ロケ・バニョス音楽、2013年版『死霊のはらわた』からスペインのスコア・シーンに注目する!
スペインの映画音楽シーンが、独特の充実を保っているのは、ファンには知るところではありましたが、今回、かの『死霊のはらわた』リメイク版の音楽が、スペイン映画音楽界のバリバリの職人の一人、ロケ・バニョスが担当ということで、スペインからハリウッドにも進出している職人たちのサスペンス・ホラー・スコアに注目してみたい。
『死霊のはらわた』(2013)。オリジナルのサム・ライミ監督たちが、リメイクの機会を考えつつも、その映像を任せられる新しいクリエイターが見つかれば、という状態であった。そんな中、”Panic Attack!"なる短編をyoutubeにアップしたウルグアイの才能、フェデ・アルバレス。この先鋭的な映像がライミたちの目に止まり、アルバレスは、いきなり、世界的伝説ホラーの正統リメイクの監督を依頼されることになる。
そして、アルバレス監督がスペイン語圏のウルグアイの監督、ということもあろうか、スペインでバリバリに活躍する、ロケ・バニョスがスコアをつけることとなった。
今回の『死霊のはらわた』は、主役の兄妹の関係をメインとして、濃密なドラマの設定も存在した上で、恐怖の時間が訪れる内容になっている。ヒロインが主人公、ということもあるだろう、今回は、かなりメロディアスなメインテーマが存在する。あたかも、ピノ・ドナジオがホラーで聴かせる美しい旋律の様でもある。
近年、注目したいのは、今回のロケ・バニョス、そして『パンズ・ラビリンス』の成功から世界的な仕事が増えたハヴィエル・ナヴァレテ、『永遠のこどもたち』の注目から、鬼才たちから声がかかり始めたフェルナンド・ヴェラスケス。今、スペインで大ヒットしているホラー"MAMA"は、この人が音をつけている。
彼らのスペインや他ヨーロッパでの仕事も含め、いくつかは、作品を楽しむことができる。スペインのKARONTEやJMBといった新作スコアをリリースするレーベル、世界的な昔の名作音源発掘中心ながら、スペインの新作にも目を配るQUARTETやSAIMEL、そして、知られざる作品を紹介し続けるかのMOVIESCORE MEDIA(ホラー用サブ・レーベルはSCREAMWORKS)も、スペインの作曲家たちも積極的に紹介している。
上記、それぞれのレーベル名でサウンドトラックにジャンルを絞って検索していただければ、まだまだ知られざるスコア・シーンの現在を確認することができる。