンのソナタは全曲演奏した訳ではなく、有名曲に限らず、独自に演奏曲を吟味していました。ピアノ・ソナタ第3番と第4番もリヒテルが良く取り上げた曲ですが、第3番はこの録音が著名であり高く評価されています。第4番は、同年のモスクワ録音も有名です。他の曲含めリヒテルの演奏はどの曲でも作品の神髄を抉り出すかのような表現力の高さと精神性が確立されており、見事に構築されています。各変奏曲での曲構成や仕組みを高い精度で再現させており、いずれの曲も一聴に値します。今回の高音質化によって、細部の見通しや全体像がより掴めるようになりました。尚、このアルバムでは全て同じエンジニアによって収録されていますので各マイクセッティングやピアノの録り方に若干違いがあるにせよ、音質的には統一感のある音源となっています。録音はオイロディスクのスタッフにより行われました(原盤メロディア)。
(2/3)
タワーレコード(2026/05/01)
今回の音源は元々アナログ録音で収録され初出当時はアナログテープが日本ビクターに送付されていましたが、その後テープが恐らくCD発売時に返却されたのか、現存していない状況でした。そのためCD発売時のマスターデータ(44.1kHz/16bit)を基に「K2」の技術を用い192kHz/24bitにアップコンバート後、DAコンバーター(DCS-955)でアナログ化を行った上でDSD化することにより、原音の追求を図りました。SACD層だけでなくCD層でもその差を感じることができます。「K2」テクノロジー(K2HD)を用い、最新でマスタリングを行った上でSACDハイブリッド盤として新規で復刻します。
尚、解説書にはLP初出時の一部解説と、新規で序文解説を掲載しました。また、ジャケット・デザインにはDISC1のベートーヴェン:6つの変奏曲他を採用し、解説書の裏面他に同:ピアノ・ソナタ第3番&第4番他のジャケット・デザインをカラーで収納しています。
<K2HDマスタリングとは>
「原音を追求したK2HDマスタリング」
「K2」テクノロジー(K2HD)では、失われた音楽情報を解析することで、それぞれに異なる倍音成分を持つ楽器ごとの音色の復元や、演奏者の音楽表現の再現までを可能にしています。本作のマスタリングでは、当時のディレクターとレコーディング・エンジニア立合いの元、「K2」の技術を使い、CDマスターを192kHz/24bitにアップコンバートすることで原音の追求を図りました。SACD層だけでなくCD層でもその差を感じていただけるものと思います。
■「K2」とは
日本ビクターとビクタースタジオが共同開発した音源デジタル化における高音質化情報処理技術です。
■「K2」の理念
「元の状態に戻す・復元する」「変質させない・オリジナルのまま」、この2つの指針に基づき、「アーティストの拘りの音をオリジナルのままに再現する」これが「K2」の理念です。
■22.05kHz以上の復元(失われた情報の復元)
音は多くの倍音により構成されており、その倍音はデジタル化で失われてしまいます。 「K2」は、失われた音楽情報を時間軸で解析し、デジタルマスターで失われた再生周波数22.05kHz以上の周波数を再現することにより、楽器ごとの倍音の音色や、演奏者の表現を復元し、オリジナルマスターと同等の音楽表現を再現しています。
■本作独自のマスタリング
本作は、K2HDによりCDマスターを192kHz/24bitにアップコンバートし原音の追求を図りました。周波数領域ではなく時間軸で処理をする「K2」だからこそ実現可能な技術です。
(3/3)
タワーレコード(2026/05/01)
まさか忘れている?
企画の正当性やリヒテルに対する愛情にいささか疑義を感じて残念です。