チェリストの青木十良(あおき じゅうろう、1915~2014)氏死去。享年99歳。
チェリストの青木十良(あおき じゅうろう)さんが、2014年9月8日、8時30分肺炎のために逝去されました。享年99歳。謹んでご冥福をお祈りいたします。
青木十良(チェロ)
激動の時代を生き、バッハの名録音を残す
1915年7月12日生まれ。生家は化学薬品の輸入貿易商で、兄弟姉妹はドイツ語やフランス語を学び、音楽や文学などに囲まれた環境に育った。15歳のころ、出入りのドイツ商人でクレンゲルの弟子でもあったアーノルド・フィッシャーからチェロの手ほどきを受けた。
終戦の6か月前からNHKに入り、マルティーヌ、プロコフィエフなど数多くのチェロ作品の日本初演を行う。その後、シュタフォンハーゲン弦楽四重奏団(近衛管弦楽団の首席で編成)で、ヒンデミット、ラヴェル、ブリテンなどの日本初演を行い、室内楽の分野でも新たな道を拓いた。1990年カルロ・ゼッキと組んだバッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ以来、演奏活動に拍車がかかり、「85歳を過ぎてこんなに勉強するとは思わなかった」とはじめたバッハの録音第一弾 (無伴奏チェロ組曲第6番) をきっかに、メディアにも注目される存在となった。
2002年、2005年、2006年には「グレート・マスターズ」(紀尾井ホール)に出演し、美しさを極めた音色で多くの聴衆を魅了した。
現在にいたるまで桐朋学園を中心に、チェロと室内楽などの指導にも力を注ぎ、優れた音楽家を数多く育てた。
2006年、第16回新日鉄音楽賞(特別賞)を受賞。
2009年、ミュージック・ペンクラブ音楽賞(特別賞)を受賞(Fine N&F)
【CDの紹介】
名器スカランペラで奏でる希有の輝き!
J.S.バッハ
無伴奏チェロ組曲第6番
録音:2000年8月25日~28日 旧後藤美術館(千葉)
収録時85歳
心を打つ! 青木十良90歳のバッハ。
J.S.バッハ
無伴奏チェロ組曲第5番
P.カザルス (1876-1973) 編
鳥の歌(カタロニア民謡)*
(ピアノ:水野紀子*)
録音:2006年3月6日~8日 浜離宮朝日ホール
収録時90歳
エレガンス=自尊
J.S.バッハ
無伴奏チェロ組曲第4番 他
録音:2009年4月22日~24日
所沢市民文化センターミューズ アークホール
収録時93歳
【本の紹介】
チェリスト、青木十良
青木十良(あおきじゅうろう)、96歳、音楽に己を問う。
激動の時代を生き、バッハの名録音を残したひとりのチェリストの物語。
著者: 大原哲夫 定価:2200円(税込) 飛鳥新社刊 四六上製 328ページ
カテゴリ : ニュース
掲載: 2014年09月16日 12:30