アクセプトのギタリスト、ウルフ・ホフマンのソロ・アルバム第2弾
アクセプトのギタリストでありメイン・ソングライターであるウルフ・ホフマンのソロ・アルバム第2弾『ヘッドバンガーズ・シンフォニー』が完成した。そのタイトルから察せられるとおり、前作『CLASSICAL』と同じくクラシック音楽の有名曲の数々をカヴァーしたものなのだが、今回のレコーディングでは本物のオーケストラを起用しており、更に壮大なアレンジが施されているという点が前作との決定的な違いと言える。
米国人シンガー、マーク・トーニロを擁する編成でアクセプトを2009年に再結成、『BLOOD OF THE NATIONS』(2010年)、『STALINGRAD』(2012年)、『ブラインド・レイジ』(2014年)という3枚のアルバムの制作、そしてそれらに伴う多忙なツアー活動の合間を縫って、彼は数年前より着手していた『ヘッドバンガーズ・シンフォニー』の制作も続行、そして最終段階においてはチェコのプラハに赴いてチェコ国立交響楽団と共にレコーディングを実施、より壮大なプロダクションのもとで本作『ヘッドバンガーズ・シンフォニー』は完成に至った。
前作『CLASSICAL』ではビゼーの「前奏曲」と「間奏曲」(共に「カルメン」より)や「ハバネラ」、グリーグの「山の魔王の宮殿にて」と「ソルヴェイグの歌」、チャイコフスキーの「アラビアの踊り」、ラヴェルの「ボレロ」、エルガーの「威風堂々」、ベートーヴェンの「エリーゼのために」等々、ウルフ自身が昔から好み、またアクセプトでの作曲面において大いに刺激を受けてきた音楽家達の曲を選択したうえでロック/メタル・ギター主体の編曲を行なっていた(ウルフ自作の曲である“Western Sky”も収録)。
今回のソロ・アルバム『ヘッドバンガーズ・シンフォニー』においても、クラシック音楽の楽曲をヘヴィ・メタル/ハード・ロック流にアレンジするという基本コンセプトにおいては前作同様と言える。なお、本作の選曲ならびにオリジナルのコンポーザーは以下のとおり。
1. Scherzo(ベートーヴェン「交響曲第9番 第2楽章」)
2. Night On Bald Mountain(ムソルグスキー「交響詩 禿山の一夜」)
3. Je Crois Entendre Encore(ビゼー 歌劇「真珠採り」より「耳に残るは君の歌声」)
4. Double Cello Concerto In G Minor(ヴィヴァルディ「2つのチェロのための協奏曲ト短調」)
5. Adagio(レモ・ジャゾット「アルビノーニのアダージョ」)
6. Symphony No.40(モーツアルト「交響曲第40番」)
7. Swan Lake(チャイコフスキー バレエ音楽「白鳥の湖」)
8. Madame Butterfly(プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」)
9. Pathetique(ベートーヴェン ピアノソナタ第8番ハ短調「悲愴」)
10. Meditation(マスネ 歌劇「タイス」より「瞑想曲」)
11. Air On The G String(バッハ 管弦楽組曲第3番「アリア」 アウグスト・ヴィルヘルミ編曲「G線上のアリア」)
アクセプトの『METAL HEART』(1985年)のタイトル曲ではチャイコフスキーの「スラブ行進曲」やベートーヴェンの「エリーゼのために」を、最新作『ブラインド・レイジ』の「ファイナル・ジャーニー」ではグリーグの「朝」を引用、そして80年代のライヴではギター・ソロ・タイムでラヴェルの「ボレロ」を翻案にしていたウルフ・ホフマン。そしてそれら以外にも、自らの作曲/編曲スタイルやギター奏法の面において、彼がクラシック音楽から多大な影響を受けてきたことはよく知られているが、本作『ヘッドバンガーズ・シンフォニー』のリリースを機に、彼の心魂に宿った豊かな音楽背景に再び注目が寄せられることは確かだろう。
タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2016年07月05日 19:07