「名作コンシェルジュ」掲載!セラフィン指揮「ヴェルディ:歌劇“トロヴァトーレ”全曲」
2023年7月9日(日)日経日曜版「名作コンシェルジュ」に掲載されました
論理を超えて感情に肉薄 スカラ座歌手の若々しさ(鈴木淳史氏評)
イタリア・オペラで大きな業績を残した指揮者、トゥリオ・セラフィン (1878~1968年)がミラノ・スカラ座管弦楽団を指揮して1962年の録音したヴェルディ:歌劇“トロヴァトーレ”全曲が2023年7月9日(日)日経日曜版の鈴木淳史氏による名物コラム「名作コンシェルジュ」で紹介されました。
鈴木氏は「オペラの台本には、ストーリー的に荒唐無稽なものが少なくない」と書き出し、「ヴェルディの傑作の一つ『トロヴァトーレ』も、突っ込みどころ満載のストーリーで知られるオペラだ」としながら、「音楽のすばらしさが、すべてをご破算にしてくれる」とし、「言葉や論理を超えた感情への肉薄」こそが「オペラの魅力」と解説します。このセラフィン盤は「当時スカラ座で歌っていた第一線の歌手をずらりとそろえているのがいい」とし、「とりわけ主役テノールの恋敵であるルーナ伯爵を歌うバリトン、バスティアニーニの気品あふれる歌唱」を高く評価。アズチューナ役を歌うメゾ・ソプラノ、コッソットの声も「老獪な老婆という役柄とはちょっとそぐわない、若々しい、澄み切った声」が「アルバムのなかから若かりしときの祖母の写真を発見したときのような、甘酸っぱさを帯びた妙な気分にもなる」、レオノーラ役のステッラは「初々しさのなかに、彼女自身も気づかないような性への目覚めが渦巻く」と紹介。とりわけ悪役と純真な少女の「すれ違い」の感情を描いた「第4幕のルーナ伯爵とレオノーラの二重唱」は「方向性が異なる高揚感がもたらすエロティシズム」が圧巻だと結んでいます。
(タワーレコード 商品統括部 板倉重雄)
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20世紀前半を代表するオペラ指揮者ひとりであるトゥリオ・セラフィンは、ミラノ・スカラ座でトスカニーニのアシスタントを務め、1909年にはその跡を継いでスカラ座の音楽監督に就任しました。イタリア・オペラの全てを知り尽くしたセラフィンが晩年の1962年に古巣のミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団と録音したヴェルディの《トロヴァトーレ》は、ベルゴンツィやステッラなど名歌手たちの歌唱を含めて、アンサンブルとしてのオペラの魅力を教えてくれる名盤です。
※歌詞対訳は付いておりません。
(ユニバーサルミュージック)
ヴェルディ:
歌劇 《トロヴァトーレ》
カルロ・ベルゴンツィ(テノール:マンリーコ)
アントニエッタ・ステッラ(ソプラノ:レオノーラ)
フィオレンツァ・コッソット(メッゾ・ソプラノ:アズチェーナ)
エットレ・バスティアニーニ(バリトン:ルーナ伯爵)
イヴォ・ヴィンコ(バス:フェルランド)
フランコ・リッチャルディ(テノール:ルイス)
アルマンダ・ボナート(ソプラノ:イネス)
他
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
指揮:トゥリオ・セラフィン
録音:1962年7月 ミラノ
カテゴリ : Classical
掲載: 2023年07月10日 12:00