ヤン・ガルバレク、パット・メセニー、ゲイリー・バートンによるエバーハルト・ウェーバーのトリビュート
ドイツを代表するベーシストの一人で、ジャズやクラシックを網羅した独自の音楽スタイルでECMサウンドを体現してきたエバーハルト・ウェーバーのトリビュート作品。
ウェーバー作曲作品のビッグ・バンド・アレンジと古くからの盟友、パット・メセニー、ヤン・ガルバレク、ゲイリー・バートンなども加わったエバーハルト・ウェバーへのオマージュ・ライヴ。
ヤン・ガルバレクは長い間ウェバーと活動してきたが、本作では特徴的にパワフルで独創的なソプラノ・サックスでのインプロヴィゼーションがウェバーのベースをループにしたものの上に載せたM-1で炸裂。
ウェバーはヤン・ガルバレクのグループで1982年から2007年までベースを担当、ノルウェーのサックス奏者とドイツのベーシスト(テープでの参加だが)の相性の良さはこの曲でも健在。
何よりも本作の中心となっているのはタイトル・トラックの1970年代のECM作品で度々共演してきたパット・メセニーがウェバーのインプロヴィゼーションを基に作曲した30分を超える大曲。ヘルゲ・スンデが指揮をとるSWRビッグバンド、ゲイリー・バートン、スコット・コリー、ダニー・ゴットリーブなどもフィーチャーしている。
パット・メセニーは自身の2ndアルバムにして出世作となった『ウォーターカラーズ』で共演。ウェーバーはメセニーにとっても親交の深いアーティストということもあり本作へ参加。
メセニー曰く、「2007年にウェバーが脳梗塞で倒れてから、彼は演奏できなくなってしまったんだ。でも僕は彼の音のアイデンティティというのは彼の作品の中でとても大きな要素でどんな形でもいいから感謝の意を伝えたいと思ったんだ。そこで頭に浮かんだのは、サンプリングという手法を使ってみてもいいかもと。エバーハルトのインプロヴァイズしているビデオ素材を探して、再構成し、切ったり混ぜたり、さらにはオーケストラの要素も加えて一緒にパフォーマンスをして全く新しいコンポジションにしてみようと思ったんだ。我々の演奏の後ろに僕の選んだエバーハルトの映像をプロジェクションに映しながらね。僕にとっては作曲の新たな方法を見つけられたし、"ヴィジュアル・サンプリング"とでもいえばいいのかな。」
掲載: 2015年08月27日 19:20