ベルマンの1991年録音、リスト:ピアノ・ソナタ&ムソルグスキー“展覧会の絵”
イタリアのアマデウス・レーベルより旧ソ連出身の名ピアニスト、ラザール・ベルマン(1930~2005)のイタリア移住直後の録音がリリースされます。
7歳でモーツァルトの幻想曲と自作のマズルカの初レコーディングを行い、9歳で大ピアニスト、アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼルの門下となり、10歳でモーツァルトのピアノ協奏曲第25番で演奏会デビューするなど、旧ソ連内で「音楽界の神童」(ギレリス)の名をほしいままにした彼は、1956年のリスト国際ピアノ・コンクールで第3位、エリザベート王妃国際コンクールで第5位に入賞し、脚光を浴びるようになります。1958年にはロンドンを訪れ演奏会を成功させますが、その後は「鉄のカーテン」にさえぎられて、西側での演奏活動はほとんど行われませんでした。
ところが1975年の遅いアメリカ・デビューはセンセーショナルな成功を収め、カラヤン指揮ベルリン・フィルとのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の録音(DG)も大きな話題を呼びました。自ら「19世紀の人間」と称したように、師ゴリデンヴェイゼル譲りのロマンティックな表現と、超絶的なヴィルティオジティは西側音楽界に衝撃を与え、世界的な「ベルマン・ブーム」が巻き起こりました。1977年と88年には来日公演も行われ、リストの“超絶技巧練習曲集”(メロディア)のLPレコードがベストセラーとなるなど、日本でも高い人気を誇りました。1990年にイタリアへ移住し、2005年2月にフィレンツェで亡くなりましたが、2013年4月、村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』にベルマンが弾くリストの“巡礼の年”(DG)が登場したことから、再び注目が高まっています。
この録音は1991年、イタリアのイーモラで行われたもので、彼が最も得意とするリスト作品とお国物のムソルグスキーがカップリングされています。ともに別の機会の録音も存在しますが、イタリアに移住した直後の最円熟期の録音ということで、充実した演奏内容が期待されます。
(タワーレコード)
【曲目】
リスト(1811-1886):ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
ムソルグスキー(1839-1881):組曲「展覧会の絵」
【演奏】
ラザール・ベルマン(ピアノ)
【録音】
1991年5月2-3日、スフォルツァ城、トッツォーニ宮殿、イーモラ、イタリア
原盤:Arnaldo Volani
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年04月12日 12:00