チェルクェッティ、テッラーニ、コレッリ、クラウス…フィレンツェ五月音楽祭の貴重なライヴ音源、続々リリース!
(1)ウェルテルを当たり役とした名テノール歌手クラウスと白血病で夭折したテッラーニ、名指揮者プレートルの豪華共演!
マスネ:歌劇“ウェルテル”全曲
アルフレード・クラウス(ウェルテル)
ルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニ(シャルロット)
ロランド・ペネライ(アルベール)
アナスタシア・トマシェフスカ・シェピス(ソフィー)
グラツィアーノ・デル・ヴィーヴォ(大法官)
アンジェロ・マルキアンディ(シュミット)
ジョルジョ・ジョルジェッティ(ジョアン)
ジョルジュ・プレートル(指揮)
フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団
フィレンツェ・コダーイ・センター学生合唱団
(合唱指揮:ジョヴァンニ・マンジョーネ)
録音:1978年1月26日、フィレンツェ・コムナーレ劇場(ライヴ)STEREO
ルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニ
フランスの巨匠プレートル(b.1924)の抑制の効いた指揮、アルフレード・クラウス(1927-1999)による格調高く完璧な歌声による悩めるウェルテル、そして白血病で夭折したテッラーニ(1946-1998)のシャルロット、という3 拍子そろった貴重な「ウェルテル」の記録。
マスネの「ウェルテル」は、美しい女性シャルロットに一目ぼれした詩人ウェルテルが、思いが遂げられず最後は自殺をするという、美しくもかなわぬ恋の物語。ロマンティシズム濃厚な、激情に満ちた歌の数々が聴きどころですが、プレートルは、歌い手たちが、うねる音楽におぼれることのないよう常にコントロール。そのおかげで、クライマックスの第3幕でも、クラウスやテッラーニは、熱い歌唱ながらも、うわついたところなく、ゲーテとマスネが作り上げた物語の進行役としても見事に役割をはたしています。
テッラーニは1970年代後半、とくにロッシーニの歌い手として名を馳せていました。しかしテッラーニのヴェルヴェットのような、そしてどこかティツィアーノの絵画の神秘的な影を思わせるところもある声質は、シャルロットにももってこい。ここでも、夫アルベールがいながらウェルテルに惹かれ揺れる心を歌う「手紙の歌」など、聴き手の心を打つ名歌唱を展開しています。
(2)30歳で引退した幻の名ソプラノ、チェルクェッティと、43歳の誕生日当日のジュリーニの共演!ケルビーニのグランド・オペラ
ケルビーニ:歌劇“アバンセラージュ族”全曲
[イタリア語歌唱(イタリア語版制作:リベロ・グランキ)]
アニタ・チェルクェッティ(ノライーム)
ルイス・ロニー(アルマンソール)
アルヴィニオ・ミシアーノ(ゴンサルヴォ)
マリオ・ペトリ(アレマル)
オーレリアン・ネグ(アブデラメン)
ヴァリアーノ・ナタリ(カレド)
オーギュスト・フラーティ(オクテール)
リディア・トンチェッリ(エジロナ)ほか
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)
フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団、同合唱団(合唱指揮:アンドレア・モロジーニ)
録音:1957年5月9日、フィレンツェ・コムナーレ劇場(ライヴ)MONO
アニタ・チェルクェッティ
カルロ・マリア・ジュリーニ(1914-2005)がちょうど43歳になった日の公演。ケルビーニの大作オペラの復活上演で、当時すでにイタリアの若き指揮者として注目されていたジュリーニが抜擢され、豪華歌唱陣が顔をそろえた貴重な記録の登場です。
「アバンセラージュ族」は、アバンセラージュの一族とゼグリの一族にまつわる物語。両族は対立する関係にありますが、ゼグリの王女ノライームと、アバンセラージュの戦士アルマンソールとが恋におち、様々な困難に直面しつつも最終的には結ばれる、といった物語。3幕から成り、大きな合唱、大規模なダンスなど、規模の大きなオペラ。とりわけテノールのアリア「失われた希望」が名曲で、ベルリオーズはこのアリアを激賞しており、ロベルト・アラーニャらが録音もしています。
1948年から57年にかけて音楽祭の音楽監督を務めていたフランチェスコ・シチリアーニは、埋もれていた名作を上演したいと考え、ケルビーニの「メデア」をカラスの出演で1953 年に上演したのを皮切りに、スポンティーニの作品など様々な作品の復活上演を実現しました。57年、シチリアーニがケルビーニのこの大作の復活上演を託した指揮者が、当時若手注目株だったカルロ・マリア・ジュリーニでした。歌唱陣には、スカラ座・カラヤン指揮のドン・ジョヴァンニで当時既に有名だったバリトン、マリオ・ペトリ、若きドラマティック・ソプラノ、アニタ・チェルクェッティらと、最高の布陣で臨んだこのケルビーニの大作復活上演は、各方面から絶賛されたのでした。
(3)美声美男の名テナー、コレッリと名指揮者グイ~スポンティーニの貴重なオペラ復活上演の記録
スポンティーニ:歌劇“ホーエンシュタウフェン家のアグネス”全曲(イタリア語歌唱)
ルシール・ウドヴィク(アニェーゼ)
ドロシー・ドウ(イルメンガルダ)
フランコ・コレッリ(ブラウンシュヴァイクのエンリーコ)
フランチェスコ・アルバネーゼ(フィリッポ)
エンゾ・マスケリーニ(ボルゴーニャ公(フランス王))
アンセルモ・コルツァーニ(エンリーコ・イル・レオーネ)
ジャン・ジャコモ・グェルフィ(皇帝エンリーコ5世)
ヴィットリオ・グイ(指揮)
フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団、合唱団(合唱指揮:アンドレア・モロシーニ)
録音:1954年5月9日、フィレンツェ・コムナーレ劇場(ライヴ)MONO
フランコ・コレッリ
なかなか上演されることのない、スポンティーニのオペラの復活上演の貴重な記録。「ホーエンシュタウフェンのアニェーゼ(ホーエンシュタウフェン家のアグネス)」はスポンティーニがベルリンにいた頃に書かれた作品。様々な図書館に散逸していた手稿譜から楽譜が再構築され、あらたにイタリア語歌唱用に訳も作成され(オリジナルはドイツ語)、1954年5月6日から3回上演されました。かなりカットもされていますが、グイは、スポンティーニのオペラが持つ、ドイツ・ロマンの騎士道精神や、フランスオペラの装飾的な衣装を見事に再現しています。フランコ・コレッリ(1921-2003)の若き日の歌声も貴重。
1948年から57年にかけて音楽祭の音楽監督を務めていたフランチェスコ・シチリアーニは、スポティーニをはじめとする知られざる名作を舞台にかけようと考えていました。1948 年に、セラフィンの紹介でマリア・カラスに出会ったシチリアーニは、彼女の声は自分が復活上演したいと考えているスポンティーニの作品が求めるドラマティックな声質にまさにぴったりだと考えました。カラスはまず1948年にベッリーニのノルマでフィレンツェ・デビューを果たすと、その後も51年の椿姫、53年のルチア、およびケルビーニのメデアで音楽祭に登場しました。いよいよこの1954年、「アニェーゼ」の上演の年になりますが、カラスはフィレンツェを去ることになり、出演依頼を断りました。急遽行われたオーディションで抜擢されたのがクロアチアの血が流れるアメリカの歌手、ルシール・ウドヴィクでした。シチリアーニはこのアニェースがスポンティーニの傑作であると考え、1970 年、若きムーティを起用し、イタリア語版(1954年上演時のではなく新訳)でテバルディの歌唱で、演奏会形式でこの「アニェーゼ」を再演しています。
(4)マスカーニ没後50年記念プログラム演奏会の記録~イタリアの大御所、ガヴァッツェーニによる指揮
ピエトロ・マスカーニ(1863-1945) 没後50年記念演奏会。ガヴァッツェーニ(1909-1996)はイタリアの指揮者、および作曲家、著述家として活躍した人物で、50年代からスカラ座(65年から68年まで音楽監督を務めた)とフィレンツェ五月祭に定期的に出演していました。とりわけヴェリズモ派のよき代弁者として活動を展開、また、イタリアでは当時ほとんど知られていなかったブルックナーの合唱曲および管弦楽曲を紹介しました。
マスカーニ:
・「友人フリッツ」より間奏曲
・「ベレニーニのテレサを眺めつつ」より抒情的光景
・「グリエルモ・ラトクリフ」より夢
・「仮面」序曲
・「グリエルモ・ラトクリフ」より夢(アンコール)
・「パリの女」第4幕
・「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲(アンコール)
ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ
デニア・マッツォーラ(ソプラノ)
マルタ・セン(メゾ・ソプラノ)
カルディ・カルードフ(テノール)
ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ(指揮)
フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団
録音:1995年10月1日、フィレンツェ・コムナーレ劇場(ライヴ)STEREO
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年06月16日 16:30