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シャマユ(p) 『ラヴェル:ピアノ独奏曲全集』

南仏トゥールーズに生まれ、少年期からラヴェルの音楽と密接な関係を築いてきたシャマユ、満を持してのラヴェル:ピアノ独奏曲全集。《水の戯れ》で20世紀音楽と出会い、エッセール、ペルルミュテルを通してラヴェルへと繋がる彼が、一切の迷いなく、ごく自然なスタイルで作り上げた完璧な1枚です。確かなテクニックで明晰な演奏を行っていますが、生み出される音楽に硬さはなく、打鍵時のノイズを排したタッチの柔らかさ、繊細さが中間色の温かみを生んでいます。フランス人の手によるラヴェル全集に新たな名盤が加わりました。(レコード芸術特選盤、仏ディアパゾン誌で5点満点の評価)





 

ドラージュ(p) 『コルトー最後の門弟と、 コルトーのピアノ』

コルトーは彼女について「もし私に娘がいたら、それはフローランス・ドラージュのようであっただろう」と語っています。現代のピアニズムとは明らかに違う、ベル・エポックの雰囲気を感じさせるドラージュの演奏は、耳にした途端その素晴らしさがわかる、そういったタイプのものです。ショパンやシューベルトの名曲が収められたDISC1では、コルトーより遺贈された1896年製スタインウェイが使われており、当アルバムの大きな魅力となっています。この薫り高い音色は他ではなかなか味わえません。DISC2で聴けるドビュッシーやラヴェルも素晴らしい。《水の戯れ》などひとつの世界が作り上げられているかのよう。

 



アムラン(p) 『ドビュッシー:映像 第1集、第2集、前奏曲集 第2巻』

アルカン、ブゾーニ、ゴドフスキーなど超絶技巧作品の演奏で有名なアムラン。彼らしい、見事にコントロールされた明晰なドビュッシーです。曖昧な部分はまったく無く、ひとつひとつの音の粒、色の粒が見えるかのような演奏。ただし乾いてはおらず、みずみずしさが失われることはありません。



 


アムラン(ピアノ)『モーツァルト:ピアノ・ソナタ集』

すみずみまで神経の行き届いた、稀代のヴィルトゥオーゾ・アムランならではのモーツァルト。音量と音価(音の長さ)のコントロール、さじ加減が絶妙で、古典派ならではの声部同士の対話を存分にお楽しみいただけます。(レコード芸術特選盤




 

リュビモフ&マルティノフ(fp) 『モーツァルトを2台のフォルテピアノで』

ロシア・ピアニズムの系譜を引く巨匠リュビモフと若き俊英マルティノフ、現代のフォルテピアノ界にはなくてはならない2人によって成し遂げられた快挙!……と書くと大げさなようですが、モーツァルトの《2台のピアノのためのソナタ》における「対話と調和」がこれほど見事に行われている演奏はなかなかありません!この両名が弾くのだから当然ですが、強奏における迫力や緩徐楽章での音色の変化など、フォルテピアノならではの効果も十分に活かされています。レコード芸術誌で特選盤、フランスのディアパゾン誌で金賞受賞というお墨付きの名盤です。

 


大井和郎(p) 『リスト:パガニーニ・エチュード』(完全盤)

リスト最大の難曲ともされる《パガニーニによる超絶技巧練習曲》(1838年)を、一般的に演奏される改訂後のバージョン《パガニーニによる大練習曲》(1851年)とともに収録した、偉業というべき驚異的なアルバム。この中で一番有名なのは「ラ・カンパネッラ」ですが、普段耳にするバージョンは改訂後のもので、若干難易度が落とされています。それに対して初版である《パガニーニによる超絶技巧練習曲》はしばしば「演奏不可能」とされるほどの難曲で、こちらのバージョンの「ラ・カンパネッラ」を弾く人はほとんどいません。大井和郎は初版の全曲録音をおこなった数少ないピアニストのひとり(他にペトロフとハワードがいます)。3年かけて準備したというだけあって、テクニック的にも音楽性的にも非常に完成度の高いものに仕上がっています。リストと大井、両者のヴィルトゥオジティに驚嘆すること間違いなしの1枚。2つの版の聴き比べも面白い。

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デュシャーブル(p) 『サン=サーンス:6つの練習曲集 作品52&111』

技術的にはショパンやリスト以上に難しいともされるサン=サーンスの練習曲集を、完璧なテクニックで弾き切ったデュシャーブルの名盤。サン=サーンスの3つの練習曲集の中でもっとも早く書かれたOp.52は、全体を通して大胆な半音階とアクロバティックな技巧が多用される難曲。特に華やかな第6番《ワルツ形式の練習曲》が有名で、イザイによるヴァイオリン編でも親しまれています。Op.111はそれから約20年後の作品で、表現力の深化が感じられます。特に第4番《ラス・パルマスの鐘》で突如現れる印象主義的な音世界は必聴。第6番は《ピアノ協奏曲第5番》のフィナーレに基づくトッカータで、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。デュシャーブルの完璧主義的かつ明晰なアプローチは、凄腕のピアニストであったサン=サーンス自身の演奏スタイルに近いのかもしれません。音楽性も十分で、現在手に入る最上の演奏といって良いでしょう。

 



プレトニョフ(p) 『スクリャービン:24の前奏曲』

後年は前衛的な音楽家、また神秘主義者として独自の世界に入り込んだスクリャービンですが、若いころは「ロシアのショパン」とでもいうべきロマンティックな作風の持ち主でした。この作品も明らかにショパンの作風に倣ったもので、夢想的な性格をもつものから仄暗い感情が渦巻くものまで、多種多様な小品がずらりと並んでいます。24曲のうちほとんどは20代前半で書かれ、第4番や第6番などは10代の時、音楽院在学中に作曲されました。ピアノの音色が一際美しいプレトニョフの演奏をお薦めします。

 



『モーツァルト:フーガ、ロンドと幻想曲集』

モーツァルトが熱心にバッハの作品を研究し、対位法を学んだことはよく知られています。このアルバムにはそうした努力の成果が、細かい断章にいたるまで多数収録されています。例えばタイトルが目を引く《マエストロ対位法氏の葬送行進曲》は、弟子ブロイヤー嬢の練習帳に書き込まれたもの。中にはほんの数小節しかないものもあります。こうした断片がきちんと残っているのは妻コンスタンツェのおかげなのだそうです。しかしこんなにたくさんのフーガ、そして断章の数々を聴いていると、どうしても《レクイエム》のことが思い出されますね……ちなみにいくつかの作品で補筆を行っているシュタードラーはモーツァルトと親しかったクラリネット奏者、ゼヒターは19世紀に活躍した音楽理論の大家です。晩年のシューベルトやブルックナー、さらにはスッペ(見事な宗教音楽を書いています)までもが彼に師事しています。

 

 

 

小倉喜久子(fp) 『コジェルフ:クラヴィーア作品集』

18世紀末から19世紀初頭のウィーンで活躍したボヘミア出身の作曲家コジェルフ。モーツァルトはコジェルフと親交があり、どうやら同業者として強く意識していたようです。1780年代にはモーツァルト以上の人気があり、シューベルトも彼のシンフォニーを高く評価していました。コジェルフの作品は均整が取れていながらも感情豊かで、時に情熱的。当アルバムに収録された陰のあるヘ短調ソナタや、豊かなファンタジーを楽しめる《カプリース》など、知られざる名曲が沢山存在しています。

小倉喜久子の共感に満ちた…というよりまるでコジェルフ自身が弾いているかのような演奏は、作品の真価を明らかにするというレベルにとどまらず、発売当時大変高く評価されました。発売から10年以上経ちますが、フォルテピアノ界における名盤中の名盤であることに変わりはありません。(レコード芸術特選盤



 

『キュイ:25の前奏曲』

ロシア五人組の中で最もその作品を聴く機会がない人物、キュイ。もしかすると、ラフマニノフの交響曲を酷評した辛辣な批評家としての印象のほうが強いかもしれません。ハ長調から始まり全24の長短調を巡って再びハ長調に回帰するこの《25の前奏曲》は、そんなキュイのイメージとは全く異なる、爽やかな詩情が好ましい佳品。各曲から優しさが感じられ、「ピュア」とか「イノセント」なんて言葉を使いたくなるような澄んだ美しさが魅力的です。知る人ぞ知るNAXOSの名盤。



 

佐々木宏子(p) 『ドビュッシー:前奏曲集 第1集&第2集』

2巻合わせて24曲となるドビュッシーの前奏曲集。構想の段階ではショパンに触発されるところがあったのかもしれませんが、24の調を巡るわけではなく、逆に高度に印象主義的な手法が用いられています。当アルバムは1873年製のプレイエル・ピアノを使用しているのが最大の特徴。ドビュッシーはプレイエル、ブリュートナー、ベヒシュタインのピアノを好み、どのメーカーのピアノで弾くかということを非常に重視していました。)(プレイエルはショパンが愛したピアノ・メーカーとしても有名です。)この楽器の持つ響きの柔らかさと得も言われぬ薫りが《前奏曲集》の神秘的な美しさを高めてくれることは言うまでもありません。また楽器の音色だけではなく、佐々木宏子の演奏も非凡なものです。ドビュッシーは「ピアノにハンマーが付いていることを忘れさせることが大切だ」と言ったそうですが、ここではタッチやペダリングが絶妙にコントロールされ、まさにそういう演奏になっています。

 

 



『サティ:ピアノ作品集(1855年頃製エラール・ピアノ)』

サティが生まれるよりも少し前につくられたエラール社の楽器で、ひんやりとしたサティのピアノ音楽を。月明かりのような、ほのかに温かみのある音色が特徴で、このさりげなさはサティの音楽にぴったりです。冷たく無機質になりすぎない、優しいサティをお楽しみください。夜に聴くのがオススメです。

 



 

インマゼール&シュヴァリエ(p) 『フランスの2台ピアノ作品集(サン=サーンス、フランク、プーランク他)』

1897年製と1904年製の2台のエラール・ピアノを使用した、インマゼールとシュヴァリエならではのデュオ・アルバム。《死の舞踏》から《シテール島への船出》までカバーした絶妙なプログラミングと、インマゼールらしいリズミカルな演奏、そして1900年頃のピアノが持つ薫り高い音色をお楽しみください。パリで活躍したスペインの作曲家インファンテはあまり知られていませんが、南国ムードたっぷりの《3つのアンダルシア風舞曲》にはハマること間違いなし!

 



ダグラス(p) 『ブラームス:ピアノ作品集』

ダグラスのブラームスをお聴きになったことはありますか?

1986年のチャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で、ヴァン・クライバーン以来となる「ロシア人以外のゴールド・メダリスト」という栄誉に輝いたアイルランドの名ピアニスト、バリー・ダグラス。2015年に来日し、日本での存在感も上昇中の彼が進めるメイン・プロジェクト『ブラームス:ピアノ独奏作品集』は、今世界中で絶賛されています。聴いてまず驚くのはその明るさ。古典的なスタイルに対する理解、ドイツ・ロマン派音楽に相応しい幅のある表現力、呼吸の深さ…といった点も見事なものですが、ダグラス最大の魅力はやはり音色の明るさ、温かみ、優しさにあるように思います。なんとも美しいブラームス。ぜひお試しを。(現在第5巻までリリースされています。第2巻はレコード芸術特選盤

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『チェルニー:48の前奏曲とフーガ』

「チェルニー=無味乾燥な練習曲の作曲家」というイメージを打ち壊すのに最適なアルバムがこちら。チェルニー最期の年に書かれたこの曲集は全24調による前奏曲とフーガ計48曲からなり、彼が大バッハの音楽に精通し、その技法を高いレベルで習得していたことを示しています。(チェルニーは《平均律》の注釈つき校訂譜を出版した最初の人物でもあります) 驚くべき多様さを持ち、バロック的な形式とロマン派的な性格を見事に融合させ、さらにはピアノ音楽としての可能性も突きつめたチェルニーの創作活動の集大成。「私は彼のことを、重要な教育者である以上に、すみずみまで熱い血の通った音楽家として高く評価している。」とはストラヴィンスキーの言ですが、この作品を聴けばそれすら誇張ではないとお分かりいただけるでしょう。ピアニストの神谷郁代は丸一年間この曲ばかりを弾き続け、万全の態勢でレコーディングに臨んだといいます。

 



『マルクスゼン:ピアノ・ソナタ、変奏曲、ロンド』

あのブラームスにドイツの伝統的な作曲法をおしえた、ハンブルク随一の音楽家マルクスゼン。このピアノ作品集を聴けば、ブラームスの先生がどのような人物であったのかが良くわかります。曲名は一見するとサロン向けの小品のようですが、その中身は真摯で浮ついたところがありません。特に作品番号の大きな作品において和声等にオリジナリティを発揮しながらも、耳に心地よく聴けてしまうのは、音楽的な作りがしっかりしているからなのでしょう。スピリはカメラータレーベルからもマルクスゼンのアルバムをリリースしているマルクスゼンマニア。楽曲の魅力を伝える演奏です。

 



ペシア(p) 『J.S.バッハ:フーガの技法~1901年製スタインウェイ・不等分調律で』

バッハ畢生の大作を、1901年製のヴィンテージ・スタインウェイで。バッハからすれば150年以上後の楽器ですが、我々からすれば100年以上も前の楽器。そんなノスタルジーすら感じさせるピアノを用いて冷たく深みのある音色を聴かせるのは、ケージの記念年にプリペアド・ピアノのための作品集で話題をさらった異才セドリック・ペシア。楽器だけでなく調律法にまでこだわった価値ある一枚です。(レコード芸術特選盤



 

『バッキアーナ ~モシェレス、ライネッケ、シューマンによる、バッハに基づく作品集』

J.S.バッハにインスパイアされた、ロマン派時代の3人の作曲家による作品を収めたアルバム。バッハを研究していたシューマンの《6つのフーガ》(デュオ・ダコールによる連弾編)、《平均律クラヴィーア曲集》に対位法的なメロディをつけたモシェレスの《メロディックな対位法練習曲》(チェロとピアノ版が知られていますが、ピアノ連弾版は世界初録音とのこと)、そして《フランス組曲第1番》の「サラバンド」がロマンティックな対位法で変容するライネッケの《バッハ変奏曲》を収録。国際的に評価の高いピアノ・デュオ、デュオ・ダコールによる演奏です。

 



アンダーソン&ロエ(p) 『The Art of Bach』

有名な作品からそうではないものまで、バッハの様々な楽曲を2台ピアノ、あるいはピアノ連弾用に編曲し、スタイリッシュな演奏で聞かせる1枚。ジャケット写真のようなイメージで、バッハをお洒落に楽しみたい時にどうぞ。ちなみにアルバムの最後に収録されている《ブランデンブルク協奏曲第3番》はレーガーが編曲した版を使用していますが、これが非常な難曲。休みなく延々と紡ぎだされる旋律は、聴いている分には心地よいのですが……

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『夜想曲(ノクターン)の世界』

19世紀に生まれた「夜想曲(ノクターン)」と当時のピアノの魅力を存分にお楽しみいただける4枚組BOX。ブロードウッド(1823)、エラール(1837)、プレイエル(1842)と3種類の時代楽器を使用し、ショパンとフィールドの夜想曲全曲、さらにカルクブレンナーやクララ・シューマンなど同時代人の夜想曲を収録しています。演奏はフォルテピアノの名手オールト。夢のような音色で至福の時間が過ごすことができます。特にフィールドが絶品。

 



『ノクチュルヌ ピアノ音楽史を彩った夜想曲の系譜』

分散和音にのせて甘美な旋律を歌うピアノ音楽「ノクチュルヌ(夜想曲、ノクターン)」の系譜を幅広く俯瞰する一大プロジェクト。アイルランドの作曲家ジョン・フィールドが書き始め、ポーランドのショパンが大きく発展させた「ノクチュルヌ」の様式は、その後多くの作曲家を魅了し、クラシック音楽の枠を超えて愛されるリストの《愛の夢》のような大ヒット曲をも生み出した。ヨーロッパ諸国からアメリカにまで広がるノクチュルヌ150年の歴史を、佐藤勝重がリリカルな歌心と華麗なテクニックで奏であげる。こちらは現代のピアノによる演奏です。上記オールト盤と併せてお楽しみください。(レコード芸術特選盤

 



高橋悠治(p) 『フレデリック・ジェフスキー: 「不屈の民」 変奏曲』

現代音楽の中でも屈指の人気を誇るジェフスキの《「不屈の民」変奏曲》。現代のディアベリ変奏曲ともいうべき、大規模にして内容が濃い壮大な変奏曲だ。チリの革命歌を主題として据え、「5つの変奏+その総括」を1セットとした6セット、計36の変奏から成る。十二音技法風な響きやジャズのような雰囲気、そして超絶難易度を誇る技巧も兼ねそろえたまさに現代音楽の代表格。初演者:ウルスラ・オッペンス、作曲者ジェフスキの自作自演やアムランなどの録音が有名であるが、やはり日本からは彼がいた。現代音楽演奏の異端児:高橋悠治、得意レパートリーとしていただけあって安定感や解釈に非の打ちどころはない。



 

『アルカン:スケッチ集(48のエスキース)』

とんでもない超絶技巧の作品ばかりが知られるアルカンですが、この小曲集では彼の驚くべき表現力の豊かさに触れることができます。《スケッチ集》にはアルカンのエッセンスが詰まっているといっても良いでしょう。サティを思わせるような少し変わったタイトル、それぞれ数分足らずの楽曲の中で表現しつくされた、伝統、前衛、パロディ……彼は本当に独創的で、不思議な作曲家です。48+1(「神を讃えよ」)の49曲を全て収録。オズボーンによる最上の演奏で。

 



『フランク:初期ピアノ作品集』

水晶のような高音域でのピアノが美しい、このアルバムの冒頭部分を聴いて、作曲者を当てられる人はいるでしょうか。フランクといえばオルガン曲の大家、または彼の交響曲、弦楽四重奏曲が持つ、重厚なイメージの作曲家として捉えられるのが一般的ですが、実は若いころ、彼はリストのようなヴィルトゥオーゾを目指していたのです。(10代前半でフンメル風のピアノ協奏曲も作曲しています。)そんな若きフランクのピアノ作品が収めたこちらのアルバム、中には《ます》を含むシューベルト歌曲の編曲作品まであるから驚きです。この手の企画は「音楽史的観点からすると面白い」で終わってしまうことも少なくないのですが、神童として出発したフランクの場合、それは当てはまりません。どの作品もとにかく美しく(これは演奏に負うところも大)、内容が濃いのが特徴です。抒情性も見事。もし《~の思い出》《~による幻想曲》という題から軽薄な印象を受けたとすれば、それは良い意味で裏切られることでしょう!(仏ディアパゾン誌で5点満点の評価)



 

『シャミナード:ピアノ作品集(1901年製スタインウェイ使用)』

女流作曲家といえば…、メンデルスゾーンの姉であるファニー・ヘンゼルやクララ・シューマンが浮かぶかもしれないが、このセシル・シャミナードも忘れてはいけない。ドビュッシーと同時期に生き、数多のピアノ曲とその演奏で栄光を勝ち得て、激動の人生を歩んだ世界が誇るべき女流作曲家だ。今作に収録されるソナタや練習曲は「小品志向でキャラクターピースしか書かない」女流作曲家像を打ち壊し、時に攻撃的・時に麗しいピアニズムを展開している。未発表シャミナード作品を世に送り出すことでも貢献した若きピアニスト、ヨハン・ブランシャールが紡ぐ偉大なる女流作曲家の音楽をご堪能いただこう。 intoxicate (C)板谷祐輝

 



『ロザンタール:ピアノ作品全集』

ラヴェルの最後の直弟子として知られ、オッフェンバック《パリの喜び》の編曲者としても有名な、ロザンタールの没後10年を記念して発売された1枚。どの曲も洒落ていて、非常に聴きやすいのが特徴。ロザンタールがピアノ曲を作曲したのは、1924年から1934年の10年間で、作品には20世紀初頭のフランス近代音楽特有の様式が反映されています。例えば《8つのバガテル》からはフランス6人組の影響が色濃く感じられ、第1曲目の「パストラーレ」は、ミヨーのような色彩感覚豊かな曲。10曲からなる《ちょっとした職人衆》は、「蹄鉄工」「理髪師」「研ぎ師」「子守」「無線通信士」など専門職の人々を題材としており、当時のパリの雰囲気がよく表れています。

 



『エネスク:ピアノ・ソナタ第1番、組曲第2番&第3番』

なんて素敵な印象派のピアノ音楽だろう……きっとこのアルバムを聴いた方は皆そう思うことでしょう。エネスクはカザルスに「モーツァルト以来の驚異的な音楽家」と言わしめたルーマニアの作曲家ですが、これらの作品に民族的な要素はほとんどありません。Track.4の《コラール》、5の《鐘のノクターン》、6の《トッカータ》、どの曲も「印象派」という言葉のイメージそのものではないでしょうか。《ピアノ・ソナタ第1番》では無調の雰囲気も漂わせています。エネスクのピアノ曲の魅力は弱音やアルペジオの美しさにあると思います。表現力豊かなピアニシモを奏でるヴァルガの演奏で、遥かなる音の響きをお楽しみください。

 



『デュカス:ピアノ作品全集』

《魔法使いの弟子》で有名なデュカスがフランス・ピアノ音楽史に残した遺産がこのアルバムに全て収められています。サン=サーンスに献呈されたピアノ・ソナタは一切の虚飾を廃し密度を高めた大作であり、弾き手と聴き手の両方に高い集中力を求める傑作。偉大な先人ラモーの主題を用いた変奏曲にはフランス音楽の特質である明晰さがよく表れています。静かな夜にしっかり向き合って聴きたい1枚。

 



ヒンターフーバー(p) 『アレス・ワルツァー!』

「アレス・ワルツァー、皆様ワルツを!」。ウィーンの大舞踏会の開始を告げる有名な言葉を冠した当アルバムでは、ウィーンに関わりの深いさまざまな「ダンス音楽」が取り上げられています。ヒンターフーバーはベートーヴェンの弟子フェルディナント・リースのピアノ協奏曲集(NAXOSレーベル)で素晴らしい演奏を披露した、オーストリアの実力派ピアニスト。古典派から現代まで幅広いレパートリーを持つことでも知られ、当アルバムでもシューベルトのレントラー、シューマンの《ウィーンの謝肉祭の道化》、J.シュトラウスの編曲から、ラヴェルによるウィンナ・ワルツへのオマージュ《ラ・ヴァルス》まで、華麗なピアニズムを駆使しつつ、センスたっぷりにダンス音楽の本質を表現しています。(レコード芸術特選盤

 



『レスピーギ:ピアノ作品集』

「ローマ三部作」で有名なイタリア近代の作曲家レスピーギの、かなり珍しいピアノ曲集。作品は擬古典的ながらも抒情味にあふれ、レスピーギらしい色彩感覚に満ちています。オーケストラ版と同時に書かれていたという《リュートの為の古風な舞曲とアリア》のピアノ版の収録が嬉しい。有名な「シチリアーナ」はピアノにも良く合います。演奏はガルッピやチマローザ、ロータなどイタリアものに名演の多い関孝弘。

 



『知られざるショパン(遺作集)』

ショパンが子どもの頃に作曲したポロネーズを含む、珍しい作品ばかりを集めた1枚。こうした作品が部分的に録音されることはあっても、ここまで徹底的に集めたCDは他にないでしょう。《パガニーニの思い出》や《ヘクサメロン》、最後に収められた遺作のノクターンを除くと確かに「知られざる」作品ばかりなのですが、《2つのブーレ》など短いながら魅力的な曲も多く、ショパンの秘曲と出会う喜びを味わうことができます。真摯な演奏も◎。

 



『ピアーズ・レーン ~ ゴーズ・トゥ・タウン』

これは素敵な一枚!知性派ピアニスト、ピアーズ・レーンの両手が繰り広げる20世紀のアンコール&パーティー・ピース集です!マイラ・ヘス編の《主よ、人の望みの喜びよ》や、グレインジャー編の《ロンドンデリーの歌》、世界初録音となるアイアランドの《バレリーナ》にオッフェンバックとショパンをミックスしたサヤの《舟歌》、さらにはピアーズ・レーンの父親アラン・レーンの《トッカータ》など、超絶技巧あり、愉しさあり、抒情性もありというピアノ・ファン必聴のプログラム。メイヤールの《マリーゴールド》、ベンジャミンの《ジャマイカン・ルンバ》などは、かゆいところに手が届く選曲で良いですね。ホプキンスの《有名な主題による変奏曲》では本当に誰でも知っている旋律が主題に。テンプルトンの《バッハが街へやってくる 「スウィング風前奏曲とフーガ」》やムーアの《ベートーヴェン・パロディ 「アンド・セイム・トゥ・ユー」》も楽しい。後者ではびっくりするような意外なテーマがベートーヴェン風に登場します。これは聴いてからのお楽しみ!



 

デムス(fp) 『ディアベッリの主題による33の変奏曲』

作曲家兼出版業者を営んでいたアントニオ・ディアベッリ。1819年に当時人気のあった作曲家50人に、自分の曲の主題によって1人1曲ずつ変奏を書いてもらい、長大な作品に仕上げようと企画をたてました。この録音ではチェルニー、フンメル、F.X.モーツァルト、モシェレス、シューベルト、リストなど、50人中30人が作曲した変奏を収録しています。CD2には、同じ主題をもとにベートーヴェンが作曲した長大な変奏曲を収録。演奏は大御所デムスで、歴史的楽器を使用しています。世界初CD化。



 

スホーンデルヴルト(p) 『プレイエル・ピアノで聴くショパン』

19世紀パリのサロンで愛されたショパンの音楽。ショパンは大きなコンサートホールではなく、もっと私的な集まりで、限られた聴き手のために演奏することを好みました。まるでショパンが自分のためだけに弾いてくれているかのような、当時の雰囲気がよみがえるアルバムはいかがですか?このアルバム(2巻に分かれています)では1836年製、ショパンの時代のプレイエル・ピアノを用いて演奏しています。現代のピアノとは異なる親密さ、ニュアンスの豊かさをお楽しみください。(※プレイエル社はショパンが愛したピアノ・メーカー。ショパンの「気分がすぐれないときはエラールを弾き、気分の良いときはプレイエルを弾く」という言葉が残っています。)


※参考動画―ショパンのノクターン作品9-2(CDと同じ音源です。)


※参考動画―ショパンのワルツ作品64-1「子犬のワルツ」(CDと同じ音源です。)



 

カテゴリ : Classical

掲載: 2016年10月01日 12:00