<リヒテル生誕111年記念企画>
1971-72年ザルツブルクで録音されたシューマンとシューベルト音源を再編成。K2HDリマスタリングを経てSACD化!伊熊よし子氏の新規序文解説付。当時リヒテルを多く手掛けたディレクター、野島友雄氏監修による原音を追求したマスタリングを実施
「スヴャトスラフ・リヒテルを代表する特別なシューベルトと、エレガンスの極致を描き出すシューマン」~伊熊よし子氏による新規解説より
当時のディレクター野島友雄氏監修のもと、ビクターFLAIRマスタリングワークスにおいて、電源・ケーブル類から見直した最新のマスタリングを実施。リヒテルの表現力がより明瞭に、緻密なテクニックがより明確にわかる、精細な音作りを目指しました。リヒテルの目の覚めるような演奏は、私たちを言いしれない興奮に駆り立てます。今回のリヒテルのSACD化復刻は、日本ビクターが原盤もしくは販売権を持つ音源を取り上げます。収録場所、録音順にほぼ準拠した構成とし、各アルバムを集成しました。
リヒテルは各レーベルにライヴを含め多くの録音を残していますが、発売に関してはかなり厳密に吟味していたようです。収録を行ったものの、本人が演奏に納得せず実際はリリースされなかった音源も多数あるようで、前出の野島友雄氏によるとビクターで収録した音源のなかでもリリースできなかった音源やテイクは多く存在するとのことでした。時にはライヴが終了した後でも再度収録のために演奏を頭から行うなど、拘りと高い意識を常に持っていたとのこと。一般的にも完璧主義者としても認識されており、類稀なる集中力と緊張感を持って、この上なく練磨された演奏で聴き手を圧倒する印象が強いのがまさにリヒテル、そのものではないでしょうか。納得するまで追求する姿勢もまた、リヒテルを語る上では欠かせない要素のひとつと言えます。残された音源はいずれもリヒテルしか成し得ないピアニズムが活きており、聴き手も納得させられるものばかりです。
(1/3)
タワーレコード(2026/05/01)
シューマンとシューベルトもリヒテルにとって重要なレパートリーのでした。シューマンに関しては現在ほど演奏されていない'60年代や'70年代にかけてまでは、他のピアニストと比較してリヒテルやホロヴィッツが多く紹介してきた実績があります。繊細なフレーズ感と壮大なスケールが同居したリヒテルの弾くシューマンは格調も高く、後の世代のピアニストにとっても模範となる演奏でした。シューマンの各所に散りばめられたロマン性も豊かであり、リヒテルの演奏によってシューマンの美しさに目覚めたリスナーも多いのではないでしょうか。ダイナミズムも併せ持った演奏により、シューマンのピアノの魅力がより増しているとも言えます。一方シューベルトもまたリヒテルが得意とした作曲家であり、とりわけ遺作となった「ピアノ・ソナタ第21番」における抒情性と確固たる構成力の高さは特筆すべきです。リヒテルは冒頭から極めて遅いテンポを取り丁寧に歩みますが、一音一音がしっかり刻まれることで重要な意味付けがされて行きます。第19番と共にスケールの大きさと楽曲に対する真摯な向き合いを感じさせるのは見事であり、現在でも各曲を代表する録音のひとつと言って差し支えないでしょう。聴き手の心が震える瞬間が数多くある、まさに名演奏です。尚、このアルバムでは全て同じプロデューサーとエンジニアによって収録されていますので各マイクセッティングやピアノの録り方に違いがあるにせよ、音質的には統一感のある音源となっています。録音はオイロディスクのスタッフにより行われました(原盤メロディア)。
今回の音源は元々アナログ録音で収録され初出当時はアナログテープが日本ビクターに送付されていましたが、その後テープが恐らくCD発売時に返却されたのか、現存していない状況でした。そのためCD発売時のマスターデータ(44.1kHz/16bit)を基に「K2」の技術を用い192kHz/24bitにアップコンバート後、DAコンバーター(DCS-955)でアナログ化を行った上でDSD化することにより、原音の追求を図りました。SACD層だけでなくCD層でもその差を感じることができます。「K2」テクノロジー(K2HD)を用い、最新でマスタリングを行った上でSACDハイブリッド盤として新規で復刻します。
尚、解説書にはLP初出時の一部解説と、新規で序文解説を掲載しました。また、ジャケット・デザインにはDISC2の有名なシューベルト:ピアノ・ソナタ第21番を採用し、解説書の裏面他に同:ピアノ・ソナタ第19番やシューマンのジャケット・デザインを一部カラーで収納しています。
(2/3)
タワーレコード(2026/05/01)
<K2HDマスタリングとは>
「原音を追求したK2HDマスタリング」
「K2」テクノロジー(K2HD)では、失われた音楽情報を解析することで、それぞれに異なる倍音成分を持つ楽器ごとの音色の復元や、演奏者の音楽表現の再現までを可能にしています。本作のマスタリングでは、当時のディレクターとレコーディング・エンジニア立合いの元、「K2」の技術を使い、CDマスターを192kHz/24bitにアップコンバートすることで原音の追求を図りました。SACD層だけでなくCD層でもその差を感じていただけるものと思います。
■「K2」とは
日本ビクターとビクタースタジオが共同開発した音源デジタル化における高音質化情報処理技術です。
■「K2」の理念
「元の状態に戻す・復元する」「変質させない・オリジナルのまま」、この2つの指針に基づき、「アーティストの拘りの音をオリジナルのままに再現する」これが「K2」の理念です。
■22.05kHz以上の復元(失われた情報の復元)
音は多くの倍音により構成されており、その倍音はデジタル化で失われてしまいます。「K2」は、失われた音楽情報を時間軸で解析し、デジタルマスターで失われた再生周波数22.05kHz以上の周波数を再現することにより、各楽器ごとの倍音の音色や、演奏者の表現を復元し、オリジナルマスターと同等の音楽表現を再現しています。
■本作独自のマスタリング
本作は、K2HDによりCDマスターを192kHz/24bitにアップコンバートし原音の追求を図りました。周波数領域ではなく時間軸で処理をする「K2」だからこそ実現可能な技術です。
(3/3)
タワーレコード(2026/05/01)