朝日新聞3月29日(月)朝刊「文化の扉」で「はまるブルックナー」特集!
坂入健司郎指揮/ブルックナー:交響曲第9番
19世紀に活躍した作曲家のアントン・ブルックナー。「いきなり月から降ってきた石」に例えられるなど、音楽史の伝統から外れたユニークな交響曲を残し、現代でも熱狂的なファンが多い。他の作曲家では味わえない魅力とは何か。(朝日新聞3月29日(月)「文化の扉」より)
ブルックナー(1824年9月4日 - 1896年10月11日)は今年没後125年、3年後には生誕200年を迎えますが、クラシック・ファンの中での認知の高まり、演奏機会の増加に比べ、クラシック・ファン以外に広く紹介されることは非常に稀であると言えるでしょう。そこへ全国紙の朝刊の半面という大きなスペースを使ってブルックナーが特集されました。
記事中には音楽評論家の許光俊氏、指揮者・音楽学者の金子建志氏、音楽評論家の故・宇野功芳氏、小説『不機嫌な姫とブルックナー団』を著した高原英理氏の発言が引用され、、「心に『降りてくる』」と題した指揮者の坂入健司郎氏のコメントも掲載されています。ブルックナーの音楽への評価として「あれが交響曲だと?おわらいぐさだ」(ブラームス)、「ブルックナーの音楽はいきなり月から降ってきた石のようだ」(アーノンクール)、「ブルックナーこそ時代を超越し、常に真理を語る大芸術家」(宇野功芳)という三様の言葉が載っているのも興味深いところです。
ここでは高原英理氏の小説『不機嫌な姫とブルックナー団』、許光俊氏が記事中で勧めているチェリビダッケ、発言が引用されたアーノンクールの演奏、そしてコメントを寄せた坂入健司郎氏の演奏によるブルックナーのディスクをご紹介いたします。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
高原英理/不機嫌な姫とブルックナー団
天才作曲家にして非モテの元祖・ブルックナーを偏愛するオタク3人組との出会いが、夢を諦めた文系女子の運命を変える?
ままならない人生に心ふさぐ人々へ、エールを送る異才の書下ろし快作!
あらすじ
図書館の非正規職員として働くゆたきは、男性マニアが集うブルックナーのコンサート会場で、「ブルックナー団」を名乗る男たちに声をかけられる。いかにもイケてないオタク風の3人組だが、その一人、タケがサイトに載せた「ブルックナー伝」を読んだゆたきは、その不器用すぎる人生と意外な面白さに引き込まれていく・・・。天才作曲家ながら「非モテの元祖」というべき奇人変人だったブルックナーの生涯は、周囲からの無理解と迫害に満ちていた。そんなブルックナーに自分たちの不遇を重ねるブルックナー団の面々とつきあううちに、ゆたきの中で諦めていた翻訳家への夢が甦ってきて……。
許光俊氏が薦めるチェリビダッケ指揮のブルックナー
セルジュ・チェリビダッケ(1912~96)はルーマニア出身でドイツで活躍した指揮者。1945年ベルリンでデビューし、戦後のベルリン・フィルの再建に尽力しましたが、フルトヴェングラーの死と共にオーケストラを去りました。その後はフランス国立管、シュトゥットガルト放送響の常任指揮者を経て、79年からミュンヘン・フィルの芸術監督に就任。カリスマ性を備えた稀有な指揮者として活躍しました。ここではシュトゥットガルト放送響時代にライヴ録音したブルックナーの交響曲第7~9番、ミュンヘン・フィル時代にライヴ録音した交響曲第3~9番、ミサ曲第3番をご紹介します。(各CDの収録内容につきましては、各CDの商品ページをご参照ください)
アーノンクールが指揮したブルックナー
ニコラウス・アーノンクール(1929~2016)はベルリン生まれのオーストリアの指揮者/チェロ奏者。バロック音楽や古楽器の研究・収集に注力し、53年に妻アリスとウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(CMW)を結成。70年代にオペラの指揮を始め、80年代以降はロマン派作品までレパートリーを伸ばし、ウィーン・フィルやベルリン・フィルといった一流オーケストラに客演指揮するなど目覚しく活躍しました。
坂入健司郎氏が指揮したブルックナー
坂入健司郎(1988年生まれ)は指揮法を井上道義、小林研一郎、三河正典、山本七雄各氏に学び、慶応大学在学中の2008年に慶應義塾ユース・オーケストラ(現東京ユヴェントス・フィルハーモニー)を結成。これまで、イェルク・デームス氏、ジェラール・プーレ氏、舘野泉氏など世界的なソリストとの共演や、数多くの日本初演・世界初演の指揮を手がけ、一つ一つの演奏会が大きな注目を集めています。ブルックナーの交響曲はこれまで第5番、第8番、第9番のCDがリリースされています。
カテゴリ : Classical | タグ : ANTON BRUCKNER
掲載: 2021年03月30日 12:00