タワレコバイヤーが選ぶ!2000年代以降に発売され、今後50年後まで残るであろう名盤は?
『空洞です』ゆらゆら帝国
年代やジャンル国籍問わず様々な音楽を嗜んできたつもりですが、世界中どこを探してもこのサイケデリアは存在しない。あまりにも唯一無二なゆらゆら帝国のラスト・アルバムにして完成形。日本におけるガレージ・サイケの象徴、ファズ・ギターの名手だった坂本慎太郎が一切の歪みを捨て、トレモロの揺らぎで描いた前人未到の音世界。新しい概念。新しい帝国。冒頭「おはようまだやろう」「できない」「あえて抵抗しない」から畳みかけるようにサウンド、曲名、曲順、歌詞、その全てで完璧に醸し出し続ける「空洞」感。その異質なムードもさることながら楽曲の良さも光り、ゆら帝屈指のソングライティングを誇るラストのタイトル曲は、ゆら帝という存在を描いたかのような象徴的歴史的名曲。この作品を生み出した事で到達=解散になったと本人達が言うのも納得でき、今尚そのポジションは完全に空洞です。正に、ぼくの心をあなたは奪い去った。日本で生まれ、世界にユラユラ揺らぎ続けるであろう名盤。
(吉祥寺店:巻本拓也)
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『ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』Billie Eilish
あまりにも最近過ぎて、すこし恥ずかしいですが、、、2000年以降、ここまで熱狂的に支持され、アイコン化しているアーティストはあまり例がないのでは。最近スクリーンでも素晴らしい演技と歌唱を見せてくれたレディー・ガガも2000年以降のアイコンとして記憶にありますが、ビリー・アイリッシュはファッション、音楽、ライフスタイルそれぞれが〈ありのままの姿〉であり、凄いけど身近に感じられます。音楽としても素晴らしいです。
(静岡店:佐藤圭亮)
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『POINT』Cornelius
後にも先にもこの作品と類似したものはないと言い切れるオンリーワンな傑作。実験性と普遍性を兼ね備えています。
(難波店:赤瀧洋二)
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『オラキュラー・スペクタキュラー』MGMT
一度聴いたら忘れないメロディーで世界中のリスナーを虜に(KIDS)。サイケ時代のビートルズに倣うように未知の音楽への探求心も忘れない(The Youth)。ダンス・ミュージックへの目配せも忘れず、リズム感覚もバツグンときている(Time To Pretend)。タイトルもほら、ヘルター・スケルターみたいだし…と書きながら、改めて聴き直して金字塔だと再確認。初回盤のアナログLPは何があっても手放すまい、と改めて誓うのでした(笑)。
(高崎オーパ店:大坪挙)
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『ノラ・ジョーンズ』Norah Jones
グラミー主要部門を総ナメにしたノラのデビュー・アルバム。そのエピソードだけで50年後も残る傑作といえます。「ブルーノートから発売された最もジャズらしくないアルバム」と評された事もあるようにルーツ色が濃くアコースティックでポップ。ノラが歌うことでしか成立しない音楽が詰まった作品です。
(金沢フォーラス店:源野公輔)
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『ドント・メイク・ミー・ウェイト』Locksley
2000年代のニューヨークに突如現れた最高のビートルズ・フォロワー!しかも『Please Please Me』や『With The Beatles』のキャリア初期限定!ウキウキするようなビートにリフ、軽やかなコーラスワーク、歌いださずにいられないメロディ。セカンド・アルバム以降は活動のペースが落ちてしまっているようですが、忘れられるにはもったい1枚。来日ライヴでのTHE BAWDIESとの共演も未だに印象に残っています。
(梅田NU茶屋町店:竹井将吾)
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『カモン・カモン』Sheryl Crow
ロックンロールなアルバムにしたかった、というシェリル・クロウの4作目。その思惑通り、心地よいロック満載の力作。レニクラ、ドイル・ブラムホールⅡ、スティーヴ・ジョーダン、レニー・カストロ、ベンモント・テンチと、ゲスト・ミュージシャンがすごいのが特徴の一つですが、極めつけは5曲目のタイトル曲“C'mon, C'mon”でのスティーヴィー・ニックスとのデュエット。そして!次の6曲目の“It's So Easy”で共演するのは、なんとニックスの「元カレ」ドン・ヘンリー。この流れ、シュールすぎるけどなんか微笑ましくて大好きです。そうそう、シェリル・クロウは『I Am Sam』のサントラでビートルズの“Mother Nature's Son”を歌ってたりするわけですが、やっぱり根底にビートルズが流れてるからこんなにも痛快にロックできるんです!間違いない。
(人事部:土井 基)
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『At The BBC [CD+DVD]』Amy Winehouse
永遠に残るパフォーマンス“Don't Go To Strangers - (featuring Jools Holland/Paul Weller)”この1曲に尽きる。エタ・ジェームズのソウル・バラードをジュールズ指揮の大所帯バンドがバックアップ。ピアノを弾きつつヴォーカルを分け合うのはポール・ウェラー。温かい大人の二人のサポートを得て、声一つでそこに世界を作ってしまう〈これぞシンガー〉なパフォーマンスに心を打たれる。歌う、という行為のなかに作為的な要素がおよそ感じられない、天性としか言いようのない歌唱は時代を超えるはず。
(梅田大阪マルビル店:村越辰哉)
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『SILLY POPS』bjons
タイトルはシティ・ポップならぬシリー・ポップスだけど、間違いなくシティ・ポップ好きの心の琴線をポロロンと鳴らすであろう一枚だ。roppenの渡瀬(G)&橋本(B)と、渡瀬の旧友・今泉(Vo&G)によるトリオのデビュー作で、古今のロック/ポップスに精通した3人+サポートの岡田(Dr)&谷口(Key)が繰り出す心地好いグルーヴ(抜群のコードワーク!)と、今泉のヤング奥田民夫的なぶっきらぼうなようでいて実にリリカルなヴォーカルが素晴らしい。叙情に満ちたメロディーが胸を衝く①⑤⑧、緩やかなシティ・グルーヴ②、現代版シュガーベイブともいうべきアップ・チューン⑤など、全8曲どれもがたまらなく良い。名作です。
(渋谷店:北爪啓之)
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『Chaos And Creation in the Backyard』Paul McCartney
正直、ポールが現役感一杯に作品をリリースし続けていてくれるという部分に根ざした選出ですが、2005年のこの作品は最高の英国感と中期ビートリィな味わいに満ちた名品なので。
(新宿店:植木一成)
掲載: 2019年10月09日 18:00