EMI CLASSICSと世界契約、樫本大進によるベートーヴェン
世界の頂点で大活躍するスーパー・アーティスト、樫本大進
ベルリン・フィルのコンマス就任後、待望のアルバム
120年以上の歴史を持つ、クラシックの名門レーベル、EMI CLASSICSと世界契約!
2010年12月に世界一のオーケストラ、ベルリン・フィルの第一コンサート・マスターに就任後、注目の録音!
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲レコーディング開始
第1弾アルバム~「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ作品30(第6番~第8番)」
国内盤先行リリース!
2012年10月3日発売
TOCE-90242(HQCD)
【曲目】
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ作品30(第6番~第8番)
ヴァイオリン・ソナタ第6番 イ長調 作品30-1
第1楽章:アレグロ
第2楽章:アダージョ・モルト・エスプレッシーヴォ
第3楽章:アレグレット・コン・ヴァリアツィオーニ
ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調 作品30-2
第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ
第2楽章:アダージョ・カンタービレ
第3楽章:スケルツォ. アレグロ
第4楽章:アレグロ-プレスト
ヴァイオリン・ソナタ第8番 ト長調 作品30-3
第1楽章:アレグロ・アッサイ
第2楽章:テンポ・ディ・メヌエット、マ・モルト・モデラート・エ・グラツィオーソ
第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ.
【演奏】
樫本大進(ヴァイオリン)
コンスタンチン・リフシッツ(ピアノ)
【録音】
2012年7月、スイス
“世界一のオーケストラ”ベルリン・フィルの「第1コンサートマスター」に2010年正式就任し、さらに充実した環境で輝きを増す樫本大進。
この度、樫本がEMI CLASSICSと世界契約を結び、かねてからの夢であった、「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲」レコーディングを、鬼才コンスタンチン・リフシッツ(ピアノ)とともに開始いたしました。そして世界に先駆けて日本のみ、作品30を10月3日(水)に先行リリースいたします。
当アルバムは前作CDから約5年半ぶり、樫本がベルリン・フィルの第1コンサート・マスターに就任後に初めてリリースする作品です!日本を代表する音楽家、樫本大進の黄金時代の幕開けです!
【樫本大進~インタビュー】
<ライナーノーツより>
樫本大進によるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに正式就任して丸2年が経過した現在、彼にとって満を持して取り組む、そして期するところの大きいプロジェクトに違いあるまい。第1弾として作品30がここにリリース。第6番から第8番のソナタを書き上げたときのベートーヴェンと現在の彼は、ほぼ同じ年齢だ。
「いや、それは全然考えていませんでしたね!」と笑顔を浮かべる樫本大進だが、全10曲のソナタから最初に作品30が選ばれたことは決して偶然ではないと語る。「作品30になると、いきなりベートーヴェンという世界の中で何かが変わる。これが存在したからこそ『クロイツェル』が生まれたという思いすら抱きます。しかし3曲をまとめて聴いていただく機会が意外と少ない。コンスタンチン(リフシッツ)が“3幕仕立ての芝居”のようだと語っていますが、そのソナタを1枚のアルバムにするのも意味があることではないか、と」。
パートナーはウクライナ出身の奇才リフシッツ。樫本大進にとっては12歳の頃から知っているピアニストだが、初共演は2002年のこと(その際に『クロイツェル』を弾いている)。「ベートーヴェンを一緒に録音するなら彼しかいない!」と思い続けていたという。2人が2010年と2012年に行なった日本ツアーもオール・ベートーヴェン・プログラムだった。前者がソナタ第1番、第5番、第10番。後者がソナタ第2番、第6番~第8番。2013年には残り3曲による日本ツアー第3弾が予定されている。つまりは実演を経て練り上げた解釈を刻み込むべく、レコーディングに臨んでいるのだ。
そのコンビが聴かせる清新にして奥深いベートーヴェン。リフシッツのピアノは彼らしくアイデアが豊富で、フレージングや声部間のバランスに精妙なコントロールを見せながら、決して恣意的に歪めずスジの通った音楽を奏でていく。そこに樫本大進が、これも彼らしく正攻法で腰の座ったヴァイオリンによって、さらに1本も2本もスジを通していく……。ダイナミックスの扱い方が丁寧だ。3曲の中で最も有名なハ短調ソナタの第1楽章でも、テンションの高さを強調するあまり音量の処理が画一的になってしまったりしない。よりリラックスした筆致の第6番や第8番の急速楽章になると、楽想の性格に応じた響きの質感の変化や、それに伴う微妙なアゴーギクが、ヴァイオリンとピアノの間で見事なまでに統一感を獲得。いずれの曲の緩徐楽章でも、一歩間違ったらマニエリスム的になりかねないほどリフシッツが個々の音形を細部まで入念に造形していくが、それでも音楽は自然な呼吸感を保つ。樫本大進のボウイングの息使いの賜物だろう。音楽の和声骨格とその推移に沿ったイントネーション、特にダブルストップの純度も耳に残る。
「そういう音程のとり方、コンスタンチンも好きなものですから!」という言葉に、とことん“聴き合う”アンサンブルとしての室内楽の幸福な姿を見る思いがする。そして実際、ヴァイオリニスト樫本大進のこれまでの活動を振り返ってみても、室内楽の占める比重は大きなものだった。南仏で開かれているサロン・ド・プロヴァンス音楽祭は十年来の常連。そこで再会を果たした少年時代からの知己がベルリン・フィルのコンサートマスター、ガイ・ブラウンシュタイン。あるいは何度も共演を重ねたフルート奏者が、かのエマニュエル・パユ。両者からの強い勧めもあってベルリン・フィルの入団試験を受けたというのも陰の事情らしい。ザハール・ブロンに師事するかたわらドイツのギムナジウムで教育を受けていた樫本大進にしてみれば、そのドイツが世界に冠たる楽団こそは、オーケストラの最高峰にして理想像に他ならない。そしてそのベルリン・フィルの音楽作りを彼は「大きな室内楽」と評する。すべては導かれるべくして導かれた道程……。 「マーラーやブルックナーなど、ヴァイオリンのソロだけでは経験できない世界に触れると、今までの自分って何だったんだろうという思いにかられます。そしてバッハやブラームスをオーケストラの中で弾き、作品の中に入り込むことによって新しく見えてくるものもあります」。 それが彼の音楽をさらに豊かにしていく。残る7曲のベートーヴェンも大きな期待と共に待たれるところだ。
<プロフィール>
樫本 大進 (ヴァイオリン) / Daishin Kashimoto [Violin]
1979年ロンドン生まれ。1990年、第4回バッハ・ジュニア音楽コンクールでの第1位を皮切りに、1996年のフリッツ・クライスラー、ロン=ティボーの両国際音楽コンクールでの1位ほか、5つの権威ある国際コンクールにて優勝。
3歳よりヴァイオリンを恵藤久美子に学ぶ。5歳で父親の赴任に伴い、NYに転居。7歳でジュリアード音楽院プレカレッジに入学。田中直子に師事。11歳の時、名教授ザハール・ブロンに招かれリューベックに留学。20歳よりフライブルク音楽院でライナー・クスマウルに師事し、修士課程をグスタフ・シェック賞を受賞し卒業。ドイツを拠点に世界中で活躍しており、日本ではNHK-TVでの演奏会やドキュメンタリー番組「炎のレッスン」の放映、大河ドラマ「利家とまつ」紀行テーマの演奏などで広く知られている。また2009年11月には天皇陛下御在位二十年記念式典にて演奏を行い、その模様はTVで放映されている。
これまでマゼール、小澤征爾、ヤンソンス、チョン・ミョンフンなどの著名指揮者の下、国内外のオーケストラと共演。1995年アリオン音楽賞、1997年出光音楽賞、モービル音楽賞、1998年新日鉄音楽賞フレッシュアーチスト賞、平成9年度芸術選奨文部大臣新人賞、2011年兵庫県文化賞受賞。チェンジメーカー2011クリエーター部門受賞。ドイツに於いてはシュタインゲンベルガー賞、ダヴィドフ賞を受賞。
室内楽にも意欲的に取り組み、クレーメル、マイスキー、堤剛、パユやメイエなどの著名演奏家とも共演を重ねている。特にチョン・ミョンフンには室内楽の共演者としても定期的に招かれており、チョンのピアノで日本と韓国にて演奏会を行っている。また、チョン指揮で行われた2006年11月ドレスデン国立歌劇場管とのゼンパーオーパーでの3回の演奏会(ブラームスの協奏曲)はライヴ録音され、ソニークラシカルよりCDが発売されている。
樫本大進を音楽監督として、2007年10月より赤穂国際音楽祭、2008年10月より姫路国際音楽祭が、これまで隔年で開催されてきた。2012年には初めて両都市を舞台に共同開催されることになっている。「音楽を架け橋に、人と人のきずなを大切にし、平和で幸せな世界を創りたい」という樫本の願いを受け実施されている両室内楽音楽祭では樫本の声かけで世界一流の若手奏者が集い話題となっている。
2010年ベルリン・フィルの第1コンサートマスターに就任。2012年6月には、アンドリス・ネルソンス指揮/ベルリン・フィルのヴァルトビューネ演奏会でソリストを務めた。
使用楽器は1674年製アンドレア・グヮルネリ。