現代音楽のピアニスト、芸術家「向井山 朋子」自主レーベル取り扱い開始!
Tomoko Mukaiyama<Multus #1 Canto Ostinato by Tomoko Mukaiyama>より
現代音楽のピアニスト兼作曲家・芸術家として世界的な活躍を続ける向井山朋子。しかし、残念ながらその華々しい活躍とは裏腹に、彼女の演奏や作品は(日本では)入手し難いレーベルが取扱い、音源の入手は常に困難を強いられてきました。この度自主レーベル“Tomoko Mukaiyama Foundation”を立ち上げた事により、いよいよ向井山朋子の「全貌」を知る事ができるようになったのです。第1弾として取り上げられたのは旧作から「Women Composer」「Hello Pop Tart」「Amsterdam×Tokyo」の3点。そして、2012年に始まった日本・オランダ共同企画にして自らの監修によるピアノコンサートシリーズ「Multus」でも取り上げた『カント・オスティナート』の録音(共演のラルド・バウハウスは前述の「Multus」#3で向井山朋子と“カント・オスティナート”を演奏しています)、計4タイトルの発売となります。
向井山朋子(ピアニスト/美術家)
オランダ・アムステルダム在住のピアニスト、美術家。1991年国際ガウデアムス演奏家コンクールに日本人として初めて優勝、村松賞受賞。アンサンブル・モデルン、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、ロンドンシンフォニッタ、ロイヤルコンサルトヘボウなどに毎年ソリストとして招聘され、新曲の初演に携わる。また、近年は従来の形式にとらわれない舞台芸術やインスタレーション作品を発表。
オランダでの初演後、世界各国で再演された、たった一人のためのピアノリサイタル ‘for you' (2005年横浜トリエンナーレ参加作品)は、観客とコンサートの定義を巡り論議を呼ぶ。2006年シドニービエンナーレで、ガラス、光、ピアノとノイズを使った ‘you and bach' を発表。 2007年に「向井山朋子財団」を設立し,自らアーティステックディレクターとしてプロデュースの分野でも活躍。デザイナー、クラヴァース・ファン・エンゲレンとの共同制作 ‘show me your second face' (2007年)は「ファッションと音楽の融合」と高い評価を受ける。日本で初演した観客参加型の企画 ‘夏の旅―シューベルトとまちの音'(2007年)を欧州と米国で展開。また、振付家イリ・キリアン/ネザーランドダンスシアターとの共同作品 ‘Tar and Feathers'(2006年初演)は好評を博し、ノルエー国立バレエ,ボストンバレエ等と共演。越後妻有アートトリエンナーレで発表した、12,000着の絹のドレスと経血とピアノ作品が織りなす壮大なプロジェクト‘wasted' は世界から1000人の女性たちが参加し,その過程はドキュメンタリー映画「白い迷路」として記録され、今再び世界を巡回している。2011年東北芸術工科大学の招きで津波で損なわれた2台のピアノによるインスタレーション「夜想曲」を発表。翌年ダンストリエンナーレトーキョーとの共同制作でダンス作品「シロクロ」を制作。2013年は瀬戸内芸術祭で「夜想曲」が再演されたほか、愛知トリエンナーレでイリ・キリアンの新作「EAST SHADOW」の音楽を担当、ジャン・カルマンと恊働したインスタレーション・パフォーマンス「FALLING」が好評を得る。
(ナクソス・ジャパン)
向井山朋子&ゲラルド・バウハウス/テン・ホルト:カント・オスティナート
2012年に始まった日本・オランダ共同企画にして向井山自らの監修によるピアノコンサートシリーズ「Multus(ラテン語で“増殖・複数”を意味する)」で#1(2台ピアノ)、#3(4台ピアノ)と取り上げているシメオン・テン・ホルトの代名詞的名曲「カント・オスティナート」。楽器の種類、台数・演奏時間が奏者にゆだねられ、奏者の個性が丸分かりになる曲を、向井山は無機質なミニマルに堕するのではなく、表情のある「物語」としての側面をクローズアップする事で、芯のある美しい作品へと仕立て上げています。その時間、1時間18分34秒。長いと感じさせない語り口の上手さが光る演奏です。
【曲目】
シメオン・テン・ホルト:カント・オスティナート(2台のピアノによる)
【演奏】
向井山朋子(ピアノ)
ゲラルド・バウハウス(ピアノ)
<旧譜3タイトル再発>
Women Composer(旧品番:BVH9406)
長い髪を垂らした彼女の印象的なジャケット写真も話題を呼んだアルバム。
これまでスポットライトの当たることのなかった不遇の女性作曲家5人をフィーチャーした向井山の処女作。挑発的なジャケット写真も相まって話題を呼んだ。彼女の現代音楽への造詣の深さと類い希なる演奏能力がうかがい知れる逸品である。
【曲目】
1-2.アドリアーナ・ヘルツキー(1953-):Horfenster Fur Franz Lizst
3.ヴァネッサ・ラン(1968-):Inner Piece
4.ガリーナ・イワーノヴナ・ウストヴォーリスカヤ(1919-2006):ピアノ・ソナタ 第6番
5-7.ソフィア・グバイドゥリーナ(1931-):ピアノ・ソナタ
8.メレディス・モンク(1942):Double Fiesta
【演奏】
向井山朋子(ピアノ)
【録音】
1994年8月15、16、17日 NCRV Studio Hilversum
Hello Pop Tart(旧品番:BVH9801)
従来の形式にとらわれない作品を次々と発表しているピアニスト、向井山朋子の20世紀のアメリカ人作曲家による楽曲を収録したアルバム。現代音楽(ウィリアム・バルコム)から実験的なジャズ(ジョン・ゾーン)、ロック(フランク・ザッパ)、ポピュラーミュージック(デイヴィッド・ドラム)など多岐にわたるジャンルに、向井山は意欲的に挑戦する。彼女の音楽的視野の広さだけでなく、表現力の多様さ、芳醇さも堪能できる一枚。
【曲目】
1.ヘンリー・カウエル(1897-1965):エオリアン・ハープ
2.チャールズ・アイヴズ(1897-1954):Celestial Railroad
3.ウィリアム・ボルコム(1938-):Graceful Ghost Rag
4.ジョン・ゾーン(1953-):XIV
5.ウィリアム・ボルコム:Hymne A L'Amour
6.フランク・ザッパ(1940-1993):The Little House I Used To Live In (The Piano Introduction)
7.フレデリック・ジェフスキ(1938-):Winnsboro Cotton Mill Blues
8. デイヴィッド・ドラム(1961-):Hello Pop Tart
【演奏】
向井山朋子(ピアノ,ボーカル,シンセサイザー)
アン・ダ・ベルジェ(フルート)
カール.G.ボイクマン(ダブルベース)
コール・フーラー(電子オルガン)
ヴォルター・ヴィーボス(トロンボーン)
ハンス・ファン・デア・メール(パーカッション)
デイヴィッド・ドラム(ヴォーカル)
【録音】
1988年12月19-20日 Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht
Amsterdam×Tokyo(旧品番:BVH1000)
2000年にオランダの4都市と東京で行われたピアノコンサート、『Amsterdam x Tokyo』。タイトルは演奏される楽曲がアムステルダム・東京を拠点に活動をする作曲家による書き下ろし作品であることに由来する。真白い空間に天井から金魚が1匹ずつ泳ぐ透明の袋がマトリックス状に無数に吊りさげられた会場デザインは、建築家グループ・デジタルPBXとのコラボレーョン。幻想的な空間で向井山が演奏する電子音楽、テクノのリズム、環境音、自らの声を使った表現は、従来のクラシックコンサートからまったく違った次元へ観客を誘う。
【曲目】
1.田中カレン(1961-):Techno Etudes
2.ミシェル・ファン・デル・アー(1970-):Just Before
3.テーク・ニューマン:Fluweel
4.野村誠(1968-):たまごをもって家出する
5.Merzbow/権代敦彦(1965-):ブラック・ミサ
【演奏】
演奏: 向井山朋子(ピアノ)
【録音】
2000年8月22、23日 Studio Graslands in Haarlem
カテゴリ : ニューリリース | タグ : プロモ(クラシック)
掲載: 2015年03月12日 18:13