大注目の強力な1枚~庄司紗矢香がショスタコーヴィチの協奏曲に挑戦
庄司紗矢香がショスタコーヴィチの協奏曲に挑戦。
期待以上のすさまじさで、早くも2012年前半最大の話題集中盤。
これは衝撃の強力盤の登場です。庄司紗矢香がショスタコーヴィチの協奏曲に挑戦しました。これまで彼女は日本のオーケストラと1番を何度か演奏し、高い評価を受けていただけに期待が高まります。まさに古今のどの協奏曲よりも庄司向きの作品と言えるので、冷淡でいられる人はいないと申せましょう。
ヴァイオリン協奏曲第1番は第2次世界大戦直後、まさにスターリンの恐怖政治下に書かれ、全体に神経質な緊張感と苦悩に満ちた大作。まず驚かされるのが庄司の凄まじいまでの気迫。カデンツァでの圧倒的な集中力、終楽章でのエネルギーまで息つく暇もないほどひきこまれます。ショスタコーヴィチの音楽の深さ、怖さを思い知らされます。
第1番の約20年後に作られた第2番は、1番に比べると演奏される頻度が多くありませんが、庄司の演奏が1番に勝るとも劣らぬほど凄く、作品の素晴らしさを再認識させてくれます。
オーケストラはフォル・ジュルネ音楽祭でもおなじみのドミトリー・リス指揮ウラル・フィル。古き良きロシア的爆演と大きな音楽作りで、庄司の真剣勝負を真っ向から受け入れた好サポート。この緊張感の凄さはなかなか味わえません。
日本語解説書付、ジャケット写真は篠山紀信の撮影。
【曲目】
ショスタコーヴィチ:
1. ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 Op.77
2. 同 第2番 嬰ハ短調 Op.129
【演奏】
庄司紗矢香(Vn)
ドミトリー・リス(指揮)、ウラル・フィルハーモニー管弦楽団
【録音】
2011年8月 エカテリンブルク・フィルハーモニー(ロシア)