ブラジルMPBファン悶絶の逸品。気鋭女性シンガー、リズ・ホーザのジャジー&スタイリッシュな新傑作
自らのギターを中心にグルーヴィーなジャズ・マナーな演奏で人気を博するジョイス、歌とギターが一体となったグルーヴで聴衆を虜にするジョアン・ボスコ、独特のハーモニー・センスを駆使したフィロー・マシャード...。日本でも強い人気を博す偉大なる先人達の系譜を継承した素晴らしい女性シンガーが現れた。その名もリズ・ホーザ。まだ26歳という若き逸材、しかもモデルのように麗しい容姿の持ち主だ。
16歳でそのキャリアをスタートさせたという彼女はJoao Bosco, Djavan, Joyce, Tom Jobim, Chico Buarque, Filo Machado, Ivan Lins, Toninho Horta, Guinga, Chico Pinheiroといった新旧のMPBアーティストからの影響と共に、Dianne Reeves, Ella Fitzgerald, Joe Pass,Pat Metheny, Julie LondonといったUSジャズ・シーンからも強い影響を受けたという。音楽もまさにジャズmeetsブラジルな正統派MPBサウンドだ。
冒頭の"Dois Tempos"から、実にイイ。クリア・トーンのギターによるシンプルなバッキングでジャジーに歌うリズのヴォーカリゼーションが存分に楽しめる。弾いているのは本作に全編参加しているギタリスト、Ricardo Silveiraだ。Tom JobimとChico Buarqueによる名曲"A Violeira"を挟み、Roberto Tauficの楽曲を取り上げた"De Cabo A Rabo"は前半のハイライト。Marcelo Martinsのサックス&フルート、Jesse Sadocのトランペット&フリューゲルホルンも加わり、至極スタイリッシュに綴るサンバが心地良い。Armando Marcalのツボを得た職人技もパーカッショニストであれば聴き所。そしてyoutubeにもPVがアップされているJoao Boscoのグルーヴィー名曲"Coisa Feita"のカバーがなんといっても出色。ドラムス、ベース、ギターを中心にホーンの対旋律がアクセントを加えつつ、リズミカルなポルトガル語の歌唱が羽ばたいていく。これぞブラジル音楽の魅力。どこか儚さを感じさせつつも芯のある歌声は、あのマリア・ヒタを連想させるところも。MPB&ボサ・ノヴァ・ファンはもちろん、ジャズ・ヴォーカル・リスナーにもレコメンド。
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掲載: 2012年06月12日 12:15