<リヒテル生誕111年記念企画>
2大巨匠の奇跡の饗宴。初出時のオリジナル収録順に、CDでは初めて1枚に収録!D.オイストラフとの1968~69録音「ライヴ・レコーディングズ」が初SACD化!20世紀究極の永久保存盤。ビクター所蔵のアナログ・マスターテープを使用し最新マスタリング!伊熊よし子氏の新規序文解説付。当時リヒテルを多く手掛けたディレクター、野島友雄氏監修による原音を追求した最新復刻
「オイストラフとリヒテルのデュオは作曲家の魂に肉薄し、ライヴからはその気概が伝わり、作品の新たな面が発見でき、作曲家の《声》が聴こえてくるようだ」 ~伊熊よし子氏による新規序文解説より
当時のディレクター野島友雄氏監修のもと、ビクターFLAIRマスタリングワークスにおいて、電源・ケーブル類から見直した最新のマスタリングを実施。リヒテルの表現力がより明瞭に、緻密なテクニックがより明確にわかる、精細な音作りを目指しました。リヒテルの目の覚めるような演奏は、私たちを言いしれない興奮に駆り立てます。今回のリヒテルのSACD化復刻は、ビクターが原盤もしくは販売権を持つ音源を取り上げます。収録場所、録音順にほぼ準拠した構成とし、各アルバムを集成しました。
リヒテルは各レーベルにライヴを含め多くの録音を残していますが、発売に関してはかなり厳密に吟味していたようです。収録を行ったものの、本人が演奏に納得せず実際はリリースされなかった音源も多数あるようで、前出の野島友雄氏によるとビクターで収録した音源のなかでもリリースできなかった音源やテイクは多く存在するとのことでした。時にはライヴが終了した後でも再度収録のために演奏を頭から行うなど、拘りと高い意識を常に持っていたとのこと。一般的にも完璧主義者としても認識されており、類稀なる集中力と緊張感を持って、この上なく練磨された演奏で聴き手を圧倒する印象が強いのがまさにリヒテル、そのものではないでしょうか。納得するまで追求する姿勢もまた、リヒテルを語る上では欠かせない要素のひとつと言えます。残された音源はいずれもリヒテルしか成し得ないピアニズムが活きており、聴き手も納得させられるものばかりです。
この「オイストラフ=リヒテル ライヴ・レコーディングズ」はビクターからの発売としては約30年ぶりとなる復活で、世界初のSACD化となります。また、1969年5月3~4日ライヴのショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタは、世界初演時の貴重な録音です。今回、LPでの発売以降、これまでCDでは1972年の「ラスト・レコーディングズ」の曲目と合わせ複数枚(後のBMGでの再発時も同様)でリリースされていた3曲を、国内盤CDとしては初めてオリジナル順に、1枚に収録しました。
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タワーレコード(2026/08/07)
1968年12月28日ライヴのフランク(イ長調)とブラームス(第3番)のヴァイオリン・ソナタは、この旧ソ連の二大巨匠が共演した初めての録音です。ヴァイオリン・ソナタのピアノ・パートにおいて、リヒテルほど幅広い表現力と深遠な芸術性を感じさせるピアニストは他にいないでしょう。それを証明するのが、ここでのフランクのソナタの録音です。冒頭からリヒテルは、ゆったりとしたテンポと静謐な美しさのなかで深く幻想性に満ち、聴き手に無限の想像力を喚起するように弾き進めています。そこにオイストラフのヴァイオリンが明確な発音と、絶妙なイントネーションで加わります。曲想は徐々に高まってゆきますが、その頂点におけるリヒテルの激しい高揚と力強い打鍵は、他のピアニストたちとは次元の異なる凄まじさです。オイストラフも強烈なリヒテルに一歩も退かず、力強さと高貴さを併せ持った美音とスケールの大きな表現で応えます。フランクのソナタにおいて、これほど聴き応えがあり、かつ芸術的気品を感じさせる演奏は他に類例を見ないものといえるでしょう。第2楽章での二つの楽器の激しい応酬、第3楽章での深い幻想、第4楽章での循環主題の運命的な再現を経ての晴れやかなコーダと、いずれも素晴らしい表現です。ブラームスの第3番では、リヒテルの繊細さから強烈さまで幅の広い表現力がやはり見事で、両端楽章でのベートーヴェン的な迫力、第2楽章での深い沈潜、第3楽章の柔らかなタッチでの軽やかさなど、それぞれ楽曲の本質を衝いています。対するオイストラフは、技巧の安定性と力強さ、発音の明快さ、音色の深いコクが際立ち、ブラームスの憂愁と情熱を見事に表出しています。
前述の通り、1969年5月3-4日ライヴのショスタコーヴィチは、オイストラフの60歳記念に捧げられた同作品の世界初演の記録です。冒頭のピアノのみによるオスティナート風の動機から、リヒテルは揺るぎない安定感と深い瞑想を感じさせ、聴き手を作品に引き込みます。やがてその動機にオイストラフが加わって表情豊かな第1主題を導き、ピッチカートによる第2主題によって音楽が高まってゆきます。その後、ヴァイオリンはスル・ポンティチェッロ奏法(駒の近くを擦る奏法)や弱音器を用いて静まってゆきますが、ここでのオイストラフの神秘的な表情や繊細な音色の変化、リヒテルとともに描き出す静謐な抒情はまさに聴きものです。第2楽章は、ショスタコーヴィチ的な辛辣かつ強烈なスケルツォ。ここでのリヒテルの明確を極めた打鍵と、オイストラフの迫力ある重音奏法との交錯は、作品の内容や効果を余すところなく音化しています。終楽章ラルゴでのピアノとヴァイオリンの激しいやりとり、アンダンテに入ってからのヴァイオリンのピッチカートによる神秘的な主題提示、ピアノのレガート奏法による主題反復の美しさ、そして両者のカデンツァを経て築かれる豪快にして雄大なクライマックスなどは、両巨匠ならではの至芸と言えるでしょう。
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タワーレコード(2026/08/07)
今回の復刻では、ビクターが温度管理も含め厳重に保管していたビクター所蔵のオリジナル2chのアナログ・マスターテープを用い、当時も使用していたスチューダーのA-80で再生した音源をSACD層用にはDSDでダイレクトに、CD層用には同じくDSD化された音源を基に出来るだけ工程ロスを減らしたピュアな方法で44.1kMzに変換しています。製品化にあたってはスタジオでマスターテープと比較の上、DSD2.8MHz、DSD5.6MHz、DSD11.2MHz、PCMは44.1kHzから192や384等、可能な限りのレートで試聴を行った上で、DSD2.8MHzのダイレクトを採用しました。これは、SACDのフォーマットが2.8MHzのため工程で一番ロスが少ないこと(他のレートでは最終的に2.8MHzに変換するため工程が多くなる)で、楽器の質感や音色が一番アナログ・マスターテープに近かったことによります。もちろん、今回もテープの状態が非常に良かったことにより、音楽性を重視した最小限のマスタリングに留めています。そのため、本来のアナログ・マスターテープに極めて近似した音を再現できました。尚、CD層はDSD化音源を使用し調整しています(今回、全工程は広義な意味も含め「マスタリング」という言葉を使用しています)。現在の技術を用いたこの素晴らしい録音を最大限お楽しみいただけます。
尚、解説書には初出時の一部解説と、新規で序文解説を掲載しました。また、ジャケット・デザインはビクターのLP初出時のものを採用しています。
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タワーレコード(2026/08/07)