ライバッハ17年ぶりの長編映画音楽は破天荒SF!『アイアン・スカイ』
フィンランド・ドイツ・オーストラリア合作映画『アイアン・スカイ』は、物語がアナーキーなのは言うまでもないが、いろんな要素が破天荒な中に、サウンドトラックの個性の強さがある。
音楽を任されたのは、スロベニアで結成され、軍服を思わせる衣装や、架空の政治団体所属の様相を帯びたりと、まさしく彼らの長いプロモーション映画が『アイアン・スカイ』
であるかのようなぐらいにフィットし、ある意味、選ばれたアーティストともいえるインダスリアル・ロック・バンドのライバッハ(ドイツ語読みによる。スロベニアの首都。スロベニア語読みではリュブリャナ)。
ライバッハには、過去に2つの長編の映画音楽の仕事がある。第二次大戦前後の青年の記憶を描くシリアス・ドラマ、1987年のユーゴスラヴィア映画”HUDODELCI”(スロベニア語で「重罪」の意)と、1995年のチェコのコメディ映画”UZ”の2作。前者は、彼らの出身地で作られた映画である。チェコは1993年にビロード革命が起り、民主化された。後者はその直後に製作された一作といえる。
その17年後。それまでの担当作品の性格からは予想外(どんなジャンルからも予想外な映画ではあるが)なSFアクションでのサウンドトラック。しかし、作品そのものの破天荒さにライバッハの音は、いわば寄り添っている。ティモ・ヴォレンソラ監督のワーグナー的な音楽を使いつつ、というある種大時代的様式美が過激さと交じり合う危険な空気の音の具現化は、彼らでなければ理解できなかったかもしれない。とすれば、ライバッハであったからこそ、この作品の自然なサウンドトラックを作りえたのだろう。
『アイアン・スカイ』、日本のアニメなどもこよなく愛する世代の、フィンランドの若き監督ティモ・ヴォレンソラが創造した、「終戦時に月に逃げ隠れ、独自の発展を遂げていたナチスが、再びの世界征服を目論んで、宇宙から飛行船に乗って攻めてくる・・・・」というユニークな世界設定が、古きよき特撮テイストの効果を思わせる演出で展開する。
アナーキーな展開! 月からナチスが攻めてくる! 怒涛のSFアクション編 『アイアン・スカイ』 !!
2018年、月面に降り立った宇宙飛行士が、なんと月に逃れて独自の発展を遂げていたナチスに囚われた!彼らが企むのは、アメリカへの報復、そして地球の侵略・・・・監督はフィンランドの新鋭ティモ・ヴオレンソラ。ヨーロッパじゅうの映画ファンを熱狂させた全く新しいタイプのエンタテインメントが炸裂する!
(原題 "Iron Sky" / 2012年ドイツ・フィンランド・オーストラリア合作)
監督 ティモ・ヴオレンソラ
出演 ユリア・ディーツェ、ゲッツ・オットー、ウド・キア
音楽 ライバッハ
9月28日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー!!