北欧音楽シーンの象徴、孤高の鍵盤奏者ボ・ハンソンの名作が紙ジャケ化
2010年4月、67歳という若さでその生涯に幕を閉じたボ・ハンソン。かつてジミ・ヘンドリックスにカヴァーされた名曲「タックスフリー」を生んだ60年代スウェーデンの伝説的ジャズ・ロック・ユニット、ハンソン&カールソンのオルガン・プレイヤーであり、名門レーベル<Silence>の看板音楽家である。72年には初ソロとしてトールキンの一大ファンタジー小説『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リングス)』をコンセプトとした、ドリーミーでファンタジックな作品を母国スウェーデンと英国カリスマから発表し世界中で大絶賛される。また現在でもファット・ジョーを筆頭に、ヒップホップのアーティストにサンプリング・ネタとして楽曲を使用され、ジャンルや世代、国境を越えて敬愛されている。ファンタジーや児童文学をこよなく愛しライフワークとしたボ・ハンソンの72年~77年発表の名盤4作品が、紙ジャケット仕様で遂に日本国内初CD化!
スウェーデン<Silence Records>より71年に『Sagan Om Ringen』として発表し、翌72年に英国カリスマよりジャケットを新装しリリースされたソロ・デビュー作。J.R.R.トールキン著『指輪物語』を題材したコンセプト作で、一部のブラスやパーカッション奏者を除きほぼ全て彼自身がインスト・セクションを担当。くぐもったほの暗い抒情性を全編で展開しており、以降の作品では味わえない70年代初期北欧サウンドの香りの強い名作。
<Silence Records>のレーベルメイトであるギタリスト、ケニー・ホカンソン率いるフォークロック・グループ、ケブネカイゼのメンバーをバックに迎えたソロ2作目。スウェーデンでは72年に『Ur Trollkarlens Hatt』として発表され、英国カリスマより73年『Magician's Hat』としてリリースされる。前作同様トールキンの『指輪物語』や、アラン・ガーナーの児童文学『エリダー』等、ファンタジー小説を題材したコンセプチュアルな作品。さらにダイナミックな要素を備えつつ、70年代北欧らしいくぐもった夢想感も満載の聴き応え溢れる代表作。ファット・ジョーがこの作品をサンプリングとして使用したことも有名。
前作に続きケブネカイゼのメンバーをバックに迎えたソロ3作目。スウェーデンでは73年に『Mellanvasen』として発表され、英国カリスマより75年に『Attic Thoughts』としてリリースされる。独特の夢想感はそのままに、アコースティック感覚も融合した1枚。また次作のインスピレーションの元となったリチャード・アダムズ著『ウォーターシップダウンのうさぎたち』を題材にした楽曲が既に今作に登場する。モーグやシンセを多用し、御伽話の世界を想起させる牧歌的サウンドは不変の快作。
世界各国の子供たちに親しまれ、ここ日本でもアニメ作品となったリチャード・アダムズによる英国児童文学『ウォーターシップダウンのうさぎたち』を題材とした77年発表のコンセプト・アルバム。スウェーデン盤は物語に登場する英雄エル=アライラーの名をタイトルに、英国盤とジャケット/タイトル違いで同時発売される。朋友であるフォーク・ロック・グループ、ケブネカイゼのメンバーをバックに、巧みな展開と牧歌的なサウンドで小説世界を見事に躍動感を込めて描きだす一方で、そのサウンドがどこか北欧的なのがユニークな作品。