【サントラを極める】第1回:優しさを極めたサントラを聴く!
優しさを極めたサントラを聴く!
音楽をより深く楽しんでいただくための特別企画「極めるシリーズ」。サントラ第1回のテーマは「優しさを極めたサントラを聴く!」です。バイヤーによる解説とともにお楽しみください。
1.『ミスター・アーサー オリジナル・サウンドトラック』
夢のメロディメイカー、バート・バカラックが8年ぶりに映画音楽ジャンルに帰って来た1981年の大ヒット盤。ダドリー・ムーア、ライザ・ミネリ主演映画『ミスター・アーサー』のサントラ盤。思わず口ずさんでしまう楽しさの主題歌「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」は前年1980年にポップス・シーンを席巻したクリストファー・クロスとの共作となり、今やスタンダードに。他、バカラック自身のポップなインストとニコレット・ラーソン、アンブロージア、スティーヴン・ビショップなどの粋で優しいシティ・ポップも収録。
2.Michel Legrand『Demy-Legrand / L'Integral En Musique(11CD)』
フランスを代表する映画音楽作曲家でもあるミシェル・ルグラン。多くの名作を共に世に送り出してきた映画監督、ジャック・ドゥミ。ドゥミ監督×ルグラン音楽と言えば、映画界で最も美しく最もフランス映画らしいフランス映画といっていいが、そんな彼らが組んだ作品のサントラを余すところなく収録した、なんと11枚組のボックス・セット。「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」といった名作中の名作から、初CD化となる「ベルサイユのばら」まで、優しく華やかで、最も映画音楽らしい名メロディを堪能でき、パッケージもおしゃれな仕様。
3.John Williams (Composer)『Jane Eyre (1970)(OST)』
『ジョーズ』『スター・ウォーズ』以前、ジョン・ウィリアムスの映画音楽は、時にジャジーであり、時に詩的なメロディをもちドラマティックであった。そんな若き日のジョン・ウィリアムスの1970年作品。幾度も映画化されたブロンテの不朽の文学の映画化のうち、デルバート・マン監督、スザンナ・ヨーク、ジョージ・C・スコット主演の一編。流れる音楽は、悲しげに美しくキャッチーなメロディによるピアノとオーケストラ・サウンド。古城の風景も目に浮かぶような、感動と共に優しい気持ちになれる、まさにロマンティックな映画音楽の名作。
4.『About Time(OST)』
映画自体も、2014年日本公開作品中、屈指の<優しくなれる映画>だった、リチャード・カーティス監督、ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス主演作品『アバウト・タイム』。その傑作の、サントラももちろん、優しい気持ちになれる一枚。ベン・フォールズ、ポール・ブキャナン、グルーヴ・アルマダ、エイミー・ワインハウス、ニック・ケイヴなど、ポップなアーティスト作品の楽曲で構成されつつ、トータルのムードとしての何とも知れないハッピーさを醸し出す、『ラブ・アクチュアリー』などの作品もうみだした製作チームの珠玉の一作のサントラ。
5.Alexandre Desplat 『The Grand Budapest Hotel(OST)』
その世界自体が、まるでキュートな箱庭のような独特の世界を作り出す鬼才ウェス・アンダーソン監督の2013年製作の最新作にして最高傑作といわれる、レイフ・ファインズ、マチュー・アマルリック、ビル・マーレイ、シアーシャ・ローナン、レア・セドゥなどオールスターキャストで作られたミステリー。音楽は『ファンタスティックMr.FOX』以降タッグを組んでいる人気作曲家アレクサンドル・デスプラ。彼ならではの芳醇なメロディの中に、アンダーソン作品ならではのコミカルさも合わせての、聴いて思わずにっこりしてしまうサウンド。グラミー賞サウンドトラック・スコア部門受賞。
6.Georges Delerue、他 『Rich and Famous / One is a Lonely Number(OST)』
フランス映画のサウンドトラックの代表的作曲家であり、世界の作曲家が憧れるサウンド、それがジョルジュ・ドルリューの流麗な世界。ハリウッドに拠点を移してからの、ドルリューらしい美しいメロディに酔いしれられる代表作と言えるのが、この、ジョージ・キューカー監督、ジャクリーン・ビセット、キャンディス・バーゲン主演の1981年作品『ベストフレンズ』で、公開時に発売なかったサントラは、2011年にコレクターズ・レーベルのFSMから発売された。ストリングスを中心に奏でられるサウンドは、お洒落に優しい気持ちになりたい時のBGMにぴったりだ。
7.Sven Libaek 『Set(OST)』
ノルウェー出身、60年代にオーストラリアのテレビ/映画音楽で数々の録音を残した、伝説の作曲家スヴェン・リーベク。ウェス・アンダーソンが2004年作品『ライフ・アクアティック』で彼の「Ron & Val Taylor's Inner Space」からの音源を使ったことなどから再発見され、オーストラリアで貴重なCD化も続々進んだ。そんな中の、1970年のフランク・ブリテイン監督によるテレビドラマ『The Set』のサウンドトラック。何ともお洒落でさわやかなソフトロック・インストゥルメンタルが展開し、心安らぐこと間違いなし。
8.Henry Mancini 『Sunflower: Expanded(OST/2CD)』
「愛の悲劇」の名作中の名作といえば、外せないのがヴィットリオ・デ・シーカ監督、ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ主演の1970年作品『ひまわり』。そしてこの作品と言えば、すぐに思い浮かぶのは、巨匠ヘンリー・マンシーニによるあまりにも美しいテーマ・メロディなのだが、そんな名作の限定盤2枚組サントラが2013年に発売されている。涙なしに聴けない、感動のメロディで、心も洗われて、優しい心持になれる、歴史的名サントラ。
9.Ennio Morricone 『Days of Heaven (1978)(OST/2CD)』
映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネが1978年テレンス・マリック監督、リチャード・ギア、ブルック・アダムス、サム・シェパード主演のの大傑作『天国の日々』に作曲したサウンドトラック2枚組。素朴で寂寥感あふれつつもキャッチーなメロディが心にしみる。コレクターズ・レーベルFSMより発売された、この盤はモリコーネによるオリジナル楽曲と、メインメロディ的に使用されたサン=サーンス「動物の謝肉祭」からのナンバーも収録し、詩的な優しさが溶け合う世界。
10.『The Heart Is A Lonely Hunter (愛すれど心さびしく)』
ジャズ・フュージョン界の重鎮としての顔もありつつ、人間味あふれるサウンドでスクリーンを彩った映画音楽作曲家としても、多くの名作を残している名匠デイヴ・グルーシン。彼の代表作と言える、グルーシンらしい暖かなメロディがぃ素朴な感動を呼ぶサウンドの1968年ロバート・エリス・ミラー監督、アラン・アーキン、ソンドラ・ロック主演の『愛すれど心さびしく』のサントラ。つい、物思いにふけってしまいそうな、心の奥底で聴くサントラである。
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